見上げれば、近所の空もワンダーランド!? 『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』

スポーツ・科学

更新日:2021/7/25

空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑
『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)

 天気予報でよく聞く「晴れ」の定義をご存じだろうか。太陽がギラギラ照っていたら晴れ? それとも空が真っ青な状態が晴れ? じつは、「晴れ」は雲の量である“雲量”によって決まるもの。雲量は0から10までの数字(整数)などで表され、雲が空全体の2以上8以下なら天気はすべて「晴れ」となる。だとすると、雲少なめの“雲量2”の「晴れ」もあれば、モクモクと雲まみれの“雲量7”の「晴れ」もあるというわけだ。ふしぎなことに「晴れ」と一口に言ってもずいぶんと多様なのである。

 4月末に発売された『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)には、こういった天気にまつわるおもしろ知識や驚きのトリビアがたっぷり紹介されている。遠出しづらくなったこんなご時世だからこそ、本書を片手に、空のふしぎをめぐる小さな旅に出るのはいかがだろうか。

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空ほど、毎日見て飽きないものはない

「今日はなぜこんな天気なの?」――そんな素朴なギモンから、“ご近所の空旅”は始まる。突然だが、近所の空を見上げてみよう。今日はくもり? それとも雨上がりだろうか? ふだんは特段気にしないその天気もじつは毎日表情が違い、ふしぎな現象が起こっている。そして、そのふしぎを紐解くことで、空を眺めるのがとっておきの時間になるのだ。

 たとえば、当記事冒頭の「晴れ」の話の続きをしよう。本書によれば、“雨や雪が降っていなければ、天気は雲で決まる”という。晴れの日、「今日の雲量はどれくらいだろう?」と注目するだけでも、空の見た目の違いを楽しめる。また、雲量が1以下の「快晴」と呼ばれる日を自分で見きわめてみるのもおもしろいだろう。

空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑
雲量7の晴れの空

空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑
雲量1の快晴の空

上を向いて歩こう! 一期一会の空との出会い

 空の色ひとつとっても、その個性はさまざまだ。日中のカラッと晴れた青空も魅力的だが、日の出前・日の入後のタイミングで訪れる幻想的な「ブルーモーメント」、くもり空の日に見られる「天使の梯子」などタイミングさえ合えば、観光地顔負けの美しい風景を自宅近くでも楽しむことができる。

空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑
見事に焼けた夕焼け空

空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑
ブルーモーメント

空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑
天使の梯子

 同時に、今あなたが見ている空は、二度と出会えない一期一会の景色でもある。摩訶不思議な空との出会い方のコツも本書で紹介しているので、ぜひ参考にしてほしい。

広がる、空と天気のふしぎな世界

 このほかにも、本書では、雨、雪、虹、台風など気象にまつわるおもしろくてためになる知識を紹介している。「雲が動物に見える現象には名前がある」「雨のつぶはとがっていない」など興味深いトピックスが盛りだくさんだ。普段はなかなか気にすることのない天気も意識して見るだけで新たな発見がある。

 また、最近は毎年のように豪雨や台風による災害のニュースを耳にする。「大雨は増えているのか?」「地球温暖化で台風はより強くなるのか?」をはじめ、本書では天気のなかでも特に私たちに影響の大きな現象のしくみや気象情報の使い方も紹介している。空や雲を見て天気の急変を予想する「観天望気」は、これからの季節に必須の知識だ。

 レジャーに出かけにくくなった今、ぜひ近所の散歩がてら空を見上げてみてほしい。「今日の天気は?」と上を向いて歩けば、今しか出会えない空のおもしろさにあなたも遭遇できるはずだ。

文=宮本香菜

荒木健太郎
雲研究者、気象庁気象研究所研究官、博士(学術)。
1984年生まれ、茨城県出身。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲のしくみの研究に取り組んでいる。
映画『天気の子』(新海誠監督)では気象監修を務める。

Twitter:@arakencloud