糖尿病は何が怖い? ホリエモンが医師に直接取材して学んだこと
公開日:2021/7/1
糖尿病。新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいと言われ、改めて気を付けようと思っている人も多いのではないか。とはいえ、具体的には何に気を配って生活すればいいのかはよくわからない。一般的には甘いものの取りすぎや、運動不足が原因で発症するイメージだが、日々意識して生活できている人は少なそうだ。
本書『糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた』(堀江貴文/祥伝社)は、珍しい趣向の健康本である。専門の医師が硬い文章で警鐘を鳴らすのではなく、実業家の堀江貴文氏が医師に最新情報を取材するというスタイル。「糖尿病とは何か?」という基礎から始まり、忙しいホリエモンも実践できる手軽な予防法も紹介している。どんなことが書かれているのかみていこう。
糖尿病は何が怖い? 合併症で年間1万人が足を切断
糖尿病は、インスリンが十分に働かないことで、血液中のブドウ糖が増える病気だ。その恐ろしさは「サイレントキラー」という特徴にある。糖尿病には、初期の自覚症状がない。普通に生活しているうちに、徐々に病気が進行している。自分で異変に気付いたときには、すでに深刻な合併症が起きているのだ。
本書の冒頭では、マンガ形式で合併症の恐ろしさを伝えている。これまで特段の予防をしてこなかった筆者にとっては、身の引き締まる衝撃的な内容であった。忙しい生活を送る主婦の女性が、ある日倒れてしまう。そのときには、糖尿病網膜症によって視界がぼやけ、血流障害によって足が壊疽。最終的には、足を切断せざるを得なかったという。本書によれば、糖尿病の合併症では、なんと年間1万人が足を切断、年間4000人が失明している。
結局予防には何をすればいい?
糖尿病の恐ろしさがわかったところで、気になるのがその予防法だ。自覚症状の現れにくい病気を、どう防げばいいのだろう。本書では、病気のメカニズムの解説や、最先端の治療法の紹介に加え、日ごろからできる予防についても解説。堀江氏は、本書の第4章「すぐできる! 予防法」で、岐阜大学の矢部大介教授に取材している。矢部教授によれば、食事や運動で血糖上昇を抑えることが大切だという。
矢部教授が勧めるのが、「糖質5分あとまわしダイエット」だ。よく言われる「野菜を先に食べたほうがいい」という話に近く、魚や肉などのおかずを食べ始めて5分以上たってから、ご飯(糖質)を食べるというもの。食べたものが胃から小腸へ移動する時間が2倍以上遅れ、急激な血糖上昇が抑えられるという。好きなものを我慢する食事制限ではなく、食べる順番を工夫するだけなので取り組みやすいだろう。
本書では、陥りがちな「やってはいけない食習慣」も紹介されているので、当てはまるものがないか確認してみよう。また、食事だけでなく、同時に運動をすることも必要。毎日はとても無理という人にも、通勤時間を生かしたやり方を紹介している。糖尿病が気になり始めたら、まずはこの1冊を参考に予防を始めてみては。
文=中川凌
(@ryo_nakagawa_7)