毎日くたびれているあなたへ…楽観的に暮らすためのコツは「期待しすぎるのをやめる」
公開日:2021/8/11
先行きの見えない時代。ウィズコロナとなってからは、将来への不安も絶えない。予測の立たない時代では「自身で問いを立て」「自分自身で考えて答えを出すこと」が必要だと言うのは、ビジネス書『人生に悩む君に贈る 1行の問いかけ 自分だけの答えが見つかる36のヒント』(佐々木常夫/日本実業出版社)である。
著者は、大学卒業後に素材メーカー大手の東レへ入社。現在は、企業マネジメントなどを支える佐々木常夫マネージメント・リサーチの代表取締役である佐々木常夫さん。本書を通して学べる「自問自答」の習慣は、悩めるビジネスパーソンすべての糧になるはずだ。
楽観的に暮らす第一歩「期待しすぎるのをやめる」
「いろいろなことに期待しすぎていませんか?」
漠然とした不安はしんどい。先行きの見えない問題に出くわすと「困ったなあ」「大丈夫かなあ」と、そればかりに頭が支配されてしまう。物事を楽観的にと思うものの、考え方のクセを変えるのも難しい。それならば「期待しすぎる」のをやめようと、著者は第一歩を提案する。
そもそも期待とは「こうして(こうあって)ほしい」とする願い。その気持ちが強すぎると、当てがハズレたときに落ち込んでしまう。一方、期待しすぎるのをやめると「ともかくできることをやろう」と余裕が生まれてくるので、物事へ対する執着がなくなり「柔軟にいろいろやってみよう」と前向きになれるという。
ただ、期待しないからといって周囲を疑うわけではない。ポイントは「物事や人と一定の距離を置いて、理性的に、冷静に見てみる」ということ。また、楽観的に暮らしていくには「ちょっと背伸びすればチャレンジできそうな目標」を立てるのも大切で、一つひとつ達成できれば「悲観に引っ張られずに済むのではないでしょうか」と、著者は私たちに問いかける。
仕事を早く済ませるコツ「考えてからやる」
「仕事はマネや模倣することからと、知っていますか?」
効率やスピードが求められる時代。ビジネスの現場でも、周囲の環境に追いつけず焦っている人たちもいるだろう。ただ、著者は「なんでもすぐに」が本当にいいのかと、疑問を投げかける。
過去の経験から、すぐにやるのは「かえって回り道になり、仕事を早く済ませるどころか、時間がかかってしまうことも多い」と述べる著者。急いで返信したメールに内容の漏れがあったり、焦って作った資料に「あ、これを入れ忘れた!」と思ってしまった経験は誰もが持っているはずだ。
しかし、仕事でムダを省くなら「考えてからやる」のが、結果として効率やスピードに繋がる。例えば、資料を作るにしてもゼロからスタートするのではなく「真似できるものはないか」と考える。考えるひと手間が加わっても、結果的に短時間で作業を終えられるというわけだ。
また、実践するためには「締め切り」を把握しておくのも大切。逆算して「いつまでに何をすればいいのか」「そのためには何を準備すればいいのか」と考えておけば、余計な作業に時間を取られることもなくなる。
迷惑なんて考えなくていい 「逃げ道」と「睡眠」は大切
自分の「逃げ道」をちゃんと用意していますか?
頑張りすぎると、いずれは体も心もボロボロになる。それでも、自分を甘やかすわけにはいかないと、毎日くたびれている人もいるはずだ。休んでしまうと周囲に「迷惑をかけてしまう」と考える人へ、著者は「自分の『逃げ道』をちゃんと用意していますか?」と問いかける。
仕事となると、多かれ少なかれ責任も生まれる。ただ、責任感が大事であっても「たかが仕事。人の命に勝る仕事なんて、この世にはない」と著者は訴える。無理をして「もうこれ以上頑張れない」となったら、逃げてもいい。家庭も同じ。自分の逃げ道は「常に頭の片隅に置いておくべき」だという。
そして、もうひとつ大切とするのが「睡眠」だ。心と体を休めるには、やはり大切。けっして無茶はせず「できれば1日7時間。まずは十分な睡眠で、心と体をやすめてください」と読者をいたわる。
著者からの優しい問いかけは、自分の環境を客観的に見つめ直すきっかけにもなる。毎日にくたびれている人たちの背中を、きっと押してくれるはずだ。
文=カネコシュウヘイ