「もう家に帰りたい……」ねこ会社員が奮闘するハートフルコメディ! 仕事帰りの電車の中で読みたい『社畜ねこ』
更新日:2021/5/14
あなたは「社畜」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか? 倒れる寸前まで働かされたり、毎晩サービス残業を強いられたりと、かなりブラックな印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、「社畜」とまではいかずとも、社会に出て働いている人であれば、日々大変な思いをしながら仕事をしているものですよね。たとえば、上司の理不尽な発言に振り回されるとか、参加したくもない飲み会に強制参加させられるとか……。いつも本当にお疲れ様です。
こうした経験に覚えがあるビジネスマンにおすすめのマンガがあります。その名も、『社畜ねこ』(清水幸詩郎/フレックスコミックス)。コミックポラリスで連載されている本作が、ついにコミックス化されました! あくせく働く社畜サラリーマンの「ねこ田」さんを主人公に、個性豊かなキャラクターが登場する社会人(猫?)コメディです。
ねこ田さんはその名の通り、愛らしい「ねこ」の見た目をしています。しかし、ねこはねこでも「社畜ねこ」。朝は電車で通勤し、デスクワークをこなし、毎日ヘトヘトの状態で終電に乗って家に帰るのです。ちなみに、ねこ田さん以外のキャラクターは人間。二足歩行のねこが人間と一緒に働いている姿は非現実的でシュールですが、ねこ田さんの身には「社会人あるある」が次々に降りかかります。
おっかない部長からのムチャぶりや、起業した同級生の「俺は成功している」というマウント、「今日中にお願い」と頼まれていた書類の発送をうっかり忘れてしまうなど、社会の荒波に揉まれまくるねこ田さん。その度に彼の顔は、困惑して冷や汗をかいたり、白目を剥いたりと、百面相のように変化します。その様子を見ていると、自分が職場で怒られたことや、やらかしたときの記憶がフラッシュバックし、思わず泣きそうになりました……。
世知辛い世の現実を突きつける本作ですが、ねこ田さんがしょんぼりしたあとには、少しだけ、その悲しみが取り除かれるような展開も。それは、ほんの些細な出来事だったり、同僚や後輩のさりげないひと言だったりするのですが、そうした小さな幸せに頬を緩ませるねこ田さんを見ていると、今度は別の意味で泣きそうになりました。社会は厳しいことだらけだけど、時々、心がほっこりするような出来事もあるのだと、この作品は教えてくれます。
社畜からすると、内容のどれもこれも身に覚えがありすぎて、胃が痛くなるかもしれません。しかし、毎日お仕事を頑張っている社畜気質な人ほど、ハートフルなやり取りが強く胸を打つことでしょう。「明日も頑張ろう」と、前向きな気持ちをくれる『社畜ねこ』、仕事帰りの電車の中で読みたい一冊です。
文=ますだポム子