もともとは雨具ではなく権力の象徴だった! 日よけとして誕生した傘の歴史を探る/毎日雑学
公開日:2021/3/11
今回は傘の歴史や昔の傘の用途について解説します。
雑学クイズ問題
日本で傘が一般的に普及したのはいつ?
A. 室町時代
B. 安土桃山時代
C. 江戸時代
D. 明治時代
傘の歴史、実は昔は雨具ではなく権力の象徴とされていた
現代では、傘といえば雨を防ぐために使われています。
しかし、傘の歴史を見てみると、元々は雨を防ぐための道具ではありませんでした。
傘の歴史はとても古く、古代エジプトやオリエントまで遡ることができます。
当時、傘は雨を防ぐ道具としてではなく、宗教儀式で使われる「権力を象徴する道具」としての役割を担っていました。
また、古代エジプトやオリエントは雨が少なく、日差しの厳しい環境でした。
そのため、雨ではなく日よけの道具として使われることの方が多かったのです。
そして、従者に傘を持たせて日よけをしている姿は、その時代の権力を象徴する姿にもなっていました。
続いて、古代の傘はどのような物だったかを解説していきます。
現代の傘は開閉できることが当たり前ですが、当時はそのような技術はなく、開いたままでした。
更に、権力を象徴するという性質が強かったため、様々な装飾が施されており、とても重量感のある物でした。
それでは、いつごろに雨具として使われるようになったのでしょうか。
時代が古代ローマ・ギリシャ時代に移り変わると、特に装飾が施されていない小型の傘も見られるようになりました。
しかし、そのころまだ雨具としてではなく、女性の日よけとして使われることが多かったようです。
傘という言葉の成り立ちを見れば、昔は日よけとして使われていたことがわかります。
英語で雨傘を意味する「umbrella(アンブレラ)」ですが、これは元々ラテン語のumbra=影が語源となっています。
昔は傘といえば「影を作るもの=日よけ」だったのです。
その後、ようやく現代のように開閉が可能となった傘が登場したのは、13世紀ごろのイタリアとされています。
しかし、その頃の傘といえばアクセサリーとしての意味合いが強く、手に持っているだけということが多かったそうです。
そして、現代のような雨用の傘が登場したのは17世紀のことでした。
登場したころの雨傘は、女性の使うものという認識が強かったそうです。
そのため、男性に使われることはほとんどなく、男性が傘を使えば周囲に驚かれたり、からかわれたりすることもあったようです。
男性が雨傘を手にするようになったのは19世紀になってからですが、その時でさえ「杖」というイメージが強く、雨具というイメージが定着するのには時間がかかりました。
続いて、日本の傘の歴史について解説します。
日本の歴史上、傘が登場する最も古い文献は「日本書紀」となっていて、百済の王から絹張りの傘が贈られたことが記されています。
そのため、日本で最初に登場した傘も雨具ではなく、朝廷への貢ぎ物=権力を象徴する道具だったということがわかります。
雨具として普及するようになったのは江戸時代のことで、いわゆる「和傘」と呼ばれるものです。
また、現代で使われている雨傘については、明治時代に海外から輸入されていた「洋傘」が由来となっていて、別名「コウモリ傘」とも呼ばれていました。
明治時代には急速に洋傘が普及し、洋傘といえば文明開化を象徴する道具の一つとして注目されていました。
雑学クイズ問題解答
雑学クイズ問題の答えは「C.江戸時代」でした。
まとめ
古代のエジプトやオリエントでは、傘は権力の象徴とされ、日よけとして従者に持たせていた。
その後も日よけやアクセサリーとして使われ続け、雨具として使われるようになったのは、17世紀ごろだった。
しかし、あくまで女性が使うもので、男性は傘を使用しなかった。
男性も傘を利用するようになったのは、19世紀に入ってからである。
日本で傘が使われるようになったのは、江戸時代になってからであった。
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