他人と自分を比べて落ち込んでしまう、嫉妬してしまうストレスからフリーになるには

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公開日:2021/7/12

 ストレスが増えたと感じやすい今。ストレスに100%悩まされないようになることは、とても非現実的な話です。

 20万部を超えるベストセラーとなっている、精神科医の樺沢紫苑さんの著書『精神科医が教える ストレスフリー超大全 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』(ダイヤモンド社)は、「ストレスゼロを目指すのではなく、ストレスに対する考え方・受け止め方を変えること」を教えてくれる1冊。

 さまざまなストレスに対し、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」が示され、心と体を整える行動が明確にわかります。

 本稿では本書から一部抜粋して、「他人と自分を比べない方法」についてご紹介します。

精神科医が教える ストレスフリー超大全 ―― 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト
『精神科医が教える ストレスフリー超大全 ―― 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』(樺沢紫苑/ダイヤモンド社)

他人と自分を比べない方法

「あの人は自分より仕事ができる」「頭がいい」「かっこいい」「金持ちだ」……。

 ある調査によると、「自分と他人を比べて落ち込むことがある」と答えた人は全体の45.2%に及びました。約半分の人が、他人と自分を比べて落ち込むことがあるということですから、「他人と自分を比べてしまう」というあなたは、普通であることがわかります。

ファクト1 他人と比較してしまう生き物

 人は、ついつい他人と自分を比較しますが、比較するほどに落ち込んでしまいます。あるいは、「なんて自分はダメなんだ」と自分を責める。嫉妬心から「引きずり下ろしてやる」とか「嫌がらせしてやろう」とか、他人を攻撃するようなネガティブな考えが浮かぶこともあるでしょう。

 そんなネガティブな考えが出ても、落ち込む必要はありません。それは、誰にでもあることなのです。

人間は他人と比較してしまう生き物である。
―レオン・フェスティンガー(アメリカの心理学者)

「社会的比較理論」の提唱者、フェスティンガーは、人が他人と自分を比較してしまうのは、本能、あるいは無意識の反応であると言っています。つまり、ほとんどの人は、他人と自分を比較する心理的なクセを持っているわけで、「他人と自分を比較して落ち込んでしまう」という心理は、あなただけのものではなく、ほとんどの人に存在するものです。

 ですから、他人と比較する自分を責めたり、落ち込んだりする必要はまったくありません。

ファクト2 人と自分を比べると不幸になる

 他人と自分を比べると、確実に不幸になってしまうものです。自分より優秀な人は、この世の中にいくらでもいます。日本人の中で、「仕事」「勉強」「スポーツ」「収入」「容姿」が自分よりも良い人、高い人は山ほどいるのです。それをいちいち比較していたら、それだけで人生は終わります。

 仮に、スポーツのある種目で日本一になったとしても、自分よりも収入が高い人は必ずいるし、自分よりかっこいい人も必ずいます。あるいは、日本一になったとしても、世界レベルで見ると箸にも棒にもかからないでしょう。他人と比較すると、死ぬまで落ち込み続けるしかないのです。

 他人と自分を比べるほど、あなたは不幸になります。自分より上の人と自分を比較する心理を「上方比較」と言います。上方比較には、「自分もそうなりたいからもっと頑張ろう!」というポジティブな要素もありますが、ほとんどの人は、他人と比較して自分の欠点を探し出す、ネガティブな上方比較を無意識に行っています。

精神科医が教える ストレスフリー超大全 p.43
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樺沢紫苑(かばさわ・しおん)/精神科医、作家。1991年、札幌医科大学医学部卒。樺沢心理学研究所を設立。YouTube29万人、Facebook11万人、Twitter12万人など、インターネットメディアで圧倒的なフォロワー数を抱える。(各フォロワー数は2021年7月2日時点)