ハサウェイ・ノアの生き様を精緻な作画でコミカライズ! 漫画版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に刮目せよ
更新日:2021/5/21
1979年に放送されたアニメ『機動戦士ガンダム』は誕生から40年を数え、それを期に「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト」が打ち出された。そのひとつとして発表されたのが『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の劇場版三部作制作だ。本来、第一部は2020年7月に公開予定だったがコロナ禍により延期となるも、2021年ついにロードショーを迎えることとなった。そして劇場公開に合わせてコミカライズも始動。『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ①』(漫画:さびしうろあき、原作:富野由悠季・矢立肇/KADOKAWA)が5月10日に発売される。
この漫画の原作である同名小説は、1988年に公開された映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で描かれた「シャアの反乱」後の世界を舞台とする。留意しておきたいのは、小説がベースとしているのは映画 ではなく、1988年に刊行された小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』であること。『ベルトーチカ・チルドレン』ではモビルスーツの名称や、ハサウェイ自身がクェスを撃ってしまうなどの差異があり、漫画版もそれを踏襲しているが、大筋の物語は映画と同様だ。
物語の主人公は、ハサウェイ・ノア。「シャアの反乱」でロンド・ベル隊を率いてシャアと戦った英雄ブライト・ノアの息子である。シャアは地球に住む人々を一掃するために戦争を起こしたが目的は果たされず、地球にはいまだ特権階級の人々が居座り続けていた。地球連邦政府の高官たちは地球を汚染し続け、さらに居住資格のない不法居住者を虐殺していたのである。そんな状況に憂慮を示し、実力を以って対抗しようとする組織があった。秘密結社「マフティー」は武力によって不正を働く連邦政府の高官を次々と粛清する。そして組織のリーダーである「マフティー・ナビーユ・エリン」こそ、ハサウェイ・ノアその人なのだ。
このコミカライズの作画を担当する、さびしうろあき氏は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』のコミカライズも手がけており、その精緻な作画には定評がある。ハサウェイが駆るモビルスーツ・メッサーの戦闘シーンは圧倒的な迫力があり、まさしく本作の見所のひとつ。またハサウェイが乗り合わせるシャトルがハイジャックされる場面では、キャラクターたちの洒脱なやりとりがうまく再現されている。そしてこのときにハサウェイが出会うふたりの人物──対マフティーの指揮官となるケネス・スレッグ大佐と、不思議な能力を持つ美貌の女性ギギ・アンダルシア。今後、ハサウェイに深く関わってくるこのふたりが、実に魅力的に描かれているのも嬉しいところだ。
これから「新ガンダム」の登場や、マフティーと地球連邦軍の激しい戦闘など、息もつかせぬ展開が待ち受ける本作。小説に新たな解釈が加わったストーリーにも期待が高まる 。映画公開 、そしてコミカライズと今年は『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』から目が離せない!
文=木谷誠