ドラマとは違う展開!?『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』ロスの人必見のノベライズ版!
更新日:2021/3/18
菅野美穂&浜辺美波が主演する連続ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系・水曜午後10時)がついに最終回を迎える。恋愛小説家でシングルマザーの母親と、恋愛経験のないオタク娘。トモダチ母娘が各々の恋に奮闘するエキサイティングラブストーリーには、何度胸をキュンとさせられたことだろう。母娘の関係はどうなっていくの? 人それぞれの恋の行方は? 『ロングバケーション』『オレンジデイズ』『半分、青い。』などで知られる北川悦吏子氏の脚本は、想像を遥かに超える展開ばかり。ハラハラドキドキさせられながら、とにかく続きが気になって仕方がない母と娘のラブコメディ作品だった。
最終回が楽しみだけど、これで終わっちゃうと思うと寂しい――すでにそんな「ウチカレ」ロスを感じている人は、今度は小説で、「ウチカレ」を味わってみてはいかがだろうか。『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(北川悦吏子/文春文庫)は、このドラマの脚本を小説化した一冊。「ウチカレ」ロスの人、必見の作品なのだ。
まだ「ウチカレ」に触れたことのない方々のためにこの作品のあらすじをご紹介するとしよう。恋愛小説家でちょっぴり天然なシングルマザー、水無瀬碧の悩みの種は、ハタチの一人娘・空のこと。しっかり者なのだが、筋金入りのオタクで、彼氏ができる気配が全くないのだ。ある日、続編を見込んだ碧の渾身の初ミステリーの連載打ち切りが決定する。「次回作は久々の恋愛小説を」と編集者から言われたが、碧は恋愛から遠ざかっている自分に自信をなくしていた。
だが、作品を書かなくては空と暮らすタワーマンションのローンが支払えなくなる。一時は引っ越しも検討するも、空は碧に、オタクの自分が恋をするからそれを小説のネタにすればいいと提案。碧は空の恋愛宣言に歓喜し、とびきりの恋愛小説を書き上げると俄然やる気を出すのだった。
この本の中には、あの「ウチカレ」の世界がギュッと詰まっている。ドラマを毎週楽しみに観ていた視聴者は、小説の台詞が脳内ですべて、ドラマのキャストたちの声で再生されることだろう。また、「ウチカレ」を見そびれてしまったという人も一度小説をひらけば、北川悦吏子氏の生み出すノンストップラブコメディに惹き込まれてしまうに違いない。街中で運命的に出会い、空が思わず一目惚れした整体師の渉周一。大学きってのモテ男で、空と一緒に漫画を制作することになる入野光。空はどちらを選ぶのだろうか。
一方で、碧の恋の行方も気になる。老舗鯛焼き屋・おだやの店主で碧の幼馴染のゴンちゃんを選ぶのか、それとも、碧の担当編集者となった橘漱石を選ぶのか。はたまた、元恋人で、空の父親でもある一ノ瀬風雅を選ぶのか…。母にも娘にも恋のチャンス到来。恋愛から遠ざかっていた天然母と、恋愛未経験のオタクなしっかり娘の恋の行方から目が離せなくなる。
とはいえ、ドラマとノベライズは、まったく同じ内容が描かれているかというと、そうではない。ノベライズが校了した後も、何度も脚本を書き直してからドラマ撮影に至ったシーンもあるため、ところどころ、ドラマとは異なる場面も出てくるのだ。だからノベライズを読み進めれば、「こんな裏話があったのか」「この展開、ドラマと違う」と思わされることも。たとえば、9話で話題となった、光の腕に空が顔をうずめるあのシーンは、北川氏は「9回も書き直した」とTwitterで明かしている。そして、ノベライズではその後に思いがけない展開が…! 「このシーンはノベライズが好き」「このシーンはドラマがグッとくる」などと、比べながら読むのも面白い。
母と娘のトモダチのような関係。目まぐるしく変わりゆく恋模様。思いがけない展開に、心が切なくなったり、温かい気持ちになったり…。あなたもドラマとあわせて、ノベライズでも『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』の世界を体験してみてはいかがだろうか。
文=アサトーミナミ