ブーム到来の予感…!? 生のフルーツを超えたおいしさ! 専門店並みのとろけるゼリーが家でも作れる入門書【つくってみた】
公開日:2021/5/31
ひんやりと冷たいものが恋しくなる季節がやってきた。デパ地下のショーケースに鮮やかに並んでいる果物たっぷりのゼリーなんかを見るとつい立ち止まってしまうが、値段は決して安いものではなく、なかなかの高嶺の花。1個だけ買うのも気が引けるし…なんて結局いつも買わずに帰ってくる。
そんなモヤモヤを解消してくれたのが、レシピ本『やわらかとろける いとしのゼリー』(本間節子/主婦の友社)。ページをめくると、春夏秋冬の旬の果物を使ったみずみずしいゼリーがたくさん載っていて、眺めているだけでも幸せな気分になってしまう。作り方も、さほど難しくなさそうだ。週末出かける予定もないし、これなら私でも作れるかも…ということで、本書を使ってゼリー作りデビューをしてみることにした。
口の中に“涼”が広がる! さわやかプルプル「グレープフルーツのゼリー」(p.36)
1つ目は、本書の表紙にも採用されている「グレープフルーツのゼリー」。まず下ごしらえとして、グレープフルーツの皮と薄皮をむいてバットに入れてはちみつをかけ、3時間以上おいてマリネに。これをこして果汁をとる。(ちょっと手間だが、この工程で後々グッとおいしくなる!)。
鍋に水、砂糖、オレンジリキュールを入れて火にかけ、沸騰したら火からおろし、ふやかした粉ゼラチンを加えて混ぜ、さきほどとった果汁とレモン汁を加えて氷水を当てながら混ぜて冷やす。果肉を加えてグラスに注ぎ入れ、冷蔵庫で3時間以上冷やし固めれば、グレープフルーツがごろごろ入った見た目にも涼しいゼリーが完成!
果実入りのゼリーなんて初めて作ったが、なんだか食べるのがもったいなくなるほど美しいできばえに! スプーンを入れて口に運ぶと、フレッシュなグレープフルーツをほんのり甘いプルンとしたゼリーがやさしく包み、専門店にも劣らない至極の味わいだった。家でここまでクオリティの高いゼリーができるなんて…とちょっと感動。
とろプルの新食感! アガーで作る「ブルーベリーのゼリー」(p.52)
2つ目は夏のレシピより、今が旬の「ブルーベリーのゼリー」。材料を見るとゼラチンの文字はなく“アガー”と書いてある。…ん? アガーって何?
本書によると、アガーとは海藻やマメ科の種子から抽出する多糖類が原料の凝固剤で、ゼラチンとは違う独特の食感になるらしい。液体の透明感を損なわずに固めることができるので、紅茶やソーダなどそのままの水の色を楽しみたいときにおすすめだという。カルディや富澤商店など、製菓の材料が充実している雑貨店などで手に入る。
アガーを使うときのポイントは、まず粒子が細かくダマになりやすいため、砂糖にあらかじめ混ぜておくこと。そして溶かすときはたえず泡立て器で混ぜながら火にかけ、沸騰直前で火からおろすこと。これにレモンの皮と砂糖とレモン汁をまぶしたブルーベリーを加え、鍋底に冷水を当てながら混ぜ、軽くとろみがつくまで冷やし、グラスに注いで冷蔵室で3時間以上固めればできあがり。
ゼリー=固形を想像していたが、これはとろりと飲めそうなほどゆるめの固さで、しかもプルプル! レモンをきかせたすっきりとした甘さは、ブルーベリーをそのまま食べるよりも、圧倒的に上品で贅沢だった。これ、食後のデザートに毎日でも食べたい。
濃厚まろやか…なのにすっきり! 「クリームチーズのゼリー」(p.112)
最後はオールシーズン作れるゼリーから「クリームチーズのゼリー」。鍋に牛乳と砂糖を入れて沸騰直前で火からおろし、ふやかした粉ゼラチンを溶かし、はちみつを混ぜたクリームチーズに少しずつ加えて混ぜる。氷水に当てながら冷やし、レモン汁を加え、カップに注いで冷蔵室で3時間以上冷やし固めれば完成。
食べてみると、クリームチーズのまろやかなコクがふわっと口の中に広がる。でも不思議と後味はすっきり。レアチーズケーキよりもさらにあっさりした口当たりは、暑い夏にぴったりだ。好みでシナモンをかけたり、ジャムや果物を添えたり…といろいろアレンジできるのも◎。
“見映えはもちろん、ひたすらおいしいレシピを追求した”というのも納得の本書。プルプル、とろ~り、ゆるゆる、つるん…とレシピによって変わるうっとり幸せな食感を体験すれば、きっと今まで知らなかったゼリーの魅力に目覚めるはず!
文=齋藤久美子