石川由依×櫻井孝宏『聖女の魔力は万能です』キャスト対談! 役柄への思い、作品の見どころは?
公開日:2021/7/5
残業を終えて帰宅した20代会社員・セイが、聖女として異世界に召喚!? ファンタジックな王国でスローライフを送る『聖女の魔力は万能です』。小説からマンガへ、そして今年4月にテレビアニメ化も果たしたこの作品の魅力とは? アニメでセイを演じた石川由依さん、王宮第三騎士団団長アルベルト・ホーク役の櫻井孝宏さんに、役柄への思い、作品の見どころを語っていただきました。
(取材・文=野本由起 撮影=山口宏之)
もしもふたりが異世界に召喚されたら……?
❅― 最初に原作や台本を読んだ時の感想をお聞かせください。
石川 これまで、異世界召喚ストーリーといえば主人公は男性というイメージがありました。ですから、まず女の子が召喚されるというのが、私にとっては新鮮でしたね。主人公のセイは、とても前向きな子。最初のうちこそ理不尽な思いもしますが、周りの人々もとても温かいのでストレスなくサクサク読み進めることができました。とても面白かったですね。
櫻井 現代人が戦国時代に行ったり、別世界に召喚されたりする作品は昔からありましたし、今や異世界転生モノはひとつのジャンルになっていますよね。でも、大抵の主人公は異世界で戸惑ったり、なかなか馴染めず「元の世界に帰りたい」と思ったりするじゃないですか。その点、セイはこの世界での生活を受け入れているのが新鮮でしたね。ちょっと引っ越したくらいの感じで(笑)。セイがもともとそういう人なのか、描きたいテーマがそこではないからなのか、いろいろ理由はあると思いますが面白いなと思いました。
石川 最初こそ戸惑っていましたが、すんなり馴染んでいますよね。帰りたいようなそぶりもあまりなくて(笑)。
櫻井 アニメでは第1話のAパートから適応していますからね。
❅― おふたりがスランタニア王国に召喚されたら、セイのように順応できそうですか?
石川 どうでしょう……。戸惑いそうですね。
櫻井 でも、聖女様だからある程度は待遇が約束されるじゃないですか。私はちょっと興味がありますね。
石川 みんなが「聖女様」と言ってくれるので違う自分にもなれて、違う世界も楽しめて。意外と楽しいかもしれません(笑)。
進展しそうでしない?ふたりの恋愛模様
❅― ご自身が演じたキャラクターの印象はいかがでしょうか。
石川 異世界に適応する力、前向きな気持ちが強い女の子だなと思いました。もちろん戸惑ったりプンスカしたりすることもありますが、切り替えも早く、どうせこの世界にいるなら楽しもうと考えるところが素敵だなと感じました。それが、自分のやりたいこと、植物の研究につながり、さらには誰かを助けたいという気持ちにもつながっていく。明るく前向きに突き進み、人のために頑張る姿が魅力的ですよね。
櫻井 アルベルトの場合は、騎士のイメージが強いですね。少し王子様風のルックスで、凛々しくて端正。セイとの出会いも劇的ですよね。ボロボロの状態を助けてくれた命の恩人ですから、まぁ好きになっちゃいますよね(笑)。しかも、相手は聖女様ですから。運命、とでも言うべきでしょうか。ストレートに好意を示すあたりからも、堂々としていて誠実な騎士らしさを感じます。あまり雑味がない人だなと思いますね。
❅― 役柄に入り込むのはスムーズでしたか?
石川 私は暗くなりがちなので(笑)、セイのように前向きで、何も後ろめたさのない役柄は珍しいケースかもしれません。挑戦したい気持ちはあったのですが、なかなかそういう役に巡り合わなくて。でも、演じるにあたってそこまで苦労はありませんでした。
櫻井 アルベルトに関しては、ストーカーチックにならないといいなと思ってました(笑)。これは私の表現の仕方の問題ですが、セイに対してグイグイと行く人なので、ちょっと道を踏み外すと危うさが出てしまいそうで。雰囲気のいい人だから、キラッとしたイメージを保ちたいなと思って収録に臨んでました。
石川 アニメを観ていても、「ホーク様、積極的だな」と思います。ストレートにセイを狙っているなと(笑)。
櫻井 いいですね、「狙っている」って(笑)。
石川 でも、誠実さが伝わってくるので、嫌な感じはしないんです。意外と大胆なこともしますが、ある一定の距離感を保っていますよね。逆に言えば、だからこそセイもいつまでたっても慣れず、毎回ドギマギすることに。「このふたりの仲は進展するのだろうか」とずっと見守っていました。
櫻井 デートに誘ったり、アプローチしたりという行動だけ見ると積極的ですが、もうひとつ核心に迫れない。「どうした?」と何気なくセイに急接近したり、間近に顔を覗き込んだりするのは、ある意味子どもっぽい感覚なのかなと思います。セイがドキッとしているのを見ても、「どうしたんだろう」みたいな反応でピンときてない。それが彼の育ちの良さの表れなんでしょうね。
石川 下心は感じませんよね。純粋にセイのことが好きで、優しくしていたらちょっと距離が近くなっていた、みたいな。
櫻井 高嶺の花に憧れるような思いなのかもしれませんね。
❅― デートの時にすっと手を差し伸べるようなシーンは、女性から見るとドキドキするのではないでしょうか。
石川 王子様のようで憧れますよね。私は、いつもは紳士的なホーク様が、第3話でセイの素足を見てしまい、「すまない」と言う時のお芝居がかわいくて好きでした(笑)。
櫻井 ありがとうございます(笑)。
石川 ホーク様がすごく照れているところはなかなか見られないので、キュンときました。
セイの心の声を伝えるモノローグは必聴!
