第165回芥川賞は石沢麻依『貝に続く場所にて』、李琴峰『彼岸花が咲く島』、直木賞は佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』に決定!

文芸・カルチャー

更新日:2021/9/1

 第165回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月14日(水)、都内で開催され、「芥川龍之介賞」は石沢麻依『貝に続く場所にて』、李琴峰『彼岸花が咲く島』に、「直木三十五賞」は佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』に決定した。

【第165回芥川賞受賞作品】

『貝に続く場所にて』(石沢麻依/講談社)

『貝に続く場所にて』(石沢麻依/講談社)
『貝に続く場所にて』(石沢麻依/講談社)

【あらすじ】
コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。
ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆく、現実と記憶の肖像画。

【プロフィール】
石沢麻依(いしざわ・まい)●1980年、宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、ドイツ在住。2021年、「貝に続く場所にて」で第64回群像新人文学賞を受賞。

『彼岸花が咲く島』(李琴峰/文藝春秋)

『彼岸花が咲く島』(李琴峰/文藝春秋)
『彼岸花が咲く島』(李琴峰/文藝春秋)

【あらすじ】
記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。

【プロフィール】
李琴峰(り・ことみ)●1989年、台湾生まれ。作家・日中翻訳者。2013年来日。早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。17年『独り舞』(講談社)(原題「独舞」)で群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。

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【第165回直木賞受賞作品】

『テスカトリポカ』(佐藤究/KADOKAWA)

『テスカトリポカ』(佐藤究/KADOKAWA)
『テスカトリポカ』(佐藤究/KADOKAWA)

【あらすじ】
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。

【プロフィール】
佐藤究(さとう・きわむ)●1977年福岡県生まれ。2004年に佐藤憲胤名義で書いた『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となりデビュー。2016年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。2018年、受賞第一作の『Ank:a mirroring ape』で第20回大藪春彦賞および第39回吉川英治文学新人賞のダブル受賞を果たす。

『星落ちて、なお』(澤田瞳子/文藝春秋)

『星落ちて、なお』(澤田瞳子/文藝春秋)
『星落ちて、なお』(澤田瞳子/文藝春秋)

【あらすじ】
鬼才・河鍋暁斎を父に持った娘・暁翠の数奇な人生とは――。
父の影に翻弄され、激動の時代を生き抜いた女絵師の一代記。

【プロフィール】
澤田瞳子(さわだ・とうこ)1977年、京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院博士課程(前期)修了。時代小説のアンソロジー編纂などを行い、2010年、『孤鷹の天』で小説家デビュー。2011年、同作で第17回中山義秀文学賞を最年少受賞。2012年の『満つる月の如し 仏師・定朝』で第2回本屋が選ぶ時代小説大賞、第32回新田次郎文学賞受賞。2016年には『若冲』で第5回歴史時代作家クラブ賞作品賞と、第9回親鸞賞を受賞。

■第165回芥川龍之介賞の他の候補作はこの3作品

・くどうれいん(くどう れいん)『氷柱(つらら)の声』(群像 4月号)

・高瀬隼子(たかせ じゅんこ)『水たまりで息をする』(すばる 3月号)

千葉雅也(ちば まさや)『オーバーヒート』(新潮 6月号)

■第165回直木三十五賞の他の候補作はこの3作品

一穂ミチ(いちほ みち)『スモールワールズ』(講談社)

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呉勝浩(ご かつひろ)『おれたちの歌をうたえ』(文藝春秋)

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・砂原浩太朗(すなはら こうたろう)『高瀬庄左衛門御留書(たかせしょうざえもんおとどめがき)』(講談社)

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