夜の赤ちゃんへの対応は夜間救急外来といっしょ。日中と違って「できること」を制限しよう/子育てで眠れないあなたに⑦
公開日:2021/4/26
『子育てで眠れないあなたに』から厳選して全11回連載でお届けします。今回は第7回です。
「ママは眠れなくて当たり前」…それって本当に「当たり前」ですか? 最も睡眠がおろそかにされている人、それは母親ではないでしょうか。「助けて!」と叫んでいいんです。ママと赤ちゃんを救う睡眠サバイバル術を大公開!
ママの夜勤は「救急外来」と心得て ひとみ先生
はじめに、ある例え話をします。私は病院に勤めているので、つい例えが病院絡みになってしまいます。ピンとこない方がいたら申し訳ないです。
病院、特に救急部門を持つ総合病院は基本的に24時間営業です。なぜなら、急患は24時間、待ったなしで発症するからです。なので、夜間も救急外来という形で病院をオープンさせているところが多い。外来以外にも、入院患者さんに対応するスタッフも夜に配置する必要があります。
でも、24時間、フルパワーで営業するマンパワーは、今の医療業界にはありません。
だから、夜間救急外来も入院の夜勤も、日中と違って「できること」を制限します。日中にできる手術や処置は、日中に行います。検査も、一晩を乗り越えられるための最低限の検査にします。手術も処置も検査も、やればやるだけ、そのための人手を必要とするからです。
これは、育児も同じだと思います。24時間、ママが一人で赤ちゃんの面倒を見なければいけないのなら、24時間フルパワーで育児をこなすことは不可能です。24時間フルパワーで働き続けることができる人間はいないからです。
夜の赤ちゃんへの対応は、夜間救急外来と一緒です。必要最低限でいいんです。
オムツを替える時はぱぱっと素早くそっけなく。目を合わせて話しかけたり、抱っこしてスキンシップしたり、しなくていいのです。日中にやりましょう。
授乳もミルクも、いちいち目線を合わせて愛情を伝えて…なんてことは気にしなくてもいいのです。日中にやりましょう。
手足をバタバタさせて遊びたがっても、深夜に遊びに付き合う必要はありません。日中にやりましょう。
「今は夜だから」という理由で、赤ちゃんへの対応をそっけなくすることは、全然構わないことです。むしろ、昼と夜の態度や対応をあえて変えることで、赤ちゃんは昼と夜は違うということを学んでいきます。
何より、24時間フルパワーで赤ちゃんに対応していたら、ママの体が到底持ちません。
夜中は、「愛情が……」とか「愛着の形成が……」とかは気にせず、堂々と、必要最低限のお世話にとどめましょう。赤ちゃんには「今は夜だから、明日の朝にしようね」という気持ちで接してください。
ここで一番問題になってくるのは、夜泣きです。
お世話や遊びの要求にそっけなくすることはわかった。けれど、泣いてしまったら? どう対応すればいい?
夜泣きへの対応は、赤ちゃんの昼夜のリズムを作り、何よりママの細切れ睡眠の卒業において、非常に重要な、コアとなる部分です。
次の連載から、夜泣きドクターのもりたま先生が詳しく解説しています。ぜひご覧ください。