“いい人”は損をする? いい人が成功を収める秘訣とは「いい人と都合のいい人の差」/頑張りすぎずに、気楽に⑥
公開日:2021/2/15
日韓累計145万部のベストセラー『私は私のままで生きることにした』の著者最新刊、待望の日本語版! 人間関係に悩みのない人なんて、いない。しかし、誰しも、一人じゃ生きられない。だから、自分が心地よいと思える他者とのバランスを見つけよう。自分らしく、幸せに生きるためのヒントをお届けします。
いい人と都合のいい人の差
奥様向けのドロドロドラマでよくあるパターンは、
心優しくバイタリティのある好感度の高いヒロインと
欲深くて図々しく、呼吸するように噓をつく悪女との対決だ。
悪女は、ありとあらゆる噓と犯罪スレスレの悪事と迷惑を
繰り返すが、
ヒロインは、そこまで侮辱されてもなお
悪女を許してチャンスを与えようとする。ドラマではよくあるけど、
現実世界では財閥3世の御曹司に出会う確率は低く、
生き別れになっていた本当の大富豪の両親に出会うこともない。
はたして、リアル社会のシンデレラたちも
幸せになれるだろうか?
米ウォートン・スクールの組織心理学教授である
アダム・グラントの
『GIVE & TAKE:「与える人」こそ成功する時代』という本の中で
「Win-Winの原理」についての説明が登場する。
相手に施したり、もらったりする量には個人差があるものだが、
アダム・グラントはその個人差により、
人間を次の3つのタイプに区分した。
与えた分より自分の利益を優先させようとする
テイカー(Taker)、
損得のバランスを考えるマッチャー(macher)、
他者の利益を優先し、
惜しみなく与えるギバー(giver)だ。
研究によれば、成功のはしごがあったとすると、
最底辺で生活苦にあえいでいるのはたいていギバーだ。
他人を優先して自らのことを後回しにするあまり生産性が落ちたり、
甘く見られてカモにされてしまったりするなど、
テイカーと比べると、
詐欺などの犯罪被害者になる危険性も倍近いという。
度を越した施しにより、自らの破滅を招いてしまうのだ。
ところで、ここで面白い事実は、
この3タイプのうち最も成功を収めるのも、ギバーだということだ。
ギバーはまわりからの評判もよく、社会的基盤の上に
成功を極大化させ、より多くの恩恵を得られる。
さらに、まわりの人々もギバーの成功を喜ぶため
ギバーの成功には持続性もあるという。
では成功した「いい人型」のギバーは、何が違っていたのだろうか?
それはずばり、テイカーと付き合わなかったこと。
そして自分を大事にすることを忘れなかったことだ。
「都合のいい人型」のギバーは自らを後回しにしてまで、
相手がテイカーでも付き合い続け、結局自滅してしまった。
一方、「いい人型」のギバーは分け隔てなく施すが
見返りもなく、自らの利益のみを追求するテイカーとは距離を置く。
そうなると、残るのはマッチャーとギバーのみ。
この2タイプ同士であれば、Win-Winの関係が可能になるため
共存する機会が増えていく。
人はしばしば、いい人でいると損をするのではと心配しがちだが、
人のために施すことは、人生の成功と失敗を決定づけたりはしない。
人がいいから損を被ったのではなく、
誰にでもいい顔をしすぎて損をしたのである。
もちろん、相手をさっさとテイカーだと決めつけるのは危険で
相互関係のプラスマイナスをいちいち分析することもできない。
だけど、搾取されるような関係が続いているからと言って
「やはりいい人でいると損をする」と結論を早まるのも危険だ。
この世界は善人だけが暮らすディズニーの世界ではなく、
だからって悪人がはびこるゴッサム・シティでもない。
私たちに必要なのは、
必要以上の警戒心でも、やみくもな利他の心でもなく、
世界の両面をともに見極める力であり、
テイカーを選り分ける洞察力だけだ。
搾取されないためではなく
あなたが心から善人として生きるために、
奪われるだけの関係が続くようなら、その関係からは離れるべき。
あなたに出会えたことを、幸運だと思わせよう。
ただし、その資格がある者だけに。
+
真心は誠実な人に向けてのみ、施しなさい。
私たちは結んだご縁で助けてもらうこともあるが
それと同じくらい多くの被害も受けるものです。
たいていの被害というものは不誠実な人間たちに
真心を与え続けた対価として受けた罰なのです
──法頂和尚
一緒にいて、すごく最悪だった。
二度と会わないようにしようね
グッバイ、テイカー!