『約束のネバーランド』×『CHANEL』のコラボ企画が実現! 描き下ろしコミックと展示会の見どころは?
公開日:2021/4/30
世界的ラグジュアリーブランド「CHANEL(シャネル)」と、人気マンガ『約束のネバーランド』のコラボ企画がいよいよ始動。同作の原作担当・白井カイウと作画担当・出水ぽすかによる描き下ろしコミックが発売され、さらにシャネルとの出会いを追体験できる展覧会が開催されている。
2021年4月30日(金)、集英社からジャンプコミックスとして発売される『miroirs(ミロワール)』。同作を刊行するにあたって白井と出水は、まずシャネルからインスピレーションを受けるため、独自に取材や研究を実施したという。白井は“漫画の形をした出水先生の画集”をコンセプトにネームを組み、創業者であるガブリエル・シャネルのユニークなフィロソフィーや強いパッションを体現する3名の登場人物のエピソードを3章にまとめた。
また4月28日(水)から 6月6日(日)にわたって開催される『MIROIRS – Manga meets CHANEL / Collaboration with 白井カイウ&出水ぽすか』は、コミックのタイトルと同じ「MIROIRS(鏡)」をテーマにしている。展覧会ではコミックの3章構成にならって、3つの空間を展開。「シャネル N°5」「リップスティック」「リトルブラックドレス」などをはじめとして、シャネルにまつわる貴重な資料も展示予定だ。
白井x出水が語る漫画の誕生秘話!
白井と出水へのインタビューでは、タイトル秘話や重要なキーアイテムとして登場する「シャネル N°5」についても言及。その一部をご紹介しよう。
――タイトルを「ミロワール」にした理由を教えてください。
白井カイウ:「miroirs」は、フランス語で「鏡」の複数形です。ガブリエル・シャネルの言葉であると伝わっているもののなかに、鏡についての言葉があって。鏡は自分の正体を正直に映してくれるものだ、自分がどんな人間なのか思い出させてくれる、というような趣旨の言葉です。そんな「鏡」というキーワードが念頭にあった上で、バーチャルや写真でガブリエルのアパルトマンを拝見した時に、螺旋階段や応接間など各部屋に綺麗な鏡がたくさんあったんです。それで、今回は各章にガブリエルから得たイメージの断片をキャラクターのモチーフとしてちりばめていくことにして。それはたくさんの鏡でガブリエル シャネルの様々な面を映している…という体裁にも見えるなと。「鏡がいっぱい」という意味で「ミロワール」にしました。
――メインビジュアルも印象的ですね。執筆にあたってコンセプトはありましたか?
出水ぽすか:このイラストは、シャネルについて色々なお話を聞いていく中で感じた、世界を塗り替えたシャネルのイメージですね。N°5の瓶の形って、シンプルでスタンダードな瓶の形なんですよね。そこから油彩などに使う画材・テレビン油の瓶のシンプルさとリンクされて…絵の具という発想になりました。イラスト内に東京を描けるのは、日本でこのコラボをやることの意味なのかなと考えています。
出水ぽすか:今回の漫画のコンセプトは、「ガブリエル・シャネルの概念を持っている」ところを表現することなので、そういう意味では、あえて顔を見せないことで、ガブリエル本人かもしれないし、そうではないかもしれない、もしくはガブリエルをリスペクトしている今の自分たちなのかもしれない、という色々な可能性を込められたと思います。普段できないことをやらせてもらえたので、新しい挑戦でしたね。
――作品中、重要なキーアイテムとして「シャネル N°5」が登場するそうですね。どのようなシンボルとして描かれるのでしょうか? また、白井先生が考える「シャネル N°5」の意味や価値について教えてください。
白井カイウ:香水=“目に見えない”アクセサリーという考え方や機能に、とても魅力を感じます。口紅をつけるように、ネックレスやイヤリングをつけるように、タイや時計をつけるように、自らを輝かせる香りをまとう。更に、視覚を遮断したとて、その人を思い起こせる情報がある。たとえその人が目の前にいなくても、いなくなっても、その人を感じることができるものがあるという。香水は、その人がその人自身にかけた魔法が、知らず知らず自分にもかけられていた、そんなファンタジックな感傷も感じられて、とても甘美です。
また対談の最後に白井は、作品に登場する3人のキャラクター設定についても詳しく明かしていた。
白井カイウ:1章の主人公は、読書と空想が大好きな少女。彼女は母親と二人暮らしですが、大好きな母と自分が望む分だけ一緒にいることはできません。そして自分が翼を持たずに生まれてきたと思っているような子です(※翼とは、何か誇れるもの。才能・美貌・栄誉その他何かしらの強味のような)。ガブリエル・シャネルも読書が好きで生涯たくさんの本を読んだと聞きました。空想も好きであったと。また、ガブリエルは貧しい境遇に生まれ、12歳の時、病で母を亡くし、父はガブリエルとその姉妹を修道院に預け姿を消してしまったといいます。1章のキャラクターは、修道院で己の置かれた環境を睨み据えながら、本を読んで、世界を広げ、まだ何者でもなかったころのガブリエルに着想を得て生まれました。
2章の主人公は、オシャレと自由を愛し楽しむ女性です。メイクが達者で日々の気分で顔や着る服を変えまくります。ガブリエル自身、色んな恰好を楽しんだと聞きます。そんなガブリエルのオシャレを楽しむ部分、型にはまらない女性であったところ、あとはガブリエルが本当のことをすべていわないこともあり、実体が一見してでは掴みきれないところ、N°5さながら謎めいているところ、などから着想を得ました。そうしてかつてガブリエルが今の時代の女性たちに与えた自由を存分に享受し楽しんでいるのがこのキャラクターです。
3章は、自分の顔・体に強くコンプレックスを抱いている少年が主人公です。世界に息苦しさを感じています。ガブリエルも彼女が生きた当時の流行、当時の(フランスの)一般的価値観からは幾分離れた体型や美的感覚で生まれ育ったと思います。ガブリエルは、自分の着たいもの、したいこと、こう在りたいという姿を貫いて、人々を魅了し、世界の価値観の方を変えていきました。3人目の彼が着想を受けたのは、そういったガブリエルの反骨と、もう一つ、ガブリエルの愛憎が表裏一体ないまぜになっているようなところです。
2021年春に打ち出された日本の文化・漫画と、世界に誇る名ブランド・シャネルとのコラボ企画。漫画と展示それぞれで表現されるシャネルの世界観を、ぜひとも感じてみてほしい。
■『miroirs』 (ミロワール)
著者:原作/白井カイウ 作画/出水ぽすか
発売日:2021年4月30日(金)
レーベル:ジャンプコミックス
定価:977円(税込・本体価格 888円)
■ MIROIRS – Manga meets CHANEL / Collaboration with 白井カイウ&出水ぽすか
会期: 2021年4月28日(水)~ 6月6日(日)
会場: シャネル・ネクサス・ホール
東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
開館時間: 11:00~19:30
入場無料・要予約(詳細はウェブサイトをご覧ください)
https://chanelnexushall.jp/program/2021/manga/