先の見えない時代だからこそ…コロナ禍に生きる私たちを救う61のメッセージ
公開日:2021/8/12
このコロナ禍は、「終わりが見えない闘い」という言葉がしっくりくる。様々な人が各々の苦しみを抱えている今、不安で胸が押しつぶされそうになっている人も多いのではないだろうか。
そんな時代だからこそ、読んでほしいのが『不安を、ワクワクに変えよう。』(中谷彰宏/自由国民社)。著者の中谷彰宏氏はこれまでにビジネス書や恋愛エッセイ、小説など多岐にわたるジャンルで数多くのロングセラー、ベストセラーを生み出す一方、講演形式の「セミナー」や少人数制の「ワークショップ」、「グループレッスン」、そして1対1の「個人コンサル」などで参加者が直接指導を受けられる「中谷塾」を主宰し、全国で講演やワークショップ活動を行ってきた。
本書では、講演や執筆を通して、多くのビジネスパーソンを前向きにさせてきた著者だから言える、不安をワクワクに変える生き方のコツを紹介。収録されている61のメッセージは思い通りにならない日々を強いられている私たちの心を照らす。
自粛期間は「種蒔き」のチャンス
“不安でない人は、「不安を感じていない」のではありません。不安よりも「ワクワク感を感じている」のです。(中略)結果として、不安は次から次へと湧いてきます。いかにワクワク感を持つかです。”(P6)
全6章にわたり、不安を前向きに捉え、ワクワク感を得られる思考法を伝授。不安は完璧に消し去ることができない感情であるが、綴られているメッセージに目を向けると、今よりも明日が待ち遠しくなる生き方が見えてくる。
例えば、様々な制限が設けられている自粛期間中は思うように行動できず、苛立ちが募ることも多い。だが、著者はそんな期間を「限りあるもの」として認識。今できることを模索し、ワクワクしようと訴えかける。
見方を変えれば、歯がゆい期間は絶好のチャンスになる。著者は未曾有のコロナ禍を「天候」にたとえ、読者にこんな言葉を送っている。
“外に出られない時期は、勉強したり、新しいことを考える時間が増えます。自分でコントロールできない天気のことは考えなくていいのです。自粛期間中こそ、種を蒔く時期です。”(P60)
やれるかどうかより、まずはやってみよう。そんな気持ちを持ち、種を蒔いてみるとワクワク感が得られるだけでなく、思いもよらない花が咲いて意外な未来を掴むこともできるかもしれない。
なお、何かにチャレンジする時は、まず自分が思いっきり楽しむことが大切なのだそう。
“自分が楽しんでいないのに、人を楽しませることに必死になる人は、見ている側も楽しめません。人を巻き込んでいける人は、自分がまず楽しみます。”(P91)
自分自身を楽しませるには、楽しんでいる人を「師匠」にし、人の楽しませ方を学ぶのもあり。何度も繰り返される自粛期間を、ぜひ価値のある時間にしてみてほしい。
「死」を意識してこそ気づける「濃密な人生の築き方」
コロナ禍により、私たちは死を身近に感じるようになった。ニュースで流れる著名人の訃報や1日の感染者数を目にすると、「もし感染したら、命を取り留められるのだろうか……」と不安になってしまう。
だが、そんな風に死を強く意識するから今という時間の密度が濃くなると著者は語る。
“死を意識すると、残り時間を意識します。その時、時間の貴重さ、時間の濃度をより深く考えるようになるのです。”(P158)
もちろん感染対策を万全にし、命を守ることは大切だ。けれど、死を意識してこそ、見えてくるものはたしかにある。「今」をどう過ごし、誰と一緒に生きていきたいか。平常時ならなかなか抱くことがなかったそんな問いを自分に投げかけられ、人生の歩み方を再検討できるのはコロナ禍であるからこそだとも言える。
“大切なのは、長く生きることではなく、濃密な時間を生きることです。”(P157)
そう説く著者は幸福と幸福感の違いも説明。本当の幸せとは何かを考えるきっかけも授けてくれる。
“「幸福になる」というのは、事実です。「幸福感」は感覚なので、事実は関係なく、解釈の中にあります。(中略)幸福感は、その人の行動と解釈から生まれます。目指すのは、幸福になることよりも、幸福感を感じることなのです。”(P145-146)
少し立ち止まり、死生観や人との付き合い方、生き方を見つめ直せる時間。この自粛期間を、そう捉えることができたら、新しい夢や目標も見え、心によりワクワク感を溜め込んでいけそうだ。
本書は何か新しいことを始めたいと考えている方や今という時代の中で生きづらさを感じている方に、自分で作った「枠」をぶち破る勇気を与えてくれる書籍でもある。特に、あとがきに記された61個目のメッセージは様々な人の心に深く刺さるので、ぜひ最後まで読み込んでほしい。
文=古川諭香