睡眠不足を甘くみていると危険!? 年齢別の理想的な睡眠時間をチェックして“睡眠負債”をなくそう/睡眠にいいこと超大全

健康・美容

公開日:2021/8/3

 コロナ禍の変化によるストレスで「睡眠が十分取れない」と悩んでいませんか?

 外出自粛でおうち時間が増え生活が一変しました。生活リズムの乱れや運動不足、ストレスの影響で眠りに関する悩みが増えているといいます。寝つきが悪い・起きられない・日中も眠い… 睡眠に関する悩みを解消して、驚くほどぐっすり眠れる方法紹介している『睡眠にいいこと超大全』から、睡眠力を高めるコツや快眠を誘うメソッドを伝授します!

※本稿はトキオ・ナレッジ著の書籍『睡眠にいいこと超大全』から一部抜粋・編集しました

睡眠にいいこと超大全
『睡眠にいいこと超大全』(トキオ・ナレッジ/宝島社)

寝不足を甘く見てはいけない
危険な「睡眠負債」を招くことになる!

KEYWORD▷睡眠負債、マイクロスリープ

睡眠にいいこと超大全

睡眠不足は脳と体にダメージを与え命の危険にさらされることに!

 前の晩に夜更かししてしまい、眠気が取れない。よくあることだけに、単なる寝不足として見すごされがちだが、睡眠不足が続くと、「睡眠負債」と呼ばれる危険な状態に陥ることになる。睡眠負債は脳と体にダメージを与え、あらゆる病気のリスクを高める恐ろしいもの。しかも、睡眠負債を深刻化させている人ほど思考が麻痺してしまい、それに気づかないという厄介な事態も招く。「自分はどこでも眠れる、寝つきがいいから大丈夫」と豪語する人こそ、実は要注意。どこでも、いつでもすぐに眠れてしまうのは、半ば気絶状態で眠りに落ちているということ。つまり、それだけ体が眠りを欲している証なのだ。

 睡眠負債は「マイクロスリープ」と呼ばれる、ほんの数秒の短い眠りを引き起こす。パソコンを打ち間違えるなど、ちょっとしたミスですんでいる分には問題ないが、もし運転中なら一大事だ。時速60㎞で運転中に、4秒間のマイクロスリープに入れば、クルマは70m近く進んでしまう。睡眠負債を抱えている人は、常にこうした危険と隣り合わせだという自覚を持つべきだ。まずは自分の睡眠時間を見直すことからはじめよう。

睡眠知っ得MEMO

景気回復のカギは「よく働く」ではなく「よく眠る」こと
先進国の中でも日本人は睡眠負債をため込みがちで、OECD「Gender Data Portal 2019」の調べによれば、加盟国でワースト1位という不名誉な結果を記録した。ビジネスパーソンの睡眠不足が日本経済停滞の一因といえるかもしれない。

睡眠不足の人ほど気づかない
飲酒運転と同程度の危険をはらんでいる

KEYWORD▷睡眠不足は飲酒運転と同じ状態

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慢性的な睡眠不足はやる気をそぎパフォーマンスの低下を加速させる

 睡眠不足が続けばミスが起こるのは当然のことだが、問題なのは、それに慣れてしまうこと。数カ月から数年にわたり慢性的に睡眠不足の人は、なんとなく頭がぼんやりして、やる気も出ないという状態がいつもの自分だと思っている人が実は多い。パフォーマンスが低下しているのは睡眠負債のせいだという自覚がないため改善することもできず、どんどん負債をため込んでしまうのだ。

 さらに憂慮すべき研究結果もある。健康な大人の被験者を2つのグループに分け、片方には法律で定められた0.8%の血中アルコール濃度になるまで飲酒してもらい、もう片方には朝7時から深夜2時まで起きていてもらう。その後、両方のグループの被験者が集中力を測るテストを受けたところ、19時間連続して起きていたグループの人たちは、法律上の酔っぱらいに分類される人たちと同じくらいパフォーマンスが低下していたという結果が出た。つまり、19時間連続して起きていた人が車を運転すれば、たとえアルコールを1滴も口にしていなくても飲酒運転と同じ状態になるということだ。睡眠が1時間減れば、それだけ事故の確率が高くなることをお忘れなく。

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休日の睡眠時間が2時間以上多ければ睡眠不足症候群かも
日中の慢性的な眠気や倦怠感は睡眠不足が原因の「睡眠不足症候群」を招くことがある。休日の睡眠時間が平日より2時間以上長ければ、睡眠不足症候群を疑うべき。症状に気づかず睡眠時間を削って仕事をしないようにしよう。

睡眠不足はほろ酔い状態と同じこと
ミスが増え、怒りっぽくなってしまう

KEYWORD▷前頭葉、感情のコントロール

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睡眠負債をためていくと徹夜と同じ状態になってしまう

 徹夜が翌日の作業効率を低下させるのは明らかだが、実は毎日少しずつ睡眠負債をためていくほうがダメージは大きい。たとえば、1日8時間の睡眠が必要な人が6時間しか眠れない日が続けば、毎日2時間の睡眠負債がたまっていくことになる。それを12日間継続すれば、24時間眠らずにいることと同じ状態になるという実験結果もある。脳の働きは弱度の酩酊状態と同程度まで低下し、ほろ酔い状態で仕事をしているようなものだという。アメリカ、ペンシルバニア大学で行われた実験では「6時間睡眠を10日間続けた人は、1日徹夜した人と同じレベルまでパフォーマンスが下がる」との結果もある。

 睡眠が不足すると、大脳の中で集中や判断などの働きを司る前頭葉に大きな影響が出る。注意力が散漫になったり、適切な判断ができなくなったりするのだ。また、前頭葉には感情をコントロールする働きもあるため、睡眠不足が続くと、イライラしたり、怒りっぽくなったりすることもある。たとえ、週末に長時間寝て気分がスッキリしても、それは眠気が解消されただけのことで、認知機能は回復していないということもわかっている。

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睡眠時間が短いと風邪ウイルスへの感染率が高まる
アメリカ、カリフォルニア大学は睡眠時間が6時間以下の人は、7時間以上の人に比べ風邪ウイルスの感染率が4倍以上も高くなるという研究結果を報告した。睡眠不足だと風邪をひきやすいことが科学的に証明されている。風邪予防は睡眠から。

<第2回に続く>