AIには真似できない!?「もしもしスキル」が再注目される理由

暮らし

公開日:2021/5/21

AIには真似できない!?「もしもしスキル」が再注目される理由

 SNSやメッセージアプリ全盛期の現代ですが、最近ビジネスの世界では「電話のスキル」が再評価されている様子。簡単なサポートはAIに取って代わられる中で、感情を伴った電話応対が求められています。

AIにはできない電話スキルに注目

 2019年11月に放送された「クローズアップ現代+」(NHK)では、「“もしもし革命”進行中!」と題して電話応対を特集。イギリスでは「AIに体調を相談できる」という電話サービスが始まるなど、AIに任せられることはどんどん増えつつあります。しかし日本ではなぜか、アナログな電話応対スキルを見る「もしもし検定」の受験者数が1万人を突破。再注目されつつある“人間ならではの電話応対”を探るため、番組は某大手運送会社の営業所を訪れました。

 同営業所では、ひっきりなしに電話が鳴っている様子。インターネットを使えば再配送依頼や配送状況の確認はできますが、複雑な依頼や確認をしたい人は電話を使います。同社のカスタマーサービス課に勤める篠原夏江さんは「1回の電話が会社の印象を決める」と話し、電話に出たら社員1人ひとりが「会社の代表」になるとコメント。2019年の春からは電話応対の研修も行われ、会社全体で電話スキルの向上に力を入れている最中のようです。

advertisement

 番組内でNHKのアナウンサーが挑戦したのは、「もしもし検定」の3級。同検定は電話応対技術を見る実技試験で、「手際の良さ」「期待以上のサービスができているか」などの15項目を厳しくチェックします。初心者向けの3級でもかなりレベルが高く、NHKアナウンサーは何度もダメ出しされていました。

電話が嫌いだから“脱電話”もあり?

 電話での応対はその場で最適な回答をしなければならないため、苦手にしている人は少なくありません。特にSNS世代の若者ほど電話応対ができないと言われており、最近では「電話イップス」という言葉も登場。電話が特に苦手で、「電話のことを考えるだけで緊張してしまう」状況のことを表すそう。

 番組では電話応対が苦痛で会社を退職したという人にインタビュー。プライベートでは好きなタイミングにやり取りできるSNSがメインの連絡手段なので、会社では“電話イップス”になってしまったのだとか。現在は電話に出なくてもいい職に就いていると明かしています。

 反対に、“脱電話”という逆転の発想をした会社のエピソードも紹介。広島県に本社を置く精米機メーカーは、午後の2時間は「内線電話の使用禁止」ルールがあるといいます。取り組みを開始したのは9年前で、働き方改革を進める中で出てきた「電話対応に追われて仕事ができない」という社員の声がきっかけ。ならばと一定時間の“脱電話”を始めたところ、業務の効率が大幅アップして残業時間も半分以下になりました。

 AIにはカバーできない領域について、会社が今後どう対応していくのかが問われています。

おすすめの動画はこちら