ネガティブ感情は「消す」ではなく「記録する」! 不安を取り除く“ジャーナリング”とは?/99.9%は幸せの素人⑦
公開日:2021/2/5
この本1冊で今の不安や悩みが解決されるとしたら…? シリーズ20万部突破の『神メンタル』『神トーーク』の星 渉氏と、幸福学研究の第一人者・前野隆司教授の共著。科学的に自分で自分を幸せする「すごい裏ワザ」が満載! 読んだ日から行動にうつせる「即実践! 行動のレシピ」付き。
ネガティブ感情は「消す」ではなく「記録する」
不安、心配、緊張などネガティブな感情を〝消そう〞とする人がいますが、その考え方はNG。詳しくは『神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り』にも書きましたが、ネガティブな感情は消そうとすればするほど大きくなります。ネガティブな感情を感じたら、記録を取ることが有効です。
先ほど、「心配事は13%しか実際に起きない」とお伝えしましたが、そうは聞いても、やはり心配で不安に思ってしまうという人もいるでしょう。
「不安に思っていることが実際には起きない」と言われてもなお、なぜ不安に思うことをやめられないのか?
それは「実際には起きないという実感がないから」です。
では、なぜ実感がないのか?
それは、不安に思ったことが実際にはほとんど起きないので、不安に思ったこと自体を忘れてしまっているから、です。
さらに、不安に思っていたことを忘れては、また新しい不安が襲ってくる。そして、また実際に起きなかったから忘れる。そして、また新しい不安が……ということを繰り返し、「いつも不安」な状態から抜け出せないのが、私たちなのです。
そこで、心配事は実際に起きないのだと「実感」するために「記録を取る」。
これが「ジャーナリング」という手法です。さっそく手順を紹介しましょう!
即実践! 行動レシピ
「ジャーナリング」を試してみましょう!
①心配に思うことがあったら、その心配に思うことを手帳にメモする(スマホのメモ機能などを使ってもOK)
②それを1カ月間続ける
③1カ月後、メモした内容(心配に思ったこと)を見返して、それが実際に起きたかどうか○×をつける
④心配に思ったことがどれだけ起きていないかを実感する
この4ステップを実践するだけで、客観的に心配事はそんなに実現しないのだと実感できるでしょう。余裕があれば、①の心配事をメモする際に、心配の大きさを10段階評価で書いておくとさらに効果的です。自分の感覚で構わないので「この心配レベルは、すごく心配だから8だな」「これは、そこまで心配ではないから2だな」という感じです。
なぜこれがネガティブ感情に対して効果的なのか?
その理由は、私たちがどんな心配事に対しても「心配だ」という1つの言葉でしか表現していないことにあります。
夜も眠れないくらい心配なことについても「心配だ」。
いいタイミングで電車が来るか心配な時も「心配だ」。
全部同じ「心配だ」で表現するので、必要以上の心配をしていることが多々あるのです。
そこで、記録を取る時に心配のレベルを記載すると、「あっ、これはそこまで心配してないんだ」と実感でき、ネガティブ感情がその場で小さくなります。ぜひ、試してみてください(私の場合「結構今まで、必要以上に心配してたんだな〜」とバカバカしくなりました)。
自分へのハードルは最大級に下げよ
続いて「人生の満足度」のお話。
「人生の満足度」は最終的に、何で決まるか知っていますか?
それは、収入でもなく、どれだけ成功しているかでもなく、高級外車に乗ったりタワーマンションに住むことでもなく、ブランドものを身にまとうことでもありません。
人生の満足度は、どれだけ「自分へのハードル」を下げられるかで決まるのです。
そうとわかれば、今日からガンガン自分へのハードルを下げましょう。
朝早く起きられなくても、とにかく起きられればいい。お給料が望むレベルに達していなくても、お給料がもらえているのなら、それでいい。完璧に家事ができなくても、いくつかのことはやれたのですから、それでいい。
ここで勘違いしてはいけないのが、自分へのハードルを下げるというのは、「目標や理想像を下げましょう」という話ではないということ。
本書の共著者である慶應義塾大学大学院の前野隆司教授の研究で、どれだけ今の自分を肯定的に受け入れることができるかが、人生の満足度に強く影響することがわかりました。
つまり、どんな自分であっても「そんなんじゃダメだ!」と思うのではなく、どんな自分も「それでいいんだ」と思える力が、人生満足度に影響するというわけです。
たとえば私の場合、この本を執筆するために朝の6時に起きようと思った日がありました。そう思って寝たのに、6時にセットした目覚まし時計を止めて、結局10時まで寝てしまったことが……。しかも、何回も!
