ハタチにしておばさんになった話~アイドルと年齢~/飯窪春菜の「かわいげがなくてごめんね!」②
公開日:2021/4/17
モーニング娘。のメンバーとしてアイドルデビュー。華やかなる舞台に立ちながら、ひそかに抱えていたモヤモヤをセキララに綴る、覚悟の本音コラム!
マンガ大好き女優として、各コラムでおすすめマンガも紹介します♪
私の中にくすぶる怒りをぶっちゃけるコラム、記念すべき初回のテーマは「年齢」について!
初回からちょっとディープに、ちょっとダークになってしまいますが……。どうしても向き合っておきたいテーマなので、アイドル時代からの気持ちを正直に書いてみようと思います。
私は16歳でアイドルになりました。モーニング娘。として16歳から24歳まで活動した期間は、楽しいことも大変なこともある7年間でした。モーニング娘。にならなければ経験できなかったこと。宝物のような時間。一生残る思い出や気持ちをたくさんもらいました。
でもそんな宝物の中に、ちくっとするものも実はあって。
そのひとつが「年齢」についてでした。
デビューしてまもないころ、SNSでこんな書き込みを目にしました。
「おばさんが加入してきた」
「高2ってことはもう色々経験してるだろ」
しょ、衝撃……。
アイドルは「年齢」という要素で、推す/推さないのふるいにかけられるのだということを知りました。中身を知られることなくシャットアウトされたと感じた瞬間でした。
私は歌もダンスも苦手で、実力不足な部分がたくさんあるから頑張らなきゃ!と思っていたけど、年齢は頑張りではどうにもできない……。
高校2年生16歳。今でこそそんなに珍しくない年齢でのスタートに感じますが、当時のグループには小、中学生のメンバーもたくさんいたので、確かに少し大人な年齢に見えたかもしれません。
「長く推したいから、より若い子を」という気持ちはわからなくない、というか、自分がアイドルを応援する側だったらそう考えるかもしれません。
ただ、アイドルになった側から言えること、わかることは、卒業するタイミングは年齢ではないということです。
メンバーそれぞれが考えたタイミング。だから“推すことができる期間”に年齢は関係ないのです!
2014年、当時リーダーだった道重さゆみさんが卒業して、20歳の私がグループ最年長になりました。その頃からさらに「おばさんいじり」が増加。
「ハタチっておばさん!?」
「アイドルはハタチにしておばさんか〜〜〜〜〜っ!!!?」
とムカついてた……はずなのに、周りから言われるうちに、
「ハタチっておばさんなのかもしれない」
「アイドルを卒業した方がいいのかも」
という考えが、少しずつ私の頭の中を支配していきました。自虐ネタとして自分で口にするようにもなって、ますます心をすり減らしていたとも思います。
自分がやりたくてやっているのに、アイドルとして「許されていない」という感覚がずっとありました。
日本のアイドル文化はすごいと思うし、私もアイドルが大好きです。でもアイドルとして求められているのは「すごく若くて、まだ誰の手にも触れられていない女の子」で、自分はそうじゃなく見えてるんだなって、ずっと思っていました。
もちろん、そんなことない!と思う方も大勢いるでしょう。ただ、私がここで書くことは、そういった一面もある、ということです。
こんなことを言うべきじゃないかもしれないけど、ファンの方がくれる言葉は「薬」にもなるし、「毒」にもなるのです。愛のあるいじりでも傷つくことはある。
暗い感じになっちゃったけど、何が言いたいかというと……。
お願いです。努力じゃどうにもならないことで、どうか、ふるいにかけないで!
歳を重ねてますます魅力的になっていく女の子たちを、応援してほしいなって思います。
私も、歳を重ねていくことを恐れず、自信を持って生きたいと思いますっ!
●マンガ大好きはるなんによる、今回のおすすめマンガ
『かってにシロクマ』
相原コージ
ゆるいギャグ漫画ですが中にはシロが、他の動物達に森にシロクマがいることを否定されるシーンがあります。シロはシロ、おっちょこちょいで優しい男の子だってことを家族は分かっているけど、切なく感じました。