続けるということ/富田美憂の「私が私を見つけるまで」⑰
公開日:2021/5/16
ここ何回かアルバムについて、音楽についての話が続いたので、今回は私の好きなことについて話そうかと思います。
これは、いつもお世話になっているメイクさんとよくお話していることなのですが、
「好き」を続けることってとても難しくて、苦しい気持ちになるものだよねって話したりしています。
私は学生の頃から仕事をしていることもあって、学生の頃は「将来が決まっているから楽でいいね」とか「好きなことを仕事にできていいね」と言われることがありました。
私はそれを言われる度に、正直ムッとしてしまいます。
どんな仕事でも”楽しい”だけじゃないんだって思います。
皆さんもきっと、この感情になる瞬間があると思います。
夢中になればなるほど、本気になればなるほど、好きになればなるほど、苦しくなっていくこの気持ちはなんなんだろうなー。
悔しい思いをして落ち込む度に「辞めちゃえば楽になれるのに…」と思います。
でもたぶん「好き」なことだから苦しくなるんですよね。好きじゃなかったら、本気じゃなかったら失、敗しても負けても別に落ち込まないし、つらくならない。
そしてなによりお芝居も歌も、成功した時、満足いくものができたとき、そしてお客さんとひとつになれたときに感じるあの気持ちよさを知ってしまっているから、それがどうしようもなく「楽しい」から、楽しくて楽しくてしょうがないから、どんなに苦しくてもやめられない。
私という人間は、この仕事でしかそれを感じられない。だから続けています。だから楽しい。何よりも楽しくて好き。
夢中になりすぎて、酸素が足りなくなるような感覚になる、あの感じ。
手足の先がびりびりするような、あの感じ。
大袈裟な表現じゃなくて、ほんとにそういう感覚になるんですよ。
その感覚を味わいたくて、その感覚が好きで、何度も言うけれど楽しくて。
だからしんどい気持ちになっても続ける。
自分自身でこの仕事が「天職」なんだと胸を張って言うには、まだまだ足りないことがありすぎるけれど。
私なりに、私の「好き」を続けていきたい。