「褒める・叱るで成績は変わる」は単なる錯覚だった!?
公開日:2021/5/28
「褒めた途端に成績が下がる」「叱った直後だけは成績が上がる」というダメな社員の話はよく耳にしますよね。単なるモチベーションの問題かと思いきや、実は思い込みから生まれる「錯覚」が混じっているかもしれません。
「褒めたり叱ることで成績が変わる社員」の実態
とあるTwitterユーザーが「ランダムな事象と錯覚」と題して、周囲からの反響が大きかった話を投稿。仮想の人物の時間ごとに変わっていく「成績推移」を曲線グラフで説明していました。成績は概ね平均の範囲で上下していますが、時に飛び抜けて良い成績を出したり悪い成績を出すことも。
成績が良いタイミングの時には「たまたまいい成績が出たので褒める」という注釈がついています。良い成績が出ていたので、指導役が仮想の人物を褒めたのでしょう。しかしその横には「次は成績が下がる(平均に戻る)」という表記が。好成績はたまたまだったため続かず、元の平均的な成績に戻っていきました。実際には「飛び抜けて良い状態が長続きしなかった」だけですが、指導役からすれば「褒めたタイミングを境に成績が落ちた」ように錯覚してしまいますね。
逆にたまたま悪い成績が出た時も、指導役が「成績が悪いから叱るタイミング」と「平均に戻っていくタイミング」が一致。平均に戻っただけなのに、指導役からは“叱ったから成績が上がった”ように見えます。こうした勘違いの積み重ねが、指導役を悩ませる「褒めると調子を落とし、叱ると調子を上げる社員」の実態なのかもしれません。
指導役が錯覚に陥らない方法は?
良くも悪くも平均は維持できている社員を、指導役が「評価のフィードバックでモチベーションを変えるダメ社員」だと錯覚してしまうこの現象。かなり身に覚えのある人が多いようで、SNSでは「なんてわかりやすい説明なんだ! 指導者は成績の大きな上下じゃなくて、平均値に目を向けるべきなんだね」「これがわかってない指導者が多すぎる。平均に戻った時こそ褒めるべきタイミング」「指導や説教とは関係なく調子を取り戻したのに、タイミングが重なったから『自分のおかげ』と錯覚する上司は多いよね」といった反響が相次ぎました。
こうした錯覚に陥らないために、指導役はどのような点に気をつけるべきなのでしょうか。ある人は「平均的な成績である“基準点”を見つけることが大事」といいます。一時的な成績の上下より、基準点が上下するタイミングでの指導が必要という意見。たしかに瞬間的な成績にとらわれるよりも、基準点を押し上げる指導の方が将来に繋がりそうです。
指導役はもちろんのこと指導を受けている側も、“基準点”を分析することで新しい発見があるかもしれませんね。