2021年本屋大賞の大本命!? ものすごく泣けると話題の『52ヘルツのクジラたち』はどんな作品?

文芸・カルチャー

更新日:2021/2/17

52ヘルツのクジラたち
『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ/中央公論新社)

 毒親や虐待といったテーマを扱った話題の長編小説『52ヘルツのクジラたち』。2021年の「本屋大賞」にノミネートされたことに対し、ネット上では「大好きな本なので、ノミネートを知った際に思わず笑顔になりました」「ノミネート作の中でも断トツで面白い作品だと思います!」と大きな反響があがっている。

 同作の主人公は家族によって人生を搾取された女性・貴瑚と、母から虐待を受け「ムシ」と呼ばれていた少年。愛情を求めながらも裏切られてきた2人は、運命的な出会いによって魂の物語を紡いでいく。

 タイトルにある「52ヘルツのクジラ」とは、他の個体には聞き取れないほどの高周波数で鳴くクジラのこと。その鳴き声は数十年前から観測されており、「世界でもっとも孤独なクジラ」として知られている。そんなクジラの生き方を思わせるような“圧倒的な孤独”こそが、同作に通底する大きなテーマだ。

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 作中では現代社会のさまざまな“闇”が取り上げられているが、決して救いのない物語ではない。心を打たれた読者の間では、「児童虐待、LGBT、ステップファミリーがテーマの感動作。中盤以降はずっと泣きながら読みました」「なんて優しい物語なんだろう。ものすごく泣きました」「虐待やキナコの生い立ちは重くて暗かったけれど、話が最後にどうなるのか気になって読む手を止められなかった」「悲しみや孤独、希望などがないまぜになり、読後いつまでも余韻を引きずりました」と絶賛の声が上がっている。

 作者・町田そのこは、2016年に「女による女のためのR-18文学賞」の大賞に輝いた新進気鋭の小説家。これまでは短編小説を手掛けていたが、『52ヘルツのクジラたち』で初めて長編の作品を生み出した。

 今年1月に公開されたWebライター・カツセマサヒコとの対談では、同作を生み出すまでのプロセスについて告白。元々は「虐待とLGBTを出そう」という発想から動き出したらしく、「『虐待に苦しんでいる登場人物をどう助けるか』という現実的な答えを、絶対に自分で見つけようと思いました」と語っている。

町田そのこ×カツセマサヒコの対談記事はこちら

 書籍の帯には、『流浪の月』で「第17回本屋大賞」に輝いた作家・凪良ゆうが推薦文を寄稿。また凪良は自身のTwitter上でも、「どこもかしこも大変な今、ギリギリのところで踏ん張っている人たちに届いてほしい物語です」と賛辞を贈っていた。



 すでに口コミで人気が広まっており、「読書メーター オブ・ザ・イヤー2020」でも1位を獲得。この機会に、多くの人の心を動かす話題作に触れてみてはいかがだろう?