コロナ禍で急増! 主婦や大学生を狙ったSNSトラブル。“普通に使っている”だけと思っていても攻撃されるケースも
公開日:2021/6/26
コロナ禍の中、日頃のコミュニケーションを大きくSNSに依存している人は多いだろう。あまり心の準備のないままで始まったSNS生活の中で、どんな問題が起きているのだろうか。SNSトラブルに詳しい成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんに話を伺った。
(取材・文=荒井理恵)
大学生と主婦がひっかかりやすい「SNS詐欺」。その防ぎ方とは?
――コロナで変わったと感じることは?
高橋暁子さん(以下、高橋) 全世界で全ての年代においてネットの利用時間が爆発的に増えています。オンラインゲームの利用やゲームの生配信も増えていて、コロナで新しい出会いがほぼない中で「ネットの中のコミュニケーション」を求める傾向が強まっているのがデータにも出ています。一時は休校中にゲームをやりすぎて昼夜逆転してしまい生活リズムが戻せない小中高生が問題になりましたが、まだ生活リズムが戻っていない子どももいる状態です。
一方で今も問題なのはオンライン講義の割合が高い大学生ですね。リアルで会う前にSNSのコミュニティに入り、そこから交友関係を築く新入生たちは多い状態です。今の状況では、「テストの範囲どこまでだっけ?」のような日常のやりとりにしてもSNSで誰かとつながらないとできませんし、拒んでばかりもいられません。そのためにSNSの友だちと日頃からやりとりし、会おうといわれたらすぐに会いにいってしまい、ネット詐欺や宗教勧誘につながるトラブルが増えています。
――「SNS詐欺」は多いんですか。
高橋 もともとコロナ前からもSNSを通じた情報ビジネスや高額バイトなどの副業詐欺は横行していましたが、コロナ以降は学生からの相談が非常に増えていると国民生活センターから聞いています。経験も知識もなくて社会のことがよくわかっていないのに、コロナでバイトがなくなったり親も給料が減ったりして、SNSの情報ばかりを目にするうちに、「儲け話」のような甘い話にすぐにのってしまうんですね。実は主婦などにもひっかかる人は多いです。最近は特に定期購入トラブル(1回目は安くて、2回目以降は高額で半年しばりがあるなど)が増えています。
――学生も主婦も「口コミ」への信頼度が高いからでしょうか。
高橋 そうですね。若者は調べたいことをSNSで検索するので、SNSの投稿から被害につながってしまうことは多いですね。また、「あの人がいうなら安心」とか「先輩からの紹介だから断れない」と考えてしまう人が多いようです。以前、ニュースになった持続化給付金詐欺で大学生が捕まった件は元締めが半グレの人でした。SNSで声をかけて説明会をテレビ会議システムを使って行うなどしていたようで、参加者の顔が見えることで「みんながやっている」から安心、自分も儲け話にのりたいと考えてしまった大学生も多くいたようです。よくわからないけど知り合いや大勢の人がやっているようだから大丈夫だと。特にSNSでは、新型コロナウイルス関連で仮想通貨投資などのよくわからないけれど「もうかります」系の詐欺が増えているので、要注意です。
――どうしたら防げるでしょう。
高橋 おいしい話があったら、誘いに乗る前にまずは信頼できる誰かに相談してほしいですね。ひとり暮らしの大学生の場合は周囲にやっている人がいたら「やるのが普通」と思ってしまいがちなので、親御さんから「こういう被害があるみたいだから気をつけなさい」「何かあったら、とりあえずいいものかどうか調べるから連絡して」と伝えるのもいいと思います。とにかく「本当に信頼できる相手なのか」はしっかり確認してください。親切だったりやさしいだけで信用しすぎず、過去の投稿だけでなくほかのSNSへの投稿など複数の情報から確認しましょう。たとえば実名で顔出し基本のFacebookで交友関係や所属、ふるまい、共通の知り合いがいたら評判を聞く、情報が確かかなどを確かめましょう。
とにかく確実に信頼できることを確認するまでは相手のことを信頼しすぎないこと。お金の話はせず、2人きりでは会わず、送られて来るURLにもアクセスしないこと。また自分の個人情報を送りすぎるのも危険ですから、教えるのは最低限の情報にして、運転免許証の画像や学生証の写真なども送ってはいけません(「それをバラまくぞ」と脅されるケースもあり)。とにかくおいしい儲け話がSNS経由で得られることなんて「ない」ですから。やはりまっとうに働くのが一番です!