夏でも雪が降っている!? 夏の暑い日に突然降り出す、にわか雨との関係/空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑
公開日:2021/8/5
夏でも上空では雪が降っている、虹は半円形ではない、雨のにおいには名前がある…空には不思議でおもしろいことがいっぱい!
雲、雨、雪、虹、台風、竜巻など、天気や気象にまつわる“おもしろくてためになる知識”を、映画『天気の子』の気象監修者としても有名な荒木健太郎氏に教えてもらいました。やさしい解説で「天気・気象のなぜ?」が一気にわかります。
今回ご紹介するのは「夏の雪」のお話です。実は、夏であってもある場所では雪が降っています。私たちが目にするのは少し違った形ですが…いったい、どういうことなのでしょうか?
※本作品は、荒木健太郎著の書籍『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』から一部抜粋・編集しました。
夏に降る雨もほとんどは雪が融けたもの
夏の暑い日に突然降り出す、にわか雨。雨のつぶが勢いよく地面で踊る様子は、夏の風物詩といえますね。そんな真夏の雨をふくめ、日本で降る雨の大部分は上空の雪が融けたものなのです。
雨を降らせる典型的な雲は、積乱雲と乱層雲。これらの雲は背が高く、高い空では雲の温度が夏でも氷点下なのです。積乱雲を例に、雲のなかで起こることを考えてみます。まず上昇気流で空に昇った雲のつぶが凍って氷の結晶になり、それが水蒸気を栄養にして大きく成長します。すると自分の重さで落下できるようになり、雪や霰として落ちてきます。地上に近づくにつれて気温は上がり、0℃より温かい空になると雪や霰は融けて雨へと変化。真冬のように地上が冷えていると、融けずに雪のまま降ってくるというわけです。
そう思うと、空から降る雨のつぶたちは、雲のなかで壮大な旅をしてたどりついたようなもの。彼らは蒸発して水蒸気となって、新たな空の旅に出ることでしょう。
豆知識
雪が融けて雨になるかどうかは、地上付近の気温と湿度で決まります。気温が数℃でも、湿度が低く乾燥していれば雪が降ります。これは、乾いた空では雪は蒸発(昇華)して自分自身を冷やし、融けにくくなるからです。