「幸せのラインを下げれば、1秒後でも幸せになれます」ピン芸人・浜ロンさんの「ダ名言」は今こそ必要
更新日:2021/2/7
何もかも狂っている。先行きが不透明で、不安ばかりが押し寄せるこの頃。仕事にしろプライベートにしろ、以前のように生活できない今となっては、モヤモヤした気持ちばかりが込み上げてくる。
日常が当たり前でなくなってから、何かを「諦める」ことも多くなった。そんな僕の心に響いたのは、お笑い芸人・浜ロンさんが著した1冊『ダ名言』(主婦の友社)だった。
幸せのラインはどこにあるのか?
人気バラエティ番組『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)の前説などを担当していた浜ロンさんは、くりぃむしちゅー・上田晋也さんの運転手を務めていたこともあるピン芸人だ。
ある日、上田さんから「何か◯◯芸人という、自分の名刺になるような芸風をつくれ」とアドバイスを受けて、穏和な“ハト派芸人”としての信条を「ダ名言」としてTwitterでつぶやき続けてきた。
浜ロンさんの一言は、頑張ろうにも頑張れない、弱り切った心にズシリと訴えかけてくる。例えば、以下の言葉はそのひとつだ。
〈幸せのラインを下げれば、1秒後でも幸せになれます。〉
人はどうしても、多くを求めてしまう。しかし、ささいな出来事にも「よく考えれば今この現状でも結構幸せだぞ」と歩み寄れば、幸せを感じられると浜ロンさんは教えてくれる。
毎日が「特に何もない」のであれば、それこそ「新発売のガムがうまかった」というだけでも楽しみが生まれる。自分にとっての「幸せのライン」はどこにあるのか。いま一度、見つめ直したくなるつぶやきだ。
思うのは自由。しかし、口に出すには…
自粛生活を余儀なくされてから、ネットを介して言葉にふれる機会が増えた。しかし、誰もが思いを発散できずにいるのか。心のままに、辛らつな言葉を吐き出してしまう人たちもいる。
ただ、何かを発言する前に、次の一言を思い浮かべてほしい。
〈言ってはいけないことは山ほどあるけど、思ってはいけないことはないですね。でも言ったら終わりです。〉
心の中で何を思うかは自由だし、抑えられない。しかし、何でもかんでも口に出さないからこそ「理性があって人間的なんじゃないか」と、浜ロンさんは訴えかける。
ときには「嫉妬や憎悪」も生まれるのも仕方ない。ただ、発言するなら「頭の中で推敲して無駄な争いを避ける言い方」を選び、波風を立たせないのも大切だ。
ときには日常で「諦める」のも必要
人と会いたくても会えない。どこかへ行きたいけど行けない…。いわゆる「ふつうの日常」が壊れてからというもの、ふとした瞬間にイライラしたり、ストレスを感じる場面も増えた。そんな僕たちに寄り添ってくれるのが、次の一言だ。
〈諦めたら楽でした。〉
元々は、浜ロンさん自身が、人の顔色を見過ぎてしまい「追い詰められての完璧主義者」だと、自覚していたから生まれた言葉。しかし、世相が落ち着かない今は、日常のあらゆる場面にも当てはまりそうに思えてくる。
浜ロンさんは「自分にできることを知る。できないことをしっかり諦める」とさとす。たった9文字の一言は、今の自分たちにきっと必要な「ダ名言」だ。
この他にも、たくさんの心に刺さる言葉が詰め込まれた本書。浜ロンさんの一言はどれも重くなく、むしろ軽い。だからこそ、心の芯をえぐられるような感覚になる。
文=カネコシュウヘイ