香辛料の魔術師が伝授! スパイスを自由自在に使いこなして、本格カレーを家でも実現
公開日:2021/5/20
香辛料をふんだんに使ったスパイスカレーが、ここ数年ブームになっているのはご存じだろうか? 時間と手間をかけて、本格的なスパイスカレーを自身で作る喜びは、最高の贅沢と言えるだろう。『誰でもコクが出せる まるで魔法なスパイスカレー』(ヘンドリクス・若林剛史/主婦の友社)は、家にこもりがちな生活の中でも、ちょっとしたエンターテインメントとしても、うってつけだ。
スパイスカレーの有名店の中でも、特に名高い神宮前の人気店「ヘンドリクス」。国立競技場すぐ前の道で、行列ができているカレー店だから、知っている人も多いはず。そんな人気店が、惜しみもなく「ここまで出してしまっていいの?」と驚くほど詳細に、そのレシピを公開している。
「チキンカレー」とレシピ名を聞いて、おおよそ作り方を連想できる方もいるかもしれない。しかし、侮ることなかれ。ヘンドリクスの「チキンカレー」は、これほど多くのスパイスが使われており、こんなにも繊細な一品なのかと驚くこと必至だ。これだけ見ても、スパイスカレーの奥深さを垣間見られる。
また、店名にもなっている「ヘンドリクス」から想像つく通り、著者は音楽にも造詣が深い。ロックを感じさせる著者の熱い思いが、各レシピの解説でも伝わってきて、この本の魅力のひとつにもなっている。まさしく、燃えるスパイスカレーとロックの融合である。
元カリー番長として有名な、カレー研究家・水野仁輔(みずのじんすけ)氏も本の帯に熱意ある推薦文を寄せている。
「創造性ある味つけ。物語を感じさせるスパイス使い。ユニークな素材の組み合わせ。
丁寧で粋な盛り付け。若林さんの料理には僕の持っていないものばかりがあって憧れている。本書を通じて、日本中にセンスあるスパイスの魔術師が生まれますように。(一部抜粋)」
秘伝のミックススパイスを大公開!
ヘンドリクスのレシピには、あらかじめオリジナルでブレンドされた、作り置き可能なスパイスや調味料が多く登場する。そのミックススパイスの黄金比率を初心者にもわかりやすく解説しているので、材料さえ手に入れば、秘伝のスパイスを自分でも手軽に作れる。
また、スパイスのテンパリング(スパイスを油で熱して香りや薬効を引き出し、油に移す作業)など、スパイスの形状によってのコツも教えてくれているので、カレービギナーにも親切だ。
レシピもほぼ鍋ひとつで作れるものばかりで、料理のプロセス写真も鍋を真上から撮っているので、直感的にわかりやすいのもいい。
カレーを口に運んで鼻腔に突き抜けるスパイスの香り。食べ終えてからも、口の中にわずかに漂うスパイスの余韻…。スパイスカレーは奥深くて、どこか楽しい。
『誰でもコクが出せる まるで魔法なスパイスカレー』は、お店のレシピを忠実に再現している。ただ、すべてのスパイスを揃える必要はなく、レシピを参考にしつつ、自分好みのスパイスカレーを自由に作ってほしい、と著者は語っている。
次の週末は、お酒を片手に、家でじっくりとスパイスカレーに挑戦してみるのはいかがだろうか。