どう書けば「バズる」のか? 最速で拡散させる最強のSNS文章術!!
公開日:2021/2/20
「バズる」とは、「ガヤガヤ言う」とか「ざわめき」を意味する英語の動詞「buzz」を日本語化した言い方で、インターネット上において話題になることを指す。実は私も某SNSで一度だけバズったことがあるのだが、残念ながら一瞬の煌き、二度と再現できずにいる。拡散されたりコメントがついたりすると、その通知がひっきりなしに届くあの興奮を求めるあまり、炎上するネタを投稿したい誘惑にさえ駆られ、こりゃいかんと『バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる』(成毛 眞/SBクリエイティブ)を教本にすることにした。元マイクロソフト社の代表取締役社長であり、現在は書評サイト「HONZ」の代表を務める著者は初めに、ライターや編集者などより「職業的に文章とは無縁の世界にいるアマチュアのほうがSNS上で大化けする可能性が高い」と述べている。むむむッ、聞き捨てならない話である。
炎上は百害あって一利なし
いきなりカウンターパンチを喰らった感はあるが、著者の指摘はいちいちもっとも。それこそ話題性アップのために炎上を狙うなど、もってのほかのようだ。「紙の本であれば絶版になることもあるが、ひとたびネットに書いた情報は半永久的に残り続ける」という怖いことであるし、特に「悪口を書くのは、じつはマーケティングの観点からもまったく賢明ではない」からと理由を挙げている。それはSNSの特性としてフォロワーの存在があり、悪口ばかりを発信していると悪口を好む人たちが集まってきて、そういう人たちもまた悪口を好んで発信するためだ。この点に関しては、「誰か(何か)に対する悪口よりも、誰か(何か)に対する賞賛を好んで読む人のほうが、はるかに多い」うえ、そういう前向きな人のほうが何かを買うといった行動力があるから、「ディスるよりほめろ」とのこと。
情報は広く集める
ただし、それで自分と似た属性の人ばかりをフォローするのではなく、「フォロー相手の性別や年令などの属性をバラけさせることも重要」だとしている。それは、書くネタを自分で考えなくても自然と集まるようにするためだ。そうすればネタの幅が大きく広がり、「今日は20代男性向け」「明日は40代男性向け」「今日は政治ネタ」というように発信する内容が多様になり、自分の読者層も広がっていき、バズることにつながる。
それこそ著者は、「賛同できない人もあえてフォロー」するとともに、ときおり「いいね!」もしているのだとか。何故なら、一つは何を書いてはいけないかの「反面教師」とするため、もう一つはSNSはアルゴリズムによって表示される投稿が選択されているので、「何かしらアクションを起こさないと、その人たちの投稿が表示されなくなってしまう」からとのこと。こうして行動する中でも、有益な情報を集めるのが目的であるから、不愉快なコメントをつけてくるような人は即ブロックして整理を行なうのも重要だという。
「頭のいい中学生が書いた文章」を目指す!
もう少しテクニック面に目を向けると、自分の悪手が見えてきた。というのも私は、漢字が大好き。横文字のカタカナ語より、漢字のほうが美しく意味も分かりやすいと思うのだ。しかし著者は、「読みやすさ」を演出するために「漢字はできるだけ開いた(ひらがな表記にした)ほうがいい」)と指摘する。同時に「開きすぎると、今度はひらがなだけの絵本のように読みづらくなる」から、アクセントとして漢字やカタカナを交えるよう指南している。
この、開いたり閉じたり(閉じる=漢字で表記す)するテクニックは「意味」にも使え、「書き手の知性が問われるところである」とさえいう。熟語や専門用語などは、「誰が読んでも通じる文章」に変換したほうが良い一方、やはりやり過ぎると稚拙で読みづらい文章になってしまう。その加減について著者は、「頭のいい中学生が書いた文章」を意識すると述べているのだが、なるほど上手い云い回しをするものだ、と感心した。
何ごとも基本が大事
そして、小手先のテクニックに頼っては駄目だとも反省した。というのも、バズるために文章の見た目を整える過程では、誤字脱字等をチェックする校正や、自分の書きグセを把握して修正していく「推敲」と呼ばれる基本的な作業が大事だからだ。本書にも、著者がフェイスブックに投稿した文章が載っており、推敲前と推敲後を見較べることができるようになっている。やはり何事も、基本は外せないんである。
そうそう、実はツイッターは会社の方針として、SNS(社会的ネットワーキングサービス)ではないと考えているのだとか。コミュニケーションネットワークであり、その使い方はユーザーに委ねられているということらしい。そして本書もまた、「SNSといっても短文を投稿するツイッターやインスタグラムなどでは“書き手”とは呼べない」としているのだが、スマホの狭い画面を考慮すると「140字に1つ行間を作れ」とアドバイスしているように、短い一文に工夫をするのはバズる文章の書き方の訓練になるだろう。
文=清水銀嶺