自分の資産のうち、株式で持つべき目安はどれくらい? 実はあなたの年齢で変わります
更新日:2021/8/6
日々の仕事に追われていると、なかなか自分のお金についてしっかり考える機会はない。だが、預金をしているだけではお金は増えないし、老後の資金は何千万も必要だという。そろそろ資産形成の勉強をしなくては……。そう思っている方に、お金の基礎を“らくがき”で解説してくれる入門書『らくがきファイナンス 人生で損しない選択をするためのお金の知識』(ティナ・ヘイ:著、川添節子:訳/翔泳社)を紹介したい。
なぜ、らくがきなのか。本書は、紙ナプキンのイラストで金融知識を学ぶウェブサイト「Napkin Finance」を書籍化し、日本語訳したもの。もともとは、著者のティナ・ヘイさんが、ハーバードビジネススクールのMBAの授業についていくために、紙ナプキンにイラストを描いて理解を深めていたことが始まりだという。特徴は、テーマごとにひとつのイラストで表現するわかりやすい図解と、くすっと笑えるユーモアに満ちたテキスト。まるで人生の大先輩からのアドバイスをもらうような、温かい読み心地だ。
貯蓄の目安は収入の何割?
まずは身近な例で、内容を紹介していこう。例えば、思うように貯金できず悩んでいる人なら、本書の「予算」の項目をみてほしい。貯金をするためには、自分の収入と支出を管理することが大切だ。
はじめに、毎月の収入うち、何にどれくらい使っているのかを確認する。その後、用途ごとに分類し、使える上限を決めよう。予算を超えたらアラートが出るよう、アプリなどで設定しておくと便利だ。悩ましいのが予算の内訳だが、著者は、50/20/30ルールを紹介している。50%は生活に必要なもの、20%は貯蓄や借金返済、30%は欲しいものに使うくらいがちょうどいいという。
資産を株式で持つべき割合は?
今度は、もう少し大きな話をしよう。株式、債券、預金など、自分の資産をどう配分すべきなのかという悩みだ。
金融用語では、これを資産配分(アセットアロケーション)と呼ぶ。適切に資産を配分することで、投資によるリスクを減らし、リターンが得やすくなる。
本書によれば、ポイントは「投資期間」と「リスク選好」。株式を長く保有できるなら、とれるリスクは大きくなる。市場が一時的に落ち込んだとしても、回復するのを待てるからだ。若ければ若いほど、株を売るチャンスは多くなる。著者によれば、「120からあなたの年齢を引いた数字」が資産を株式で持つパーセントの目安だという。
また、リスク選好も関係する。日々の投資資産の価格変動に一喜一憂しすぎる性格の人は、リスクの高い投資には向かないだろう。「投資期間」と「リスク選好」、ふたつの条件をもとに自分にあったポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)を組んでみよう。
本書では他にも、「金利」「クレジットカード」といった基本的な項目も図解でわかりやすく解説。さらに、「ETF(上場投資信託)」「ビットコイン」など気になる投資についてもメリット・デメリットをきちんと説明してくれるから、ぜひ参考にしてほしい。お金のことを知ることは、自分の将来について考えること。本書の“らくがき”は、その出発点になるはずだ。
文=中川凌
(@ryo_nakagawa_7)