コロナ禍で行動が制限される中、近年のキャンプブームに拍車がかかっている。そのキャンプブームの火付け役となったのが『ゆるキャン△』だろう。2015年より『まんがタイムきららフォワード』（芳文社）で連載され、その後同社のマンガ配信サイト『COMIC FUZ』で連載されている、女子高校生たちの冬のゆるいキャンプライフを描いた作品だ。

　2018年1月～3月にアニメ第1期『ゆるキャン△』が放送され、その後『へやキャン△』が2020年1月～3月に、『ゆるキャン△ SEASON2』が2021年1月～4月に放送されている。また、ドラマ化（第1期：2020年1月～3月／スペシャル：2021年3月／第2期：2021年4月～）もされており、2022年には劇場アニメも公開される予定となっている。

　先日、そんな『ゆるキャン△』に登場する“キャンプごはん”に焦点を当てたステンレスなべ付きの本『ゆるキャン△ キャンプしよう! ステンレスなべBOOK なでしこver.』（宝島社）と『ゆるキャン△ キャンプしよう! ステンレスなべBOOK リンver.』（宝島社）が登場した。本書はタイトル通り「なでしこバージョン」と「リンバージョン」の2種類があり、一部特集ページの内容や鍋の柄がそれぞれキャラクターに合った仕様となっている。

鍋の柄はマンガに登場するコマのイラストを組み合わせて作られており、ファンなら愛着がわくこと間違いなしのデザイン。直径167mm×高さ40mmとソロキャンでも使いやすい程よいサイズ感なのも嬉しい！

　また、2冊合わせると2人が背中合わせになる表紙のデザインにも注目してほしい。キャラクターたちがいつもべったり一緒、ではなく、心は繋がりながらもそれぞれ自分らしく自由な付き合い方をしているというのも本作の魅力の1つ。この程よい距離感が表紙で尊重されているのも、ファンとしてはグッとくるものがある。

　もちろん冊子自体も、ゆるキャンの作品紹介やキャラクター紹介、作中に登場するキャンプの様子やキャンプごはんを振り返る特集など、初心者でも入りやすく、それでいてファンにも楽しめる内容が盛りだくさん！ マンガやアニメで見たシーンを改めて見ていると、「こんなことあったな」「○○がおいしそうに食べてたやつだ！」とまるで彼女たちのアルバムを見ているかのような感覚が味わえる。このシーンの前後はどんなふうだっけ、と作品を見返しながら思いを馳せるのも楽しそう。

　そして作品を振り返るだけでなく、作中に登場したキャンプ用品の詳細やキャンプの計画の立て方、キャンプ場を使用する際に気をつけたいルールやマナーなど実践的なことにもきちんと触れられているのもポイント。キャンプごはんというと外で簡単な料理を作るだけでは？と思いがちだが、外での料理は思いのほか準備が必要なうえ、様々な制限がつく場合も多い。キャンプ場のルールも確認したうえで決めるのが確実だ。本書では作中での失敗シーンも併せて紹介されているので、それを意図せず再現してしまわないよう、キャンプをする際にはここもしっかりチェックしておきたい。

　このほか、実際に付属のステンレスなべを使って作ったキャンプごはんの写真もたくさん掲載されている。写真で見るとより現実味がわき、この子たちはこれを食べていたのかと感慨深い。また、お酒との合わせ方も書かれているので、なでしこたちが所属している部活「野外活動サークル（通称：野クル）」の顧問・鳥羽美波先生のようにお酒を楽しみたい人にもぴったり！

　アウトドアな趣味に馴染みがない人にとって、分からないことが多くハードルを高く感じてしまいがちなキャンプ。しかし彼女たちを見ていると、守ることさえきちんと守れば、自由に、臨機応変に楽しんでいいのだと気付かされる。ゆるキャンやキャンプに少しでも興味のある人は、この『ゆるキャン△ キャンプしよう! ステンレスなべBOOK』で、お好みの鍋とともにゆるいアウトドアの世界を覗いてみては？ 普段インドア派な筆者も、冬キャンに向けて少し勉強してみたくなった。

文＝月乃雫

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