こんまりのプロデューサー夫が明かす「自分が輝ける人生に変える」5つのステップ
公開日:2021/2/9
「片づけ」コンサルタントのこんまりこと、近藤麻理恵氏。今や世界の「KonMari」として本の売上は累計1200万部となり、Netflixで放映された看板番組はエミー賞にもノミネート。ハリウッドセレブにも会いたいと望まれるほど、アメリカで華々しく活動している。いわば現代のシンデレラストーリーとも言うべき活躍の裏には、夫による献身的なサポートとプロデュースがあったと、当人が自著で明かしている。
『Be Yourself 自分らしく輝いて人生を変える教科書』(川原卓巳/ダイヤモンド社)は、そんなこんまりのプロデューサーである夫・川原卓巳による初書籍。タイトルの通り、自分のままで輝く方法を5つのステップに分けて紹介している。
まずは自分の「したくないこと」を書き出す? 5つのステップ
こんまりメソッドが日本で大人気になったのち、夫婦でアメリカに移住。講演やセミナーなどで大忙しの時期に、当人が張り詰めて、倒れかけた時期があったという。それ以来、無理をしない戦略にシフト。「自分らしく」いることでますます輝きを増していったそうだ。
強烈なキャラ、堂々とした姿、わかりやすく伝える……テレビやYouTubeにはそんなインパクトの強い人々が溢れていて、「自分らしく輝く」なんてできるのか? とつい考えてしまう。しかし著者は、5つのステップを踏めば、「誰でも、いつからでも、始められる」と言う。
1.自分を知る
2.自分を活かす
3.自分を発信する
4.環境を変える
5.自分を磨き続ける
至ってシンプルな5つのステップで、すぐに始められることばかりが並んでいる。面白いのは、やりたいことではなく「自分がやりたくないこと」「モヤモヤ」を書き出すことから自分を知るという、逆側のアプローチをも勧めていることだ。悩みを抱えている時にポジティブな考えは出しにくい。しかし「朝5時出勤はイヤ」「セクハラに遭いたくない」など、切実にやりたくないことは出しやすいはずだ。書くことですっきりもする。全体として、「自分の最低ライン(寝るところがあれば良い・三食食べられればなんとかなる、など)を把握しておく」「リツイートから始める自己表現」など、グイグイ進むというよりは、丁寧に、無理せずできるトーンの項目が多く、非常に取り組みやすい。ちなみに、第一章が「片づける」から始まるのはいかにもこんまりのプロデューサーである。
脱マウンティング。お互いを認めあって暮らすことのススメ
時流を読む、チャンスには乗る……。それぞれの項目の説得力がすごいが、著者はとても自然体だ。少しずつ、自分の芯はブレずに変化する。その根底にはやはりこんまりメソッドで大きな役割を果たす「ときめき」があるのだろう。
どちらがすごいか競うのではなくて、「どっちもいいよね」とお互いの違いを認め合える世界の方が、ずっとヘルシーでピースフル。僕はそういう世界をつくりたい。
極めていなくても良い、ヘタの横好きでも好きを素直に表現すればきっと何かが動き出す。「片づけ」という特技として認められにくい技を、世界に通用する技術に磨き上げた妻を見続けた夫は、相手を認めて、共に頑張ろうと励まし合うことが大切だと言う。それぞれの人が自分のマウンテンを、自分の目標で登る社会。マウンティングを取りあう社会よりも遥かに魅力的だ。
著名な妻を持って、心無いことを言われた経験もあるだろう。しかし長年裏方としてサポートに徹し、まず結果を出す。それから徐々に自分自身の足場を広げて、本を出版するという著者自身が見事なセルフプロデュースのストーリーを描いていることが、この本に入れ子式の説得力をもたらしている。
私達は今、あらゆることに怯え、疲れている。今までの自分を認め、愛し、その上で「輝く自分」を手に入れられたらこんなに嬉しいことはない。
文=宇野なおみ