❅― お互いの演技についての発見、掛け合いによって引き出された演技などはありましたか?
櫻井 セイは、会話の合間にモノローグがたくさん挟まれているんです。「あ、内心ではこう思っているんだ」と、彼女の心情がわかるのが面白かったですね。最初のうちはセイってもう少し内向的な人なのかなと思っていましたが、行動力があるし、料理も上手だし、とにかくいろいろとスキルが高い。どんどん異世界に溶け込んでいき、セイ中心で物語が進んでいきますよね。でも、その一方で、心の中は意外と素朴なんだな、と。
石川 確かにセイは、スペックが高い子だと思います。だって、趣味程度と言いつつ、ハーブから化粧水を作ってしまうほどですから(笑)。召喚前の世界でもワーカホリックと言えるくらい仕事に没頭していましたし、自分の好きなことは突き詰めるタイプなんでしょうね。そういう資質があったからこそ、聖女として召喚されたのかもしれません。でも、そうは言っても普通の女の子としての一面もあります。そこが、モノローグにも表れているのかもしれないですね。
櫻井 そうなんですよね。だから、視聴者も共感できるんでしょうね。
石川 モノローグでは、ブラックとはいかないまでも率直すぎることも言うので、そこがかわいいですし、演じていて愛着が湧きますね。心の声は、常に苦笑いをしているようなイメージで発しています。
櫻井 その場で起きている状況に対して、一歩引いているような客観的な言葉が多いですよね。
石川 普段演じるモノローグとはまた少し違って、心の奥底で思っていることをぽろっとつぶやくことが多いですね。今回は、普通に話すセリフとモノローグどちらも量が多いので、ひとりでずっと会話しているような気になります(笑)。
櫻井 大変だなぁと思いながら、横で眺めています(笑)。
石川 分量が多いからこそ、緩急をつけるのは大変ですね。とはいえ、セイは腹黒いわけではなく、普段からカラッとした性格です。「かわいくて明るい女の子が、実は心の中でちょっと面白いことを考えている」と思っていただけるよう演じています。
❅― では、最後にこれからアニメを観る方、小説・マンガを読む方に向けて、作品の魅力をアピールしていただけますか?
石川 悪い人が登場したり、嫌な意味でドキドキしたりすることはないので、まずは構えずに作品の世界に触れてください。セイも、現実世界で仕事に疲れていたところから異世界に行き、元気になりました。皆さんも癒しの世界に飛んでスローライフを味わっていただけたらなと思います。
櫻井 この作品は、男性ファンも多いと聞きました。その理由のひとつに、ゲーム好きが「おっ」と思うような表現やワードが出てくることが挙げられると思います。例えば、ポーション作りや、素材に魔法効果を付与したりする場面は、「あ、この世界ではそういう風に作られているんだ」という気づきがあって面白いんですよね。ディテールだけでも楽しめる要素が盛り込まれているので、その辺りも注目していただければ。しかも、ノーストレスでテンポよく観られるアニメなので、30分もあっという間です。深夜アニメっぽくない、どこかヘルシーな印象を受ける作品です。とても気持ちよく観られるので、まずは気軽に楽しんでいただけたらと思います。
ヘアメイク=MAIMI(櫻井さん)
いしかわ・ゆい●幼い頃から舞台、ミュージカルで活躍し、2007年に声優デビュー。『進撃の巨人』(ミカサ・アッカーマン役)、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(ヴァイオレット・エヴァーガーデン役)、『トロピカル~ジュ!プリキュア』(キュアパパイア/一之瀬みのり役)などに出演。1stアルバム『「UTA-KATA 旋律集 Vol.1 ~夜明けの吟遊詩人~』が、全国アニメイト・アニメイト通販で発売中。
さくらい・たかひろ●1996年、声優デビュー。『おそ松さん』(松野おそ松役)、『鬼滅の刃』(冨岡義勇役)、『FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE』(クラウド・ストライフ役)などに出演。ラジオ番組『P.S.元気です。孝宏』(文化放送 超!A&G+)、『こむちゃっとカウントダウン』(文化放送)にレギュラー出演中。雑誌『ダ・ヴィンチ』にてエッセイ『ロール・プレイング眼鏡』連載中。
広がり続ける『聖女の魔力は万能です』ワールド
橘由華さんがWebサイトで発表した小説を起点に、コミック、アニメへと広がった『聖女の魔力は万能です』。さらに、もうひとりの聖女・愛良を主役にしたスピンオフコミック、豪華作家陣によるアンソロジーコミックも登場し、「聖女」ワールドはさらなる賑わいを見せています。1冊読んだらまた1冊……と、どんどん手を伸ばしたくなるはず!
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