“トゥールミンモデル”の型に当てはめるだけで「一番いい答え」が見つかる!?/一番いい答え-絶対後悔しない最適解の見つけ方-②
公開日:2021/3/2
論理競技で6連覇を果たした著者が、仕事や日常生活の悩みなどを「シンプルな考え方で最良な答えを導き出す方法」で分かりやすくご紹介しています。読み進めていくたびに、あなたに合った「一番いい答え」が見つかりますよ。
限りなく正解に近い答えとは?
この本のテーマは、ズバリ「どうすれば、〝自分が直面している悩み〟の〝最適解を見つけられる〟か」である。
最適解とは、「現状の中で最も適した、理想的な答え」のことだ。
自分が考えていることを、「唯一無二の正解」にするためにはどうすればいいのか、という疑問を抱く人は多い。
まず、前提として知ってもらいたいのは、世の中は、とりわけビジネスの世界では、学生時代のテストのように「〇か×か」といった、二者択一のわかりやすい答えは皆無であるということだ。
TPO(時間、場所、機会)によって答えは変わるし、あなたの悩みに関係する相手の性格・気質・特徴の違いから、万人に通用する一定の答えは存在しない。
だからこそ、より良い「最適解」を模索しなければならない。
では、「最適解」に至るために、何をしなければならないのか。
重要なことは、「自分の考えが論理的」であり、「自分や相手が受け入れられる」、言い換えれば「メリットがある」答えでなければならない、ということだ。
もう少し詳しく書くと、あなたの思考が、客観的に見て「物事の筋道に沿ってわかりやすいもの」である必要がある。
そして、その内容が自分や相手にとって、得であったり、都合が良かったり、納得感があったりする内容でなければならない。
▼当てはめるだけで〝なんとなく〟が「最適な答え」に変わる
あなたの「なんとなく」「あいまい」な考えを明確にし、「最適解」を見つけるために必要な、必殺の道具、それが「トゥールミンモデル」である。
先にも少し触れたが、トゥールミンモデルは基本的に、「クレイム」+「データ」+「ワラント」で成り立っている。
これらを結んだ三角ロジックは、イギリス・ロンドン出身の哲学者・教育者であるスティーヴン・トゥールミンが議論の分析のために考案したモデルだ。
なぜ、「トゥールミンモデル」で、あなたの考えがクリアになるのか。
それは、「トゥールミンモデル」自体が、思考を明確化するためのシステムそのものだからだ。
そのシステムは、大まかに3つの要素で出来上がっている。
「クレイム(主張・結論)」
「データ(事実)」
「ワラント(論拠)」
である。
これら3つの中に、自分の持つ「考え」や「材料」を当てはめることで、自動的にあなたの考えは明確になり、論理的になる。
このダイナミズムを体感してもらうのが、本書の役割である。
この〝型〟で出来ている「最適解」が悩みを解消!
▼クレイムとは?
クレイムとは、自分が論証したい内容のことである。「あなたが主張したいこと」の内容であったり、「あなたの結論」だ。
▼データとは?
データ(事実)とは、クレイム(主張・結論)を導くために提示する証拠のこと。主張、結論の正当性を裏付けする事実のことだ。
▼ワラントとは?
ワラントとは、日本語では論拠と言い、その字のごとく「議論の拠り所」のことである。
ほかの表現を使えば、クレイム(主張・結論)とデータ(事実)を結びつける理由のことで、2つを橋渡しするものである。つまり、あるデータ(事実)から、クレイム(主張・結論)を導くためのテコの役割をする。
クレイム(主張・結論)に対し、「なぜ、そう言えるのか?」を説明するもので、〝隠れた理由〟と表現するとわかりやすい。
クレイム(主張・結論)とは、データ(事実)とワラント(論拠)で支えられた論理的プロセス(このプロセスを推論という)のことである。正しいと推定される答えだ。
データ(事実)はもちろん、ワラント(論拠)が欠けてしまうと、そのクレイムは成立しない。主張や結論は意味のないものになってしまう。
つまり、事実と論拠を使って、「悩みや問題を解決する答え」の見当をつけるためのテクニックがトゥールミンモデルなのだ。
そして、この方法なら、その答えの精度を極限まで高めることができる。確実な正解がこの世にはないので、この方法で答えを出すことがベストであり、これ以上の答えはない。
トゥールミンモデルに「あなたの考え」と「持っている情報」を当てはめて初めて、あなたの答えはようやく有効になり、最適解となる。
他者が関係する問題や悩みに関して言えば、トゥールミンモデルの型に当てはめることで、あなたの主張は明確で、わかりやすく、説得力あるものに仕上がり、相手に受け入れられるようになるのだ。