「きれいじゃなくちゃいけない」って圧の話/飯窪春菜の「かわいげがなくてごめんね!」⑤
公開日:2021/5/29
私の中にくすぶる怒りをぶっちゃけるコラム。今回は“きれいじゃなくちゃいけないって圧”について!
“きれいじゃなくちゃいけない”って、自分に対して常に圧力かけて過ごしています。
そりゃあ人に見られる仕事をしているから、って言ってしまえばそうなのですが、それ以上に、自分が自分のためにきれいになりたいからです。
でもね、それと同時に常に思っているのは……
あーーーーーー!
大変!!!!
めんどくさーーーい!!!!!
もうねぇ、本当にめんどくさいんですよ。美に気をつかうの!!!!
いっそのこと「美容のために」とかそういうの全部取っ払って、好きなものを好きなだけ食べたいし、なにより太陽の下を堂々と歩きたい!!
日傘もささず、日焼け止めも塗らず、夏に長袖なんか着ない!!
海もプールも思いきり行きたいし、わざわざ日陰や地下道を探して歩くのなんてヤダ!
何も気にせず過ごしたい!!!!
ってたまに爆発するのです(笑)。
昔はもうちょっと気楽だったというか、見た目への関心は低かったんです。
きれいじゃなくちゃって思いがだんだんエスカレートしたのは、モーニング娘。卒業前から。
自分に自信がないまま卒業したくなかったのです。
歌もダンスも苦手で、ファン人気もない。だからせめてメンバーの誰よりも見た目に気をつかおうと思ったんです。地黒だから、人一倍美白に気をつかって、基礎化粧品から見直したり、サプリ飲んだり、なんでも試しました。地黒なりに自分が出せる最大限の白さを出してやる!!!って思ってて(笑)。でもそれも一度の外ロケで水の泡。
誰よりも日光を吸収してしまう私は、1日で日焼けしてしまうんです。そうして心が折れて、注射は大嫌いだけど美容点滴をして……。
今思えば、ある種の強迫観念に囚われていたんですね!トホホ。
そんな必死さが報われる瞬間が、ある歌番組に出演した時に訪れました。放送後、「モーニング娘。のあの子は誰だろう」ってネットの書き込みをちらほら見つけたのです。
自分を磨けば磨くほど、グループに関心をもってもらえるキッカケになれるんだって嬉しくて。
それからは美白だけじゃなく、体型管理やムダ毛処理、ファッション、メイクなど、今まで以上に気をつかうようになりました。
ちなみに当時、私はカラーメイクにハマってました。今でこそオレンジや赤のアイシャドウを使うのはわりと普通ですが、当時はけっこう珍しかったんじゃないかな。
ステージ上って照明が強いから、メイクが薄れて見えるのです。でもちゃんと目立たなきゃってこだわりで、ライブでは思いきりメイクをしていました。
そうやって、しっかりめなメイクをして、ライブ後は、導入液やら美容液やらでしっかりめにスキンケアをしていたのですが、隣にいる年下メンバーは、コンビニで売ってる化粧水と乳液のセットだけで済ましていて、それでもお肌がきれいっていう……。
「いろいろつけるのがあるんですね!」って言われた瞬間、あぁ、若さには勝てない……と心が折れたのでした(笑)。その子はもちろんまったく悪気はないというか、感心してくれてるニュアンスだったのですが、若さにも敏感な時期だったから、それでまたちょっと凹んで。
さて。ここまでズラーっと「きれいじゃなくちゃいけない」って圧との闘いを書いてきたわけですが、でもこれね、誰かから言われたわけではなく、私が自発的に追いつめられて、進んでやっていたことなんですよね。
自信の無さが、自己肯定感の低さが、いろいろなコンプレックスが、どんどん自分を追い込んでいるんだって、あるとき気づいたんです。
でも今は違います。きれいじゃなくちゃいけないってプレッシャーから始めた美容だけど、いろいろ工夫してやっているうちに楽しくなってきて。服もメイクも髪型も、結局ぜんぶ自分のため、今日より明日の自分のためだなって思えるようになってきました。
だから「あーーーマジ疲れるーーー!!!」ってときどき文句言いつつ、今日も頑張ろって!
きれいにならなきゃっていうのは、もちろん悪い気持ちじゃないけど、私みたいに囚われすぎてると疲れちゃいますよね。
疲れたなーってときは一緒に「あーーーーめんど!!!!」って鬱憤を晴らしながら、ちょいちょいさぼりながら、自分のために楽しくやっていきましょー!
●マンガ大好きはるなんによる、今回のおすすめマンガ
『海月姫』
東村アキコ
普通の女の子がどんどん可愛くなっていく様子やたくさんの洋服へのワクワク、読んでいてトキメキしかありません!。