あなたが直面している悩みはなんですか? シンプルな考え方で最良の答えを導き出す方法とは?/一番いい答え-絶対後悔しない最適解の見つけ方-①
公開日:2021/3/1
論理競技で6連覇を果たした著者が、仕事や日常生活の悩みなどを「シンプルな考え方で最良な答えを導き出す方法」で分かりやすくご紹介しています。読み進めていくたびに、あなたに合った「一番いい答え」が見つかりますよ。
はじめに
〝ばくぜんとした考え〟がその悩みを解決する「一番いい答え」に変わる
まさに今、あなたが直面している悩みを思い浮かべてみてほしい。
人間関係、仕事、お金、健康、未来……。人の人生には、問題、課題、難所が待ち受けている。
悩みと対峙したとき、あなたは〝一番いい答え〟を出すために、どのようなアプローチをしているだろうか。
問題解決の際、人の態度・姿勢はさまざまだ。
多くの人が、「勘や直観に頼って答えを出す」「今までの経験に基づいて判断する」
「何も考えずに、その場しのぎの適当な答えを出す」ということをやってしまっている。
情報すら仕入れずに、決断してしまうこともよくある。これで、〝一番いい答え〟を導き出せるのか。私は絶対にそう思わない。これらの問題解決アプローチはやめよう。
筋の良い答えを出せるシンプルな技があるからだ。
▼当てはめるだけでいい! イギリスの哲学者・教育者が考え出したシンプルな考え方
〝一番いい答え〟を出すには、明確なメカニズムが存在する。それは、「トゥールミンモデル」にしたがって、あなたに合った〝一番いい答え〟を出す方法である。
「トゥールミンモデル」というシンプルな思考の型を使えば、あなたが抱える悩みに対する〝現状の中での最良の答え〟が見つかる。
トゥールミンモデルは、イギリスの哲学者で教育者のスティーヴン・トゥールミンが考え出した思考の型だ。
この思考法は、とてもシンプルだ。そして、誰でもすぐに使えるのに、多くの人が知らない。本書で詳しく説明していくが、わかりやすく言うと公式はこうだ。
最適解=「あなたの意見」+「根拠となる事実」+「意見と事実をつなぐ理由」
この公式に、あなたの頭の中の考え、あなたが持つ情報を当てはめるだけで、限りなく正解に近い答えが見つかる。
誰もが直面する悩みに対して、「なんとなくこうしよう」と考える。
この「なんとなく」の〝ばくぜんとした考え〟を論理でまとめ、一番いい答えにするのが、トゥールミンモデルだ。
ただ当てはめていくだけなので、難しいことはない。安心してほしい。
▼「メリットがある、論理的な答え」が見つかるトゥールミンモデルとは?
一番いい答えとは、「最適解」のことである。大人、社会人の世界には、学生時代のテストのように「〇か×か」というわかりやすい答えがない。
そこで、より〝メリットがあり〟〝論理的である〟答えを見つけ出すしかない。決断に後悔しないためには、現実的で最も効果のある答えを導き出す必要がある。
では、その「最適解」を出すための方法を、なぜ私が書いているのか。
それは、ディベートという代物が、「トゥールミンモデル」そのものだからである。
もっとわかりやすく言うと、ディベートでやり取りする議論は「トゥールミンモデル」に基づいてつくらねばならないからだ。
ディベートとは、あるテーマに関して異なる意見を持った人たちが、見ている観客を説得するように議論する競技だ。
私は論理競技であるディベートの選手(ディベーターと呼ぶ)として、大会やテレビでディベートの試合を繰り広げてきた。そのディベーター経験に基づき、ディベートの指導者として17年間、大学生からビジネスパーソンまで、のべ1万人に教えてきた。
10冊以上の書籍を執筆して世に問い、テレビやインターネットでディベートの番組をつくる際、出演したり、企画をしてきた。
このように、31年にわたってディベートのさまざまなシーンを経験してきた。
そして、多くのディベーターと向かい合ってきて、こう感じている。
「ディベーターはスゴイ奴ら」だと。
▼7つのスゴイ力が身につき、自分に合った最良の答えが導き出される
ディベーターは、7つのスゴイ力を持っている。なぜなら、これらの力を伸ばすために日々訓練しているからだ。
1 情報を収集し、考えをまとめる力
2 重要な考え・言葉を選別する力
3 証拠資料を評価する力
4 論理構成を見抜く力
5 要点を押さえて、まとめて、話す力
6 説得力のある話をする力
7 局面に適応できる瞬発力
これら7つのスゴイ力をあなたにも身につけてもらうために、思考の型である「トゥールミンモデル」を軸に、理解・体感してもらおうというのが本書の意図である。
▼17年間のべ1万人への指導を基にわかりやすく解説! 短い時間で答えが出る!
ディベートには、さまざまなルールが存在する。その中でも「制限時間がある」というルールは私のお気に入りだが、あなたにもきっと役に立つ。というのは、時間がない社会人は、限られた時間で答えを見つける必要があるからだ。
「短い時間で、一番いい答え(最適解)」を導き出すのに、ディベートの技術を使わないのはもったいない。同時に、説明、プレゼン、議論、交渉の能力も高まる。
おもしろくて身近な事例、例題を使いながら、楽しくわかりやすく身につくように工夫した。実践と指導経験を活かし、誰もがすっと理解できるように書いた。
ぜひ、あなたが結論に至るまでの筋道のつくり方を、本書を通じて学んでもらいたい。1ページ開くたびに、あなただけのための「一番いい答え」が見つかっていく。