本をめくればたちまち広がるパリのムード! プチ旅行気分で楽しむフランスのライフスタイル本

暮らし

公開日:2021/4/24

フランスの小さくて温かな暮らし 365日
『フランスの小さくて温かな暮らし 365日』(トリコロル・パリ/自由国民社)

 旅に出て、現地に行ってこそ感じられる人々の営みや、その土地のにおい、意外な文化……。「次はいつこの空気感を体験できるのだろう?」今は旅行好きには我慢の時ですが、そんな寂しさを優しく癒してくれる1冊が『フランスの小さくて温かな暮らし 365日』(トリコロル・パリ/自由国民社)です。

 フランスの情報サイト『トリコロル・パリ』を運営する荻野雅代さん、桜井道子さんがフランスでの暮らしを365日分綴った本書は、まるでおふたりの日記を覗いているかのような構成。フランスならではの四季折々のイベントや、街で見かける何気ない景色についてのトリビア、フランス人が持つ価値観の話、お家で再現できるおいしいレシピまで、わくわくするような情報が満載です。

 おしゃれな写真とおふたりが書くみずみずしい文章からは現地の空気感を感じることができ、読んでいるうちに自分がパリの街角を歩いているような気分に。

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フランスの小さくて温かな暮らし 365日

 例えば、8月22日はパリのカフェの藤椅子にまつわる話。フランスにはこの椅子を作る老舗メゾンが2つあり、その「デュケール」、「ガッティ」の名が刻まれたプレート付きの藤椅子を並べることが、一流の店の証とされるそう。「次にパリに行ってカフェに立ち寄ったら、椅子にプレートが付いているか探してしまいそう!」なんて、妄想が広がります。

 旅行気分を味わえるページもあれば、思わず微笑んでしまうフランス人のかわいらしい習慣を紹介したエピソードも。

フランスの小さくて温かな暮らし 365日

 10月21日に綴られているのは、日本でも有名なデュラレックスのグラスについて。フランスの子どもたちは、コップの底に刻まれた製造番号の数字を見て「僕は34才」「わたしは2才」と言い合いっこするのがお決まりの遊びなんだとか。「なにそれかわいい……。我が家にもあるデュラレックスは何才だっけ?」とすぐにグラスの底を確かめてしまったのは、言わずもがなです。

フランスの小さくて温かな暮らし 365日

 5月1日のメーデーには、大切な人にすずらんを贈って幸せを祈る習わしがあるそう。「今は旅行に行けないから、フランスの気分を取り入れて5月1日にはすずらんを家に飾ろうかな」なんて、お家時間を楽しむヒントももらえます。

 本書は1ページ目から順番に読む必要もなければ、一気に全部読む必要もありません。その日の気分でパッと開いたページを読んで、パリの空気を感じるだけで、毎日がちょっぴり心地よくなって、いつもより優しく過ごせるような気がします。「週末は本に載っていた『さくらんぼのクラフティ』を作ってみようかな」「今日はあのパン屋さんのバゲットを買って帰ろう」。本に綴られている暮らしのエッセンスを取り入れて、過ごしてみるのもいいかもしれません。今は旅に行けなかったとしても、本を開けばそこにはパリが。そして、実は何気ない日々の暮らしが幸せで、愛おしいと思い出させてくれる1冊です。

文=水卜小枝