怒涛の9カ月連続放送! 今の『転スラ』を見逃すな!④――『転生したらスライムだった件』R・O・Nインタビュー
公開日:2021/4/26
スライムに転生してしまったサラリーマンが始める新しい異世界ライフ! 主人公リムルは彼を慕い集った数多の魔物たちと<ジュラ・テンペスト連邦国>を建国し、「人間と魔物が共に歩ける国」というやさしい理想を形にしつつあった。だが、この世界には、魔物に対して敵意を向ける存在がいた――。
『転生したらスライムだった件』は著者の伏瀬が小説投稿サイト「小説家になろう」で連載し、人気を集めた作品。川上泰樹によるマンガ版が執筆され、そのマンガ版をベースにアニメ化が行われた。アニメの第1期は2018年10月からスタート。第2期の第1部が2021年1月から3月まで放送され、4月からはスピンオフ作品『転生したらスライムだった件 転スラ日記』のアニメ版も放送開始。7月からは第2期の第2部が放送を予定している。
今回話を聞いたのは、『転スラ』シリーズの音楽面でも活躍しているコンポーザーのR・O・N。『転スラ』第2期第1部のエンディング主題歌“STORYSEEKER”をSTEREO DIVE FOUNDATIONとして担当。そして『転スラ日記』ではオープニング主題歌の楽曲提供と劇伴を手掛けるなど、さまざまな角度から『転スラ』シリーズに関わっているのである。はたして、彼はこの『転スラ』シリーズにどんな思いを抱いているのだろうか。音楽の視点から見る、『転スラ』の魅力とは!?
エンディング主題歌では、決断や人生の選択を意識しました
――『転生したらスライムだった件』は人気の高いシリーズとなっています。作品全般に対する印象をお聞かせください。
R・O・N:『転スラ』はいろいろな目線で楽しむことが出来る作品だと思っています。主人公のリムルはもちろんですが、どのキャラクターも魅力的です。転生する前は僕と同年代のサラリーマンだったと知った時は驚きました。
――R・O・NさんはSTEREO DIVE FOUNDATIONとしてTVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』のエンディング主題歌も歌唱されています。エンディング主題歌を制作するにあたり、コンセプトやご自身の目標などがありましたら、お聞かせください。
R・O・N:POPなトラックを作りたいと思っていたので、それを投影できる作品に参加させていただいて、感謝しています。聴くと元気になるけど、どこか郷愁感があり、リズムが気持ちいい。そういう楽曲を目指しました。
――エンディング主題歌“STORYSEEKER”を作るうえでキーワードとなった言葉や方向性があればお聞かせください。
R・O・N:物語を探し求める人物として、どこか客観的に見ている様子を表現しました。実は最初、この曲は「Storyteller」という曲タイトルでデモを提出していました。その後に、TRUEさんが歌うオープニング主題歌と同じ曲タイトルだと知って変えたのですが、違ったアプローチで同じモチーフを考えていたことに驚きました。
――『転スラ』第2期はリムルの敗退やテンペストの危機、仲間の死、リムルの怒りなど、壮絶な展開があります。このドラマを受けて、楽曲や歌詞をふくらませた部分はあるでしょうか。
R・O・N:決断や人生の選択、意識の変化や進化をイメージしました。今まで他人事だと思っていたことが自分ごとになった時に、急に意識が変わる心理を描けたら、と思いました。
――エンディング映像をご覧になった感想をお聞かせください。
R・O・N:サビに入った時の映像が、非常に気持ちよかったです。また、この曲のMVでは僕も歩いていますし、別々に制作していたはずなのに同じ表現がなされていることに驚きました。
BGMには、スライムを連想させる可愛い効果音を混ぜた
――R・O・Nさんは『転生したらスライムだった件 転スラ日記』の劇伴も担当されています。『転スラ日記』の原作をお読みになったときのイメージなどをお聞かせください。
R・O・N:4コママンガというフォーマットで日常を感じられるのは、本編の作品ファンにも嬉しいと思います。全体的に可愛らしい印象があったので、映像になった時にこのポップさを上手く音で演出できるよう、イメージを膨らませました。
――『転スラ日記』の楽曲を制作するにあたり、コンセプトやご自身の目標などがありましたら、お聞かせください。
R・O・N:統一感を持たせつつも、色々なジャンルや音色を盛り込むようにしました。BGMとしてしっかり機能しつつ、曲単体でも楽しめることを目標にして作りました。
――メインテーマにあたる楽曲はお作りになっていますか。また、そのメインテーマをどのように作ろうとお考えでしたか。楽曲を作るうえでキーワードとなった言葉や方向性があればお聞かせください。
R・O・N:メインテーマというか、PV用の楽曲を先に作りました。可愛らしさの中にオシャレ感を主張し過ぎない程度に入れることで、いいスパイスになったのではと思います。
――『転スラ日記』の楽曲を作るうえで、お使いになった特徴的な楽器や音色があればお聞かせください。
R・O・N:スライムを連想させる可愛いSEや音色を入れるようにしました。テーマ曲作成の際も用いた手法ですが、作品に寄り添えるよう意識しました。
――本編『転生したらスライムだった件(第1期、第2期)』の劇伴からインスパイアされた、あるいはアレンジした転スラ日記』の楽曲はありますか。あればどんな楽曲になるのでしょうか。
R・O・N:『転スラ日記』は本編とは全く違うイメージの作品だと思っていたので、敢えて聴かずに作っています。
とても楽しかった『転スラ日記』のBGM制作
――アニメ『転スラ日記』をご覧になった感想をお聞かせください。
R・O・N:まずはしっかりBGMが作品に寄り添えていたことに安心しました。ところどころで本編の映像が使われていたり、映像はもちろん、演出面でもこだわりが感じられる作品だと思います。
――『転スラ』シリーズに劇伴を提供する楽しさ、面白さをお聞かせください。
R・O・N:監督とのメニュー打ちの際に、音楽を大切にして作品作りをされているんだなという印象がありました。それもあり、『転スラ日記』のBGM制作がとても楽しかったので、今後のシリーズがあれば、ぜひまたやらせていただきたいと思いました。
――『転スラ日記』をご覧になる視聴者に、どんなところを楽しんでほしいと思いますか。
R・O・N:今回、僕は熊田茜音さんが歌うオープニング主題歌の楽曲提供、BGMと転スラ日記に関連する音楽を多く担当させていただいています。アニメ本編はもちろんですが、楽曲も一緒に楽しんで貰えると、非常に嬉しいです。
取材・文=志田英邦
R・O・N(ろん)
作曲家・作詞家、サウンドメイキングプロジェクトSTEREO DIVE FOUNDATIONとしても活動中。劇伴提供作品に『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rhyme Anima』、STEREO DIVE FOUNDATIONとしては『境界の彼方』エンディング主題歌「Daisy」、『憂国のモリアーティ』2クール目エンディング主題歌「OMEGA」など。