そんな時に、「10時まで寝てしまうなんて、俺はなんてダメな奴なんだ‼」と思うのではなく、「そんな自分もOK! いつも頑張ってるんだからいいよ」と自分を受け入れることができるかどうか、ということです。
こんな話をすると、「それって、自分に甘くなりなさいってこと?」と言われそうですが、それは半分正解で半分不正解。
「自分に甘くしている」ことを心の底からいいと思っているのなら、それは自分を受け入れることができている、ということ。ならばそれでいいと思います。
一方で「自分はこうなりたい」とか「この目標を達成したい」というものがあるのならば、自分を甘やかすというより「できていない部分だけを見るのではなく、できている部分も見てあげる」べき。
そうすることで自分を受け入れられる……というのが本質です。
たとえて言うなら、「甲子園を目指して毎日素振り1000回と決めていたのに、800回しかできなかった」なんて時にも、もちろん「こんなんじゃダメだ!」と奮起しながらも、一方で、「〝毎日素振りをする〞ことに今日も取り組めた」「800回はできた」と、受け入れられる部分は受け入れることができる人のほうが幸福度が高くなるということです。
これが受け入れられない人の場合だと「今日やった素振りはまったく意味がなかった」「800回しかできないなんて、自分は約束を守れない最低な人間だ」という具合に、自分を責めすぎてしまう。
心当たりのある人もいるのではないでしょうか。
成功者は「鏡の自分」を「最高の理解者」にする
いい自分も悪い自分も受け入れる力のことを「自己受容力」と言います。
6時に起きて執筆した自分もいいなと思えるし、10時まで寝てしまった自分も「それもいいよ」と思える力です(何度も言いますが、寝坊を正当化しているわけではありませんからね!)。
そんな、自己受容力は、どうやって鍛えることができるのか?
とても簡単な方法があります。
それは、「自分で自分の労をねぎらう」という方法。
この自分をねぎらって自己受容力を高める方法は、私自身が実際にビジネスの現場や、多くの方々にアドバイスをする時によく使うものです。
以前、大手子育て雑誌『AERA with Kids』で取り上げていただいた子育て講座でママの方々に対してこの方法を行った時にも、参加者の方々から「子育てに関するイライラが少なくなっていくのが実感できた」と大きな反響がありました。イライラした感情がなくなると、当然、自分自身を受け入れることが簡単になります。
では、どんなやり方で「自分で自分の労をねぎらう」といいのか?
その手順は実に簡単です。
即実践! 行動レシピ
①「毎日の自分の頑張りに対して、周りからどんな言葉をかけてもらえたら心からうれしいか?」……その言葉を書き出してみてください。
「忙しいのによくやってるね」「本当にすごいよね」「いつもありがとう」「頑張ってるな」など。
②その言葉を毎日、寝る前に、鏡の中の自分に向かって声を出して語りかけてください(実際に声を出して)。ポイントは、声を出して、鏡の中の自分に声をかけることです。今、ちょっとやってみてください。……あっ、もちろん周りに人がいないか確認してからですね。1人で鏡に話しかけている変な人がいると思われるので。
さあ、どんな感じがしましたか?
恥ずかしい感じがしたかもしれませんが、でもこれはれっきとした科学的手法です。
私たちの脳には「内側前頭前野」という〝自分で自分のことを評価する〞部分があります。自分で自分に声をかけてあげる。時には努力を認めてあげる言葉を、時には「仕方がないよ」と慰めてあげる言葉をかける……そうすることで、〝どんな自分でも〞受け入れられていると判断して、つまりは自己受容力が高まるのです。
ポイントは、その日あったいい出来事も、悪い出来事も、いい感情も、悪い感情も全て、いい・悪いの判断をしないで、全て〝認めてあげる〞ことです。
たとえば「ついイラッとして子供に怒鳴ってしまった」などという日でも、1日の終わりに鏡の中の自分にかけてあげる言葉は、あなたが周りからかけてもらってうれしい〝自分を認める言葉〞です。
「仕方がないよ。そんなこともあるよ。だって、毎日頑張ってるじゃん」
決して否定することなく、(自分の)気持ちを理解して、受け入れてあげる……そんな言葉を自分にかけてみてください。これが、信じられないくらい自己受容力を高め、人生満足度が高まり、幸福度が高くなるという仕組みにつながるのです。
この第4章は、なんだかフワッとした印象である「幸福度」というものの実体、メカニズムを明らかにしました。幸福度に影響を与える「3つの要素」を育てたり、小さなものにしたりと、正しい努力をすることで、間違いなく今以上に幸福感を得られますから実践してみてくださいね。
さて、次章では〝あなた個人〞が、「何について」幸せだと感じるのか?
あなた個人を今以上に幸せにする選択とは「どんな選択」なのか?
これらの疑問を明らかにしていきましょう。
第4章のまとめ
▶ 幸福度は、ポジティブ感情、ネガティブ感情、人生満足度が影響している。
▶ 本当のポジティブ感情は、個人的成長の実感↓将来への希望↓ポジティブ感情の順番。口先だけでポジティブではダメ。
▶ あなたの手に負えない心配事が実際に起きる確率はたった3%。
▶ 心配なこと、不安なことは記録に残す。1カ月後に見返すと、ほとんど起きていないことに気付く。
▶ 人生満足度は、自分をどれだけ受け入れられるかが影響する。自分のいい部分もそうでない部分も受け入れる力を身につけよう。
▶ 鏡の中の自分にねぎらいの言葉をかける。