『Let’s! 美バディ』で話題のダンサー・IG(アイジ)って何者⁉ 読むと元気が湧いてくるエッセイからひもとく!
公開日:2021/7/1
ど派手なピンクヘアにレオタード、大きな扇子。あなたは、TBS系「Let’s! 美バディ」のトレーナーとして活躍中の大人気ダンサー・IG(アイジ)をご存じだろうか。超ハイテンション、ハッピーマインド全開で教えてくれるトレーニングは、見る者を元気づけてくれるが、「一体IGって何者なの?」と疑問に思っている人も多いことだろう。
『本気で生きるって気持ちよくな~い?』(IG/双葉社)は、そんなIGの半生が綴られた初のエッセイ集。実はIGは超実力派のダンサー。ポールダンス大会の男性部門・初代チャンピオンであり、レディー・ガガのMVダンサーとして日本人で初めて抜擢された世界的ダンサーで、今は新型コロナウイルス流行の影響で日本に帰国しているのだという。同性を好きになる自分に悩み続けた日々。鬱になりもがいた学生時代。夢を諦めきれず、33歳で決意したアメリカでの挑戦…。あらゆる経験をしてきたIGの言葉は、前向きにさせられるものばかりだ。
完璧な人はこの世にいない。
今でこそハッピーマインド全開のIGだが、かつては、自らのセクシャリティやアイデンティティに悩まされたという。彼は小学5年生の頃に同性を好きな自分に気づき、長い間、周囲と違う自分に苦しみ、大学時代は鬱病にもなった。けれど、悩んだ経験が今の自分の長所なのだとIGはいう。悩み苦しみ続けた自分自身に伝えたいのは、「無理に解決しようと思わなくていいんだよ」ということ。完璧な人なんて、この世にいない。未完成でいいし、未解決のままだってどこまででも進めるのだ。
何をするかも重要だけど、何をしないかも重要。
大学を卒業し、ダンスレッスンのインストラクターを始めたIGは、加藤ミリヤや倖田來未、ゆずなどのバックダンサーを担当したり、「笑っていいとも!」(2014年までフジテレビ系列で放送)などのバラエティ番組に出演したりと、あらゆる大舞台を経験した。何かスペシャリティを持ちたいと、ポールダンスにも挑戦し、見事、日本大会男子部門の初代王者にも輝いた。
だが、28歳になった時、大量の仕事をこなす日々に心も体もヘトヘトに疲れてしまったのだという。元々、自分の夢は、アメリカで活躍するダンサーになることだったはず。それを思い出したIGは29歳の時に、今まで続けてきた仕事を一旦休んで、半年間アメリカ留学に行った。作り上げてきたものを壊す作業は怖い。だけれども、今という時間に違和感を抱いたなら、自分を信じて新しいことにトライすることも必要なのだ。
何者でもない。何者でもいい。
さらに、IGは、33歳の時に「もう一度アメリカに行きたい」と一念発起し、アーティストビザを取得して、アメリカに向かった。「今さら?」と非難する人もいたが、結果、レディー・ガガのバックダンサーに選ばれて、見える世界が180度変わったという。人生いろんな経験をしたもの勝ち。自分の伸びしろを決めずに、自分の可動域は自分で広げていくものなのだ。
ダンサーだから、歳だから、●●しかダメ!なんてことはない。大人がカッコよくキラキラしていくのって、カッコよくな~い?人生一度きりだよ。
IGの言葉に触れると、目の前が明るく開けていくような気がする。たくさんの壁を乗り越えて、自分の道を自分で見つけ出してきたIGのパワーを見習いたいと思えてくる。体も心もハッピーになれるこの一冊は、きっとあなたの背中も押してくれるに違いない。
文=アサトーミナミ