モチベーションが下がってしまう理由は? 作業を効率的に進めるポイントを紹介/面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本④

ビジネス

公開日:2021/2/11

「面倒くさい」ことに取り組むとき、どのように取り組んでいますか? 面倒くさいと思わないようさまざまな工夫をしてみても、ふと気づくと後回しにしてしまっていたなんてことも…。本書では、面倒なことを減らす仕組みと、ラクに取り組むためのコツをご紹介します。

面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本
『面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本』(内藤誼人/明日香出版社)

一度に1つのことしかやらない

 同時並行で、いくつかの仕事をこなせる人がいます。おそらくは器用なのでしょう。

 ですが、読者のみなさんは、それを真似てはいけません。

 仕事をするときには、一度に1つのことだけ。2つも、3つも、やろうとしてはいけません。

 複数の仕事を同時にやろうとすると、結局は、どちらの仕事もうまくできなくなります。一度に1つだけやったほうが集中もできますし、仕事の成果もあげやすくなるのです。

 それにまた、複数の仕事をやろうとすると、片方の仕事をやっていても、もう片方の仕事が気になってしまって、どちらも中途半端になります。

 スイスにあるバーゼル大学のベンジャミン・シェイベーンは、やるべき仕事が増えるほど、その仕事へのモチベーションが下がることを確認しています。つまりは、「やる気が失せる」わけです。

 

 あれもこれもやらなければと思うと、人はやる気が出ません。

 やるべきことが1つしかないから、やる気が出るのです。

 スポーツのトレーニングでも、いろいろな練習をいっぺんにやろうとするよりは、たとえば、野球なら、今日はランニングだけをするとか、バッティングだけをするとか、1つの練習に特化したほうが、モチベーションも上がって、練習効率もよくなるのです。

 

 仕事もそうです。

 いろいろな仕事を抱えているにしろ、いったんある仕事に取りかかったら、もう他のことは考えないようにしましょう。とりあえず目の前の仕事に全力で取り組むのです。そのほうがさっさとその仕事を片づけることができます。それから次の仕事、その次の仕事、と順番にこなしていけばいいのです。

 書類を作成しているときには、書類を作成することに集中しましょう。そこでメールチェックをしようとしたり、ネットで情報を調べようとしたりすると、書類の作成に時間がかかります。

 かりにメールチェックや、ネットでの情報検索が必要であっても、それは書類の作成が終わってからすればいいのであって、1つの仕事に取り組んでいるときには、もうその他のことには目を向けてはいけません。注意はすべて目の前の仕事に向けるべきなのです。

 面倒くさがる人は、いっぺんにすべての仕事をこなそうとしますが、かえってひとつひとつの仕事が終わらずに、余計に面倒な思いをするのです。

 よほど器用な人なら別ですが、基本的には、一度に1つずつこなしていったほうが、結局は、時間もかかりませんし、疲れもしません。

面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本

面倒くさいことを避けるため、あえて小さな面倒をやっておく

 小学生で「かけ算の九九」を習います。習うのは、子どもにとってはものすごく面倒くさいものです。

 しかし、九九を覚えておかないと、将来もっと面倒くさいことになります。九九を覚えるのは大変ですが、九九さえ覚えてしまえば、算数の計算はものすごくラクになるのです。中学生になっても、高校生になってもずっと役に立ちます。

 将来の面倒くさいことを避けるために、あえて小さな面倒をやっておく、という発想をしましょう。

 

 「これをやっておかないと、後でもっと面倒になりそうだな……」

 「念のため、これもやっておくか、将来的に面倒にならないように」

 こういう発想で、“小さな面倒”をやっておくのは非常に大切です。

 自分でわざわざ面倒を抱え込むことになりますが、将来の、“もっと大きな面倒”を避けることができるのは、とてもありがたいことですよ。

面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本

 クライアントにあえて連絡をしておく必要はなくとも、「念のためメールを送って納期の確認」をしておけば、クライアントはきちんと納期を守ってくれるでしょう。

 クライアントが「あっ、忘れた」ということになると、商品がきちんと届かず、確認の連絡をとらなかった自分のせいにされてしまいます。これはとても面倒くさいです。

 そういうことを避けるため、小さな面倒(メールを送ることや電話をかけること)をしておくのです。

 

 相手に「復唱」させるのもいいアイデアです。

 面倒くさいと思われるかもしれませんが、相手に復唱してもらえば、後になって忘れるという手間を省くことができますからね。

 

 イギリスにあるインフルエンス・アト・ワーク社のスティーブ・J・マーティンは、患者が約束の時間に診察にこないので病院が困っているという相談を受け、約束を守らせるために復唱のテクニックを使っています。

 次回の予約をするとき、「次の診察は火曜日の午前10時半からです。復唱してください」とお願いしておくと、翌月には勝手にすっぽかしてしまう患者が減ったのです。

 ちなみにマーティンは、さらに面倒くさいこと、つまり患者に「12345」といった予約の登録番号を見せて、それを自分でメモさせるようにすると、さらにすっぽかす患者が減ることを確認しています。

 小さな面倒を嫌ってはいけません。

 小さな面倒をやっておくからこそ、後々の大きな面倒を避けることができると思えば、小さな面倒をやっておくことは、むしろ自分にとっての「保険」とさえ言えるでしょう。

 「まったく、いちいち面倒くさいな」と考えるのではなくて、「こうしておけば後になって面倒に巻き込まれずにすむな」と考えるのがコツです。

<第5回に続く>