家にいると何もできない/巴奎依の社会不適号㉟
公開日:2021/6/11
自分のオンとオフが激しいと思っている。
裏表などのネガティブな意味ではない。
裏と表で言ってしまうと、どちらかというとずっと裏な性格ではあるが、今回はオンとオフの話である。
スイッチの切り替えである。
スイッチの切り替えがすごくはっきりしているし、しかもオンだったものを一度オフにしてしまうと、中々戻らない。その逆も然りで、スイッチが非常に重たいような気がしている。
たとえば、人前に出て話すときと、友人や知人と話すとき。
私は分かりやすく真逆になる。
長年培ってきたものの成果なのか、人前に出るとつらつらと言葉が途絶えることなく話し続けることができる。
しかも私は、ほぼ何も事前に考えないタイプなので、その場で思いついたことやその場で聞きたくなったことを突発的に話し続けてしまう。
ライブMCでも、突然聞きたくなってファンに質問をしたり、突然思いついたことを話し始めたりしていたので、
当時メンバーには申し訳なかったと思っている。
それなのに、私生活になると真逆で、とにかく話題に困る。
何を話せばいいか分からないし、聞きたいことも特にないし、早く聞き役に徹したい。
だからなのか、周りの友人にはおしゃべりな子が多く、私はいつも相槌をうっている。
ステージとプライベートが真逆なことに関しては特に困ることはないが、微妙に困ってしまうのはミーティングである。
ミーティングはとにかく難しい。
たとえば何かひとつの仕事に関してや、難しい課題に対して話し合うときは比較的スイッチが入りやすいが
大まかなざっくりした話題や、私、巴奎依個人の意見を求められるときはなかなか言葉が出てこなくなってしまう。
これはおそらく、「一般人・巴奎依」と「芸能人・巴奎依」の間で私自身が混乱してしまっているのだと思う。
この程度の活動歴で芸能人と名乗るなんて……と思われてしまうかもしれないがこれはあるあるな気がしている。
芸名があると、なんとなく活動しやすいという話を聞いたことがある。
もしバッシングや誹謗中傷を受けてしまうことがあったとして、芸名で活動している場合は
「叩かれているのは芸名の私であって、本名の私じゃないから大丈夫」と暗示をかけられるらしい。
気休めのようにも感じるが、確かに本当の自分の人間性までは否定されていないように思える。
その点、本名で活動をしていると、その全てが本当の自分自身に降りかかってくるのだ。
きっと私は本名で活動をしているからか、個人の意見を問われたときにオンオフの切り替えが出来ておらず混乱しやすいのだと思う。
オンで挑めていれば、芸能的な意見が言えるのかもしれない。
とはいえ、何がオンオフのスイッチになるのかは誰もが皆、あまり把握できてはいないものである。
アイドル時代の私は、アイドル衣装を着ることがスイッチになっていて、分かりやすくメリハリが出ていたが
それを着なくなった今、何がスイッチなのかはいまだに分からない。
リモートが一般的になった今、自宅で仕事をしている人達をめちゃくちゃ尊敬している。
家なんて、まさしくスイッチがオフになる場所じゃないか。
私は家にいるともうダメだ。何も手につかない。仕事でなくても、レッスンだったり、勉強だったりにしても、家である限りダメだ。
昔、在宅仕事の友人に
なにでスイッチを切り替えているのか聞いたことがある。
その人はパジャマから私服に着替えることをスイッチにしていると言っていた。
確かに家にいるときの私は、仕事だろうと課題があろうと、家にいる限りは部屋着で過ごしていた。
そういう分かりやすいスイッチを無理矢理にでも作らないといけないのかもしれない。
そうでもしないと、このままダメ人間への道を全力ダッシュで走っていってしまうような気がする。
ともえ・けい
2012年よりA応P(アニメ“勝手に”応援プロジェクト)のメンバーとして活動をスタート。2020年8月2日に、A応Pを卒業。現在、インターFMにて毎週土曜28:30〜「DJサブカルクソ女の音楽解体新書」にてDJ番組を担当、DJCD「A応P BEST DJCD PRODUCED by DJサブカルクソ女」をリリースするなど、「DJサブカルクソ女」としても活動中。社会不適合者(自称)。
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