地球で一番のお金持ちはやることが違う! 大盤振る舞いが招いた思わぬ結果とは…/世界の大富豪とんでも無駄遣い伝説
更新日:2021/9/7
特別コラム
偉人研究家真山知幸が語るマンサ・ムーサ
生まれながらの大富豪という強運な男である。マリ帝国9代目の王、マンサ・ムーサが誇る総資産は一説によると、4000億ドル。約35兆円を保有していたことになる。
なぜ、それほどの資産を持っていたか。マンサ・ムーサが王に即位したのは、1307年のこと。祖父にあたるスンジャータは、ガーナを打ち破ったソッソ族の領土を併合することに成功。一代帝国を築いたことで知られている。金の産出地であるワンガラやバンブクなどを領土にしたため、盛んな金の取引によって、マリ王国はスーダン諸国のなかで最も裕福な国へと成長を遂げたのである。
マンサ・ムーサの巡礼は12年以上にわたる金の大暴落を招いてしまうが、負の遺産ばかりではない。トンブクトゥの町は黄金の都市としてヨーロッパに知られるようになり、1988年には世界遺産にも登録されている。
また、巡礼を終えると、マンサ・ムーサはイスラム教の導入に尽力。トンブクトゥの地には、多くのモスク(礼拝堂)やマドラサ(イスラム教の教育施設)が建立され、なかでも、イスラム教の大学の機能も持ったサンコーレ・モスクはアフリカ大陸で最初の大学といわれている。最盛期には2万5000人もの学生が集まるほどの盛況ぶりだったという。「信仰のため」という軸があるからだろう、金の遣いどころは、案外に心得ていたマンサだった。