テレワーク化でできた時間、有効活用できている? 今こそ考えたい「自分のための」時間の使い方
公開日:2021/2/5
2021年の年初から関東や関西を中心に、緊急事態宣言が発令。企業では再び、テレワークが推奨される事態となった。もはやテレワークは常態化しつつあるので、ここらでテレワーク時代の時間の使い方を考えてみるのもいいだろう。
参考にするのは、以前にもご紹介した『時間革命 1秒もムダに生きるな』(堀江貴文/朝日新聞出版)である。本書は、著者が何よりも大切にしているという「時間」をテーマに、持つべき価値観や使い方などを、人生観や健康や死に対する考え方も交えつつ明かす。その内容を総じていうなら、時間術本というよりむしろ、「人生の質(QOL)の高め方ガイド」なのである。
テレワークによって、時間を采配する主導権は会社や上司から個人へ委ねられることになるため、本書で著者が説くアドバイスは、いろいろと参考になる。
まず、テレワーク体験者ならだれもが感じるのが、出勤のための身づくろいや通勤電車に消費される朝の1、2時間に伴うストレスからも解放され、さらに自由に使える快適さではないだろうか。
著者は、人生の有限な資源である貴重な時間はシンプルに2種類、自分が楽しめる、夢中になれる(ハマれる)「自分時間」と、他者のために使う「他人時間」に分けられるという。そして、人生で費やすべきは、あくまでも「自分時間」であり、人生から「他人時間」を減らすことこそがQOLを高める近道だと説く。
テレワークにより朝の1、2時間が「自分時間」になるのだから、有効活用するしかない。日頃、運動不足を感じている人は軽い運動を取り入れるとか、流行りのマインドフルネスを取り入れて、メンタルヘルスの時間に当てるのもいいだろう。
著者は、時間泥棒となる病気を防ぐため、心身の健康維持に時間を使うよう説いている。特に、多くの人が身体の健康には関心が高いのに、「どうやって心の健康を保つか」には無頓着であり、その原因として「ストレスを我慢すること」に熟練しすぎている、と指摘している。
ストレスを我慢しないで「自分時間」を生きる方法として、著者が挙げる一例が、「ウソを極力つかないこと(=本音を隠さないこと)」だ。ウソをつくとは「相手の信じる現実に迎合する行為」なので、ウソをつけばつくほど「他人時間」を生きることになる。
本当は1ミリも納得していない上司からの指摘には、「了解」などと言わずに「納得できません」と本音で応える。そうしなければ、本音を隠すたびにストレスを抱えてしまうだけでなく、「あなたの人生はどんどん『他人時間』で埋め尽くされていく」と著者。
出社して対面するとやりにくいことも、テレワークならしやすくなるメリットがある。これを機に、もっと本音で生きることを実践するのもありなのではないだろうか。
ちなみに著者は、会社あるあるのひとつ、他者の悪口・ゴシップに時間を費やすことを「心のエネルギーを他人事に振り向けて浪費するのは、本当にバカげている」と指摘する。テレワークでは、こうした人間関係からも解放される。
もし、テレワークをしてまで、メッセンジャーなどを使って同僚とこうした行為をしているとしたら、時間の使い方を考え直してみるといいだろう。
さて、では肝心の仕事時間についてである。テレワークは、自分の仕事に対する熱量の試金石になるな、と感じる人は少なくないのではないだろうか。
テレワーク場所でも、スムーズにどっぷり仕事に夢中になれる(ハマれる)人は、仕事時間もまさに著者が言う「自分時間」を費やすことができていることになる。
一方で、周囲にある別の事柄に関心を奪われがちな人や、会社という環境がないと仕事モードになれないという人は、著者が言う「やらされ仕事=他人時間」を費やしてしまっている可能性もある。
著者は、仕事を含めてすべての目の前に現れたものに、「徹底的にのめり込む」ことが重要だと説く。好き嫌いや、これに何の意味があるなどと考えずに、だ。好きとか楽しいはその後についてくるものだからだ。
もし今の仕事に対して、なにか先入観を持っているとしたら、そうした枠を外して、まずは「その道のプロになる」くらいの勢いでハマってみてはいかがだろうか。
それでもどうしても手につかなければ、もっと熱中できる仕事を探すことが、「自分時間」を増やして、QOLを高める道につながるのかもしれない。
本書は他にも、人生の目的や未来、お金のことなど、多くの不安を抱えがちな私たちに、過去でも未来でもなく「現在」を夢中になって自分時間として生きることで、それらの不安の多くが払しょくできることを教えてくれる内容だ。
新しい働き方が増えた今、時間や仕事、そして人生に対する新たな価値観が得られる1冊として、本書を一読してみてはいかがだろうか。
文=町田光