肺を鍛えて免疫力を高めよう! エネルギーは呼吸から生まれる/最高の体調を引き出す超肺活②

健康・美容

公開日:2021/5/27


最高の体調を引き出す超肺活』から厳選して全5回連載でお届けします。今回は第2回です。

新型コロナウイルスで、もっともダメージを受ける臓器・肺。これまで注目を集める機会がなかった肺にこそ、最高の体調を引き出す力が秘められています。自律神経研究の第一人者が、肺の重要性を徹底解説!

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最高の体調を引き出す超肺活
『最高の体調を引き出す超肺活』(小林弘幸:著、末武信宏:監修/アスコム)

新型コロナウイルス感染症拡大で痛感した「肺」の大切さ

 2019年12月に中国・武漢で最初の感染者が発見されて以降、私たちは新型コロナウイルス感染症の脅威に長期にわたって耐え忍んできました。

 ワクチンの開発には最短でも1年の時間が必要だとわかり、ワクチン頼みの感染症対策では不充分であることを認識しました。

 晴れて新型コロナウイルス感染症拡大が収束したとしても、SARSやMERSの例が示すとおり、近い将来、新しいウイルスが蔓延する可能性は否定できません。

 いまこそ私たちは、感染症対策として何ができるのか、個々人がしっかりと学んでおくべきでしょう。

 

 日本人の多くはこれまで、「マスク着用」「三密の回避」「外出自粛」「うがい・手洗い・消毒」など、「自分がウイルスに感染しない」「他人にウイルスを感染させない」ための対策を実直に続けてきました。しかし一方で、「発症しないための対策」「発症しても重症化しないための対策」については、無頓着だったといわざるを得ません。

 ご存じのように、新型コロナウイルスは、感染しても多くの人が無症状か軽症で済んでいます。重症化のリスクが高まるのは、基礎疾患を持っている人や高齢者です。

 基礎疾患を持っている人や高齢者がどうして重症化しやすいかというと、ひとえに「免疫力が低い」からです。つまり、免疫力が高く、体が健康でありさえすれば、たとえウイルスに感染したとしても重症化のリスクは極めて低いことがわかっています。

 

 では、免疫力を高めるにはどうすればいいのか?

 その答えは、「肺を鍛える」ことです。

 

 本書は、肺を鍛えることが、免疫力を高め、新型コロナウイルスのみならずあらゆる病気を予防し、最高の体調を引き出すのにいかに役立つかを、私の30年以上にわたる自律神経研究の集大成としてお伝えするものです。

人体の生命維持の要「肺」の役割を詳しく知ろう

 肺を鍛えると、健康になれる。

 このことをご理解いただくために、人体にとって肺がどんな役割を果たしているのか詳しく見ていきましょう。

 

 人間や動物が生きていくためにはエネルギーが絶対に必要です。

 私たちは、食べ物から栄養を吸収しなければ生きていくことができません。食べ物は口から胃を通っている間に唾液や消化液などによって分解され、吸収しやすいブドウ糖などの栄養に変わり、腸で血液の中に取り込まれています。

 しかし、栄養を吸収するだけではエネルギーにはなりません。

 呼吸によって取り入れた酸素と栄養が結びつくことによって、私たちは初めてエネルギーを生み出しているのです。

 

 つまり、栄養を吸収する「腸」と、酸素を取り込む「肺」は、いずれも生命を支える要の臓器であるといえます。

 

「肺胞」のおかげで私たちは呼吸ができる

 呼吸をするとき、空気は鼻や口から取り込まれ、喉(咽頭)と、声帯がある喉頭を通過し、気管(気道)へと入っていきます。喉頭の入り口には喉頭蓋と呼ばれる小さな蓋があり、ものを飲み込むときはこれが自動的に閉じるため、食べ物や飲み物が気管に入るのを防げます。

 気管は左右に枝分かれして気管支となり、それぞれ左右の肺につながっています。左右に枝分かれした気管支はさらに枝分かれしていき、最終的には直径0.5ミリメートルほどの太さになります。気管全体を見ると、木を逆さまにしたような形をしているため、「気管支樹」と呼ばれています。

 その気管支の枝の先端にあるのが「肺胞」と呼ばれる部位です。肺胞の大きさはわずか0.1ミリ程度で、肺の中におよそ3億から6億個あるといわれています。

 この「肺胞」が非常に重要です。

 肺胞には毛細血管が網の目のように取り巻いています。全身を巡った血液は、心臓を経由して、肺胞まで辿り着き二酸化炭素を吐き出します。それと同時に、肺胞のなかの酸素が血液の中に取り込まれます。

 これが、私たちが無意識にしている呼吸(ガス交換)のメカニズムです。

 このようにして私たちは、酸素を血液に取り込み、腸から吸収した栄養と結合させ、生命活動に必要なエネルギーを生み出しているのです。

最高の体調を引き出す超肺活

<第3回に続く>