「マッサージが効かない」も要注意! 簡単なのに効果絶大なメソッド“関節包内矯正”って?/マンガでかんたん! 酒井式 腰痛解消ストレッチ⑦
公開日:2021/3/6
100万人以上を施術してきた酒井慎太郎先生による、腰痛のセルフケア本。クリニックで使われているメソッドを、セルフケア術として改良した関節ストレッチを紹介します。「痛いから動かない」が一番ダメ! その理由は…。
最大効果を得られる関節ストレッチで腰痛の「大もとの原因」を解決!
「マッサージが効かない」も要注意
マンガの中でお話ししたように、いわゆる腹筋や背筋などの「筋トレ」で腰痛を治すことはできません。プロボクシングの世界チャンピオン・井上尚弥選手のほかにも、究極の筋肉をまとった多数のアスリートたちが、腰痛に悩まされてきました。
同じくプロボクシングの元世界チャンピオン・内藤大助さん、元読売ジャイアンツの高橋由伸さん、プロレスの元ヘビー級チャンピオン・佐々木健介さん。そして、現在も私がオフィシャルメディカルアドバイザーを務めている千葉ロッテマリーンズの現役選手たち……。
近年、若い人たちを中心に〝筋トレブーム〞が起こっているようですが、筋トレはやり方次第で腰痛悪化の原因になります。くれぐれも注意してください。
また、マッサージにも注意が必要です。
「マッサージで楽になった」と感じられるのは、主に「単なる腰周りの筋肉痛」(第2章参照)です。「マッサージが有効なのは筋肉レベルの腰痛だけ」と言い換えることもできます。
ですから、「マッサージを受ける→数日後から違和感や痛みが再び現れる→またマッサージを受ける」というサイクルを繰り返しているなら、あなたの腰痛の問題はすでに筋肉レベルを超え、「腰周りの関節に異常が起こっている」ととらえるべきなのです。
にもかかわらず、「弱いマッサージだから効かないんだ」などと誤解し、強いマッサージを安易に受けてしまうと、筋肉を傷つけて炎症を招いたり、その硬直した筋肉の奥にある関節をさらに“間違った方向”へ固まらせたりする恐れまで出てきます。
すると、マンガ内にある「痛いから動かさない人」と同じような悪循環のパターンに陥り、腰痛の根本的な解消が困難になってしまうのです。
ですから今後は、腰痛ケアの方法を変えることをおすすめします。
つまり、腰周りの「関節」に起こっている異常を正すということです。
腰周りで可動域(動く範囲)が狭くなったり、固まって動きが悪くなったりしている関節に、正常な機能を取り戻すためのアプローチをすればいいわけです。そのための最善策が、私自らが編み出した「関節包内矯正」というメソッドです。
最小労力で最大効果が得られるメソッド
当院には、腰痛はもちろんのこと、首・肩・股関節・ひざなどのひどい関節トラブルを抱えた患者さんが多数いらっしゃいますが、施術の中心に据えているのはまさに関節包内矯正です。
本書の中でご紹介しているストレッチの多くは、その関節包内矯正の手技を簡単に実践できるセルフケアとして改良したものです。
最小の労力で、最大の効果が得られる——。そう自負しています。
ちなみに、関節包内矯正が効果をもたらすメカニズムを、シンプルにお話ししておきましょう。
そもそも関節は、「関節包」という袋の中に収まっていて、その関節包内は潤滑液で満たされています。動くタイプの関節(可動関節)ならば、その中で骨と骨がスムーズに動いています。
しかし、関節包内の骨同士は引っかかりやすく、おかげで関節の動きが悪くなり、可動域が狭まって固まった状態になります。
その結果、関節自体だけでなく、周りの筋肉などの組織にも過度な負荷がかかり、痛みなどの異常が現れます。
関節包内矯正は、このような骨同士の引っかかりを外し、関節の可動域を広げ、本来の正常な動きを回復させるメソッドです。
トラブルの「大もとの原因」を取り去る方法であるため、腰痛の解消に大いに役立つものなのです。