【次にくるマンガ大賞 2021特別企画】過去の受賞作を振り返り!3700年後の地球で、石化した人類と文明を取り戻す『Dr.STONE』
更新日:2021/6/21
ユーザーから「次にくる」と思うマンガを募集し、そこでノミネートされた作品から投票によって大賞を決める“ユーザー参加型”のマンガ大賞「次にくるマンガ大賞」。7回目となる今年のノミネート作品が出そろい、6月18日(金)から投票がスタートする。ぜひ参加して推しの作品を応援しよう! ドキドキの結果発表を待つ間に、過去の受賞作品を振り返ってみてはいかがだろう。本記事では2018年にコミックス部門で第2位を獲得した『Dr.STONE』(稲垣理一郎:著、Boichi:作画/集英社)を紹介!
本作は「週刊少年ジャンプ」にて2017年から連載が開始され、現在も連載中である。物語は熱烈な科学信奉者である高校生・石神千空が、世界を覆った謎の「石化光線」により全人類ともども石化してしまうところから始まる。そこからおよそ3700年後に目覚めた千空は、同じく復活した友人の大木大樹たちと一緒に、失われた文明を取り戻そうと科学を発展させていくというのが基本となるストーリーだ。
本作が支持されている理由は数多いが、特に言えるのが、いわゆる「王道ストーリー」ではないだろうか。ジャンプ作品における「友情・努力・勝利」というキーワードはご存じだろう。この『Dr.STONE』においても困難に直面したとき、千空が考案した科学的アイディアを仲間たちと共に実現しようとトライ&エラーを繰り返し、それを達成して困難に打ち勝つというパターンが主軸となっているのだ。
王道という意味でいえば、ストーリー展開にも当てはまる。千空たちは仲間を増やしながら、“霊長類最強”の高校生・獅子王司や、石化の力を悪用する男・イバラと対決することになる。そして遂には千空と知己の科学者である、Dr.ゼノとの「科学対決」へと至るのだ。ストーリーと共にパワーアップしていく敵という展開もそうだが、敗れた敵が新たな仲間として加わる流れも実に王道。この手法はやりすぎると「力のインフレ」を起こす危険があるが、そこは原作者の稲垣理一郎氏により絶妙なバランスが取られている。さすがはヒット作『アイシールド21』を手がけ、最近では『トリリオンゲーム』でレジェンド漫画家・池上遼一氏とコンビを組む注目の原作者といったところか。
原作の力が優れているのはもちろんだが、その魅力を最大限に引き出している「作画」も重要だ。Boichi氏による非常に緻密な作画は本作の世界観には欠かせないものであり、千空たち登場人物が、なぜあれほど生命力と躍動感に溢れた魅力的なキャラクターに感じるかといえば、氏の手腕によるところ大なのはいうまでもあるまい。
本作が「次にくるマンガ大賞 2018」で第2位を受賞した後、2019年にアニメがスタート。現在は第2期までが制作され、すでに続編も決定している。『Dr.STONE』が受賞にふさわしい作品であることを見事に証明した形だ。もちろんそれは作品が「面白い」からであり、連載も新展開に突入し、これからますます盛り上がることは間違いない。
文=木谷誠