本音を話す相手を間違えてはいけない。精神科医が『ガラスの仮面』月影先生の言葉を引用して解説!
公開日:2021/7/18
ストレスが増えたと感じやすい今。ストレスに100%悩まされないようになることは、とても非現実的な話です。
20万部を超えるベストセラーとなっている、精神科医の樺沢紫苑さんの著書『精神科医が教える ストレスフリー超大全 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』(ダイヤモンド社)は、「ストレスゼロを目指すのではなく、ストレスに対する考え方・受け止め方を変えること」を教えてくれる1冊。
さまざまなストレスに対し、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」が示され、心と体を整える行動が明確にわかります。
本稿では本書から一部抜粋して、「本音は出すべきか、出すべきでないか」についてご紹介します。
本音は出すべきか、出すべきでないか
「嫌い」「嫌われない」という問題についてここまで説明してきましたが、次は、あなたの振る舞い方についてです。本音は言ったほうがいいのか、それとも本音を言わずに我慢したほうがいいのか。それについての考え方を紹介しましょう。
ファクト1 本音は親しい人だけに打ち明ければいい
本音とは、その人の「本心」です。本心は口に出さない限り、自分以外は誰も知り得ない内容です。ですから、「本音を話す」というのは、「最も深い自己開示をする」ということに相当します。
関係性の浅い人に本音を話しても、否定されたり、拒絶されたりするのは当然です。それは、P58の信頼関係の5ステップを飛ばしているからです。関係性の浅い人は、「あなたの本音なんか聞きたくない」というのが相手側の本音です。
「思い切って本音を言ったら、険悪な雰囲気になった」「本音を言ったら、受け止めてもらえず傷ついた」という人は、そもそも本音を打ち明ける相手やタイミングを間違っています。
「対人関係療法」において、「対人関係の三重円」という考え方があります。
円の一番内側は、「重要な他者」です。家族や恋人、親友など、あなたにとってかけがえのない存在の人です。
その1つ外側は、友人や親戚などが当たります。さらにその外側に、職業上の人間関係などが入ります。
多くの人は、最も外側の人とも親密な人間関係を築こうとしてしまい、多くの精神的エネルギーを浪費し、精神的に疲れ果ててしまいます。ときにはうつ病に陥ることもあるでしょう。
外側の人間関係は、ボチボチでよいのです。あなたの「本音」「本心」を話す必要などありません。本音を話すことで、逆に誤解をされたり、傷ついたり、傷つけたりする問題が生じてしまうのです。
ToDo1 本音は「真に親しい人」だけに伝える
あなたは、職場のCさん(たまに雑談する程度の関係)から、「ちょっと相談がある」と呼び出されたとしましょう。Cさんは、「母親が認知症になり、その介護でものすごくたいへんな話」を、あなたに2時間も延々と話し続けました。あなたは、どう思いますか。
「私に相談してくれて本当に嬉しい」と思いますか。絶対に思わないでしょう。「なんで、そんなに親しくもないCさんの重たい話を2時間も聞かなきゃいけないのだろう……」と思うはずです。
親しくもない人に、本音で相談されても相手は「迷惑」です。「聞きたくもないあなたの本音」を聞かされる相手の気持ちも考えるべきです。
「親密度」がズレた相手に本音を話すべきではありません。
「対人関係の三重円」に照らし合わせて、それに応じた話題を選ぶようにしましょう。中心にいる「真に親しい人」「重要な他者」にのみ、本音を打ち明けるべきなのです。