精神科医が教える信頼できない人の共通点「言い訳が多い」「時間に遅れる」あとは…?
更新日:2021/7/16
ToDo2 自分が「ギバー」になる
自己啓発書には、「ギバー(Giver)」すなわち「与える人」、そして「テイカー(Taker)」すなわち「受け取る人」「奪う人」という言葉がよく使われます。
「For You」の傾向が強い人が「ギバー」で、「For Me」の傾向が強い人が「テイカー」です。
ギバーの傾向が強い人とお付き合いすることができれば、あなたはたくさんのものを得られるはずです。しかし、そういう人にあなたが近づいても、「まったく相手にされない」ということがあるかもしれません。
心理学で「同属性の法則」という概念があり、人は自分に近い性格傾向の人を好みます。つまり、「ギバー」は「ギバー」を好み、お互いに助け合い、貢献し合い、高め合います。圧倒的なスピードで自己成長し、ビジネス的にも急成長するのです。
こうした人たちは、「テイカー」を瞬時に見抜き、決して付き合わないようにします。あなたが「ギバー」から相手にされないとしたら、「For Me」の傾向、「テイカー」の傾向が強いことを見抜かれているからです。
一方で、「テイカー」は「テイカー」を引き寄せます。自分のお金儲けばかり考えている人が、「詐欺的な儲け話」にダマされたり、会社のお金を社員に持ち逃げされたという話をよく聞きます。
テイカーの周りには、「自分のことしか考えない人」が集まるので、ダマし合いや、お金の奪い合いが勃発するのです。もしあなたが、人からダマされたり、お金のトラブルに遭うのだとすれば、それはあなたに「テイカー」の傾向が強い可能性があります。
「自分のこと」同様に「相手のこと」を大切にする心を持たないと、さらなるトラブルに見舞われるでしょう。
信頼できる人と付き合う方法は簡単です。自らが「信頼できる人」になることです。自ら「ギバー」となって人に与えることからはじめましょう。そうすることで、「ギバー」を引き寄せ、「信頼できる人」を引き寄せることができるのです。
ToDo3 「人に与えることへの抵抗」を乗り越える
とはいえ、「ギバーになるのは難しい」とあなたは思っているはずです。
アドラーは、人を信頼する、人に貢献するのに、「見返り」を求めてはいけないと言います。アドラーの本を読むと、理解はできるのですが、実際に「見返りを求めずに、人に与え続けること」は、非常に難しいし、心理的抵抗がある人も多いでしょう。そうした心理的抵抗のせいで、多くの人はギバーになれません。
見返りが一切なくても、誰も認めてくれなくても、あなたから始めるのだ。
―アルフレッド・アドラー(オーストリアの心理学者)
また、ペンシルベニア大学ウォートン校のアダム・グラント教授によると、人の特性は次の3つに分類できると言います。
・「ギバー(Giver/与える人)」
・「テイカー(Taker/受け取る人)」
・「マッチャー(Matcher/帳尻を合わせる人)」
この3つの特性の中で、最終的に最も成功するのはギバーであると結論を出しています。しかし、「すべてのギバーが成功できるわけではない」というのです。
「成功するギバー」と「燃え尽きるギバー」がいます。「燃え尽きるギバー」は、自分の時間とエネルギーを割いて、そのツケを払う人。与えることに燃え尽きてしまい、長く続かないのです。
たとえば、「友人の相談に乗っていて、講義に出られなかった。勉強できなかった」といったパターンです。あるいは、ボランティア活動も、自分の収入や自分の精神状態が安定しないと、長続きしません。
テイカーが「利己的」で、成功できないギバーが「自己犠牲的」なら、成功するギバーは「他者志向的」と言えます。
他者志向とは、受け取るより多くを与えても、決して自分の利益は見失わず、それを指針に「いつ、どこで、どのように誰に与えるか」を決めることです。
「ギバーになろう!」「見返りを求めずに人に与えなさい」と言っても、イエス・キリストのように完全な「自己犠牲」は私たち凡人には無理なのです。
「他人を思いやる」のと同様に、「自分自身の健康」や「自分の精神状態」への思いやりを忘れてはいけません。
あるいは、自分の「楽しい」「嬉しい」といった率直な感情は、「見返り」には相当しません。自分の中から湧き上がるものであって、「相手から受け取る」ものではないからです。
後輩にご飯をおごってあげて「楽しい!」と思ったとすれば、楽しかったから「またご飯をおごってあげよう」というのは、「利己的」にはあたりません。どんどんやっていいのです。
「他者利益の追求」と「自己利益の追求」は両立できるのです。
自分の「楽しい」「嬉しい」「おもしろい」といったポジティブな感情も「自己利益」なのです。
「人に与える」のはやせ我慢ではなく、楽しみながら、喜びを感じていいのです。そう考えると、あなたも「ギバー」になれそうな気がしませんか。
さらに学びたい人は
『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』(アダム・グラント著、三笠書房)
難易度★★
全米トップのビジネススクール、ペンシルベニア大学ウォートン校の史上最年少終身教授。気鋭の組織心理学者が教えるビジネスの成功の秘訣。
「ギバー」「テイカー」という言葉が、普通に使われるようになったのは本書の影響が大きいでしょう。本書を読むと、あなたが「成功するギバー」になる方法がわかります。