SKY-HIも参戦! ルッキズムやフェミニズムもガチ討論! 令和GALSから学ぶ「これからの社会学」
公開日:2021/1/28
『令和GALSの社会学』(三原勇希、あっこゴリラ、長井優希乃/主婦の友社)は、「ギャル×社会学」という異色の組み合わせが目を引く1冊。だが、ここに詰め込まれているのは、目新しさだけではない。自分らしく生きていくためのマインドも学べるのだ。
本書は、Spotifyの人気ポッドキャスト『POP LIFE』を初書籍化した作品。「令和GALS」を名乗るのはラッパーのあっこゴリラ、生命大好きニストである長井優希乃、そして、タレントでラジオDJの三原勇希。
3人は、日頃感じている生きづらさや社会に対するもやもやをガチ語り。ルッキズムやフェミニズムなどの社会問題にも独自のアンサーを下し、現代を生き抜くヒントを読者に授ける。
「若さ」という付加価値を失うのが怖いあなたへ
人生には、ターニングポイントが何度もある。そのひとつが、「若さ」という付加価値が薄れ始めてきたことを自覚する30代。「劣化」という言葉に怯えたり、年相応とは…と悩んだりし、心が苦しくなってしまう。
だが、令和GALSたちは至って前向き。年を重ねるにつれ、実力を認めてもらいやすくなってきたと語る。
優希乃 前は競争心はあった? ルックスとかに関して。
三原 ルックスも含めての仕事が成功しているとか人気者であるとかに関してはあったかもしれないけど、そこに価値を見出すというよりは、そうならなきゃ、そうなりたい、と思ってた。
(中略)
あっこ 若くてかわいいからじゃなくて、三原を名指しでオファーしてくれるわけだから、そこは自分自身のもっているものをしっかりと見てくれてるってことじゃん。今もフラットじゃないと思うけど、20代前半よりは確実にフラットになりつつあるから。
大人世代の私たちに必要なのは、年齢で自分の首を絞めないマインド。
あっこ 若くしてればいいってことではなくて、要するに自分が好きなようにしてればよくない?
そして、他者のことを端的にジャッジしない優しさだ。
優希乃 わからなさを、簡単にわかったテイでジャッジせずに、ラベルをはらずにそのままもっておくスキルみたいなのが超大事だなって。(中略)わかった気になるってことが、その人や事にラベルをはるってことだから。
自分も他者もラベリングせず、もっと内面に目を向けていく――。憂鬱な気持ちになりやすいターニングポイントには、このマインドを思い出したい。
恋愛・結婚は人の数だけ正解がある
人生を共に生きるパートナーは欲しいけれど、結婚という形が正しいのか分からない…。そんな思いを抱えている女性は意外と多いはず。
令和GALSは恋愛・結婚に対して、それぞれ違った価値観を持っている。だからこそ、さまざまな角度から、自分が本当に望む形とはどんなものなのだろうと今一度、考えたくなるのだ。
3人はソフレやポリアモリーなど、近年話題にあがることが増えてきたさまざまなリレーションシップについて意見を交わしつつ、自身の恋愛観や結婚観を明かす。それらの対談を読んでいると正しい恋愛の形なんてないことに気づかされ、なんだか心が楽になった。
あっこ すべてにおいて完全なる自由なんてないから、どのしがらみを選ぶかってことだよね。すべては選択。そこに正しさのものさしを持ち込みたくない。
シンプルに孤独を埋められるセフレやソフレは合理的だと言うあっこゴリラ、パートナーとは魂の交換日記をしたいと語る優希乃、好きな人と共に生きていくことを約束したいと思い続けている三原、そんな三者三様の価値観は人の数だけ恋愛観・結婚観があるという証。
彼女たちのように、いわゆる「普通」ではなくともお互いが心地よく生きていけるのなら、それでいいと多くの人が思えたら、私たちはもっと楽しく自由に誰かと生きていける。
なお、本書の最終章ではラッパーとして活躍するSKY-HIも参戦。アーティストになる前の生い立ちを交えつつ、メンズのルッキズムに対する想いを吐露したり、人との距離の取り方についてアドバイスしたりしている。
中でもグっときたのが、人に対して期待してしまうと悩む、あっこゴリラへの言葉。
SKY-HI (前略)明らかにしたほうがいい気がするけどね。期待してることのうち、どれくらいが純粋な慈愛でどのくらいが見返りを求めるエゴなのか。
筆者も慈愛とエゴの境界線を探ってみたくなった。
悩み迷いながらも、胸に打ち立てた芯を大切にしつつ生きる令和GALS。彼女たちの声は、より生きやすい社会を作るための礎となるに違いない。
文=古川諭香