小心者のパーソナルスペース/前島亜美「まごころコトバ」⑤<後編>

アニメ

更新日:2021/6/18

アイドル活動を経て、声優や舞台を中心に活躍中の前島亜美さん。常にまっすぐ生きる彼女が、何を思い、感じ、触れてきたのか。心にあるコトバを真心(まごころ)こめて紡ぎます。

前島亜美「まごころコトバ」

※今回の記事は、後編となっているので前回の前編からお読みください。

“パーソナルスペース”を意識したのは10代の頃。グループ活動を毎日行い、密接に人と関わっていく中で“パーソナルスペース(自分)を守りたい”という気持ちが強くなったんだと思う。

 歳を重ね、仕事をしていく中で、そんな自分を受け入れつつも人との関わりを増やさなければと悩んでいた頃、“ソーシャルディスタンス”が基本となり、人と人との距離感が世の中的に整理されることになった。

 長い自粛を通して不便に思うこともあったが、“距離を保つ”という部分においては私にとって、とても肌に合っていると感じた。常に間隔をとった“思いやりの距離”があることで私と同じような感覚を持つ方は、とても生きやすくなったのではないかと思う。

「間隔をあけましょう」というみんなの約束ができたことにより、以前よりもそれぞれのパーソナルスペースが尊重され、初めて出会う方とも話をしやすくなった気がする。

 インターネットでの買い物が増え、人との直接的な関わりが少なくなった頃、最低限の外出として久しぶりに行ったスーパーやドラッグストアの店員さんとの、わずかなコミュニケーションの中で、温かな気遣いや、思いやりのある笑顔に、すごく心を打たれたのを覚えている。

 自分からは見えていない多く人の頑張りや働きによって、世の中が回っているのだと、その時、強く実感した。

 仕事以外で人と会える機会が減ってきた今、買い物などを通して出会える人との会話はとても貴重なものだ。その大切さを知ることができ、私自身もより感謝と思いやりを持ちたいと思えた良い発見だった。

 自分が他者と接するときは、自分の心の余裕、言葉を受け取る状態が大切なのだと改めて感じる。自分自身のパーソナルスペースを守りながら、外の世界との程よい距離感を探していきたい。

第6回に続く

まえしま・あみ
1997年11月22日生まれ、埼玉県出身。2010年にアイドルグループのメンバーとしてデビュー。2017年にグループを卒業し、舞台やバラエティ番組などで活躍。またアプリゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(2017年)でメインキャストの声を演じ、以後声優としても活動中。また、俳優座劇場で行われる朗読劇『青空』に出演が決定。6月21日(月)、6月27日(日)の回に出演する。

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