「もう夫婦でしょ!」とツッコミたくなるほど仲良しのお隣さんとは、いったいいつから付き合うの?
公開日:2021/3/14
「それ、もう夫婦でしょ」とツッコミを入れたくなるほど仲の良い男女が、なかなかくっつかない。そんな焦れ焦れを楽しめる『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』(佐伯さん/SBクリエイティブ)が好評で、コミカライズの企画も進行中とのこと。その人気の秘密が知りたくなり手に取ってみた。
主人公は、高1男子、周(あまね)。ヒロインはお隣に住む同級生、真昼(まひる)。真昼は、学校では「天使様」と呼ばれるほどの正統派美少女だ。どちらも訳あって一人暮らし。そしてなぜだか2人ともクラスメイトと馴染んでいない。というか正確には馴染もうとしていないのだが。
そんな2人は話したことも、お互いが隣に住んでいることも知らなかったが、とあるきっかけから真昼が周の夕食を毎日作ってくれるようになる。
美少女の手料理だと! そんなうまい展開うらやましすぎるというか、ありえなすぎる! しかし、周と真昼は「なんとなく自然」な流れでこの関係になるところがすごい。どう「なんとなく自然」なのかは、ネタバレになってしまうので説明を控えておくが、とにかく「天使様」が毎日ご飯を作ってくれて一緒に食べるのだ。これは恋人確定……と思うのだが、周の自己評価が低すぎるためとにかく前に進まない。「俺なんかが天使様にお近づきになるわけには」というスタンスなのだ。
この低い自己評価は、周を冷静な大人であるように見せもするが、今後の彼の人生を考えると大変心配になるほど。これは真昼も同じなのだが、そんな2人の距離が縮まりながら少しずつ成長していく姿がこの作品の見どころだろう。そしてもうひとつ見どころがある。それは真昼の作る料理が美味しそうなこと。やたらと卵料理が出てくるのには笑ってしまうが、登場する料理には、ほっとできる温かさがあり、2人の心をほぐす役割もある。
また、これはあえて狙ったわけではないと思うが、2人の背景描写はほぼ主人公の家だ。天使様の存在の有無はともかく、私たちも家に居る時間が増えた今日このごろ。美味しいご飯でほっこり温まる時間を持ちたいものだ。
文=奥みんす