今田耕司「マンガはジャンルを問わず、なんでも読みます。たまに少女マンガも読んでキュンキュンしてます(笑)」
公開日:2021/4/18
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、舞台『てれびのおばけ』の公演を間近に控える今田耕司さん。マンガにハマったという10代の頃のエピソード、また新作舞台のテーマにもなっている80年代のテレビ業界の思い出をたっぷりとお話しいただきました。
仕事で新幹線に乗ることが多い今田耕司さんは、移動時間を読書に当てているという。選ぶ本の基準はもっぱら仕事仲間からの推薦だ。
「ケンコバ(ケンドーコバヤシ)とか本当にマンガに詳しいですからね。だから、いろんなジャンルを教えてもらって読むんですよ。『呪術廻戦』や『チェンソーマン』も好きですし、『GIANT KILLING』や『アオアシ』のようなスポーツマンガも読む。長く連載をしているものが多くて、気に入ったら一気に大人買いです」
マンガ好きになったルーツをお聞きすると、「たくさん読み始めたのは中学生くらいだったかなぁ」とのこと。
「家が厳しくて、小さい頃は読ませてもらえなかったんですよね。その反動で、10代になるとどんどん読むようになって。当時はコミックスを買うのではなく雑誌派でした。『週刊少年ジャンプ』を近所のタバコ屋のおばちゃんに発売日前に売ってもらったりして、それを友達で回し読みして。ちょうどゆでたまごさんが賞を獲って(赤塚賞準入選)、『キン肉マン』の連載が始まった頃でした。『Dr.スランプ』の第1話も覚えてますよ。“どえらい画力の作家が出てきたなぁ”って驚きましたもん」
ちなみに、その頃から“何でも読む”というスタイルは生まれつつあったそうだ。
「お姉ちゃんがいましたからね。『りぼん』とか『花とゆめ』もずっと読んでいて。『生徒諸君!』も好きやったなぁ。それもあって、今もたまに少女マンガを手にします。『きょうは会社休みます。』を読んではキュンキュンしていますよ、50過ぎのおっさんが(笑)。さすがにそのことはあんまりまわりに言えないですけどね。“これは笑いにもならんのとちゃうか”と思って(笑)」
芸人としてブレイクし、いまでは名MCとして数々のテレビ番組の司会を担当。そんな今田さんが2008年からライフワーク的に続けているものがある。舞台だ。作・演出の鈴木おさむさんとタッグを組み、これまで6作品に挑んできた。そして今年、待望の新作を上演。気になるその中身は、テレビの裏側がテーマだという。
「現代と1980年代のテレビ業界を描いたもので、タイトルが『てれびのおばけ』。おさむ君から企画書が届いたときは、純粋に“これはおもろそうやなぁ”と思いました。作り手の話なんですが、80年代はほんまにめちゃくちゃでしたからね。テリー伊藤さんなんて、まさしく“てれびのおばけ”。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』や『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ‼』といった、今では絶対に放送できないような番組を次々と生み出していき、“こんなことはテレビにしかできんぞ”っていう夢があった。僕がテレビに出させていただくようになったのは、その少しあとですけど、『ダウンタウンのごっつええ感じ』を放送していた頃の松本(人志)さんもキンキンに尖っていて(笑)。危険なことに対してアクセルを緩めないどころか、ブレーキを壊してから車に乗るような人たちばかりでね。あの時代を経験できたというのは、僕にとって宝物になっていますね」
また、今回はW主演として霜降り明星・せいやも出演。世代を超えたテレビ界のトップランナー2人がどんな業界の裏を見せてくれるのか、期待が高まる。
「せいやも古いバラエティ番組を見るのが大好きで、すごく詳しい。ただ、当時の現場がどうだったかまでは知らないでしょうから、きっと驚くと思いますよ。それに、彼もいい意味でぶっ飛んでいるところがある。どこかネジの外れた“こっち側の人間”なんです(笑)。お笑いの才能に関して霜降り明星は天才的で、同世代の中でも群を抜いてるところがありますが、はたして役者としてどんな一面を見せてくれるのか。僕も楽しみにしています」
取材・文:倉田モトキ 写真:山口宏之
舞台『てれびのおばけ』
脚本・演出:鈴木おさむ 出演:今田耕司、せいや(霜降り明星)、藤田 玲、石井杏奈 4月14日(水)〜18日(日)東京・本多劇場で上演 ●2008年よりスタートした今田耕司×鈴木おさむによる舞台シリーズの第7弾。3年半ぶりとなる新作は、現代と1980年代を舞台に、“面白いテレビ番組”を作ることに魂を売った人間たちの物語。霜降り明星のせいやをW主演に迎え、世代の異なる芸人2人と鈴木おさむが、テレビ離れが加速する現代に向けてテレビ番組制作の裏側をリアルに紡ぎ出す――!
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