FANTASTICS 世界×澤本夏輝『小説 BATTLE OF TOKYO vol.2』感想戦!「オタク心に刺さる設定を急にぶち込んでくるから、BOTは油断ならない」

文芸・カルチャー

公開日:2021/8/14

世界(FANTASTICS)
澤本夏輝(FANTASTICS)

 

 今年7月に第2巻が刊行された『小説 BATTLE OF TOKYO』(角川文庫)。

 

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 「BATTLE OF TOKYO」(以降BOT)とは、Jr.EXILE世代の4チーム――GENERATIONS、THE RAMPAGE、FANTASTICS、BALLISTIK BOYZ――から総勢38名が集結し、架空の未来都市「超東京」を舞台にコラボバトルを繰り広げる次世代エンタテインメント・プロジェクトだ。本プロジェクトではJr.EXILEのメンバー自らが、その分身となるキャラクターの名前や設定を考えている。

 BATTLE OF TOKYO(以降BOT)の世界では、超東京郊外の「アストロパーク」を根城とするイリュージョン集団Astro9として活躍する、BOTプロジェクト全体にも関わるFANTASTICSの世界(テクウ/TEKU)と、第2巻でフィーチャーされた澤本夏輝(ハジメ/HAJIME)が、小説版の魅力を語る。

――刷りたてほやほやの第2巻がたった今、お二人の手に渡りました。

澤本 最初のページに、カラーでキャラクター紹介がついているんですね!BOTの4つのチーム紹介と、メンバー全員の簡単なプロフィールも載っている。わかりやすくていいです。

世界 ずらっと並んだみんなのプロフィールを見ると、「天才」が多い(笑)。Jr.EXILEのメンバー全員、自分が主人公だし「最強」だと思って、BOTのキャラクターを考えていったからだと思いますね。出てくるキャラが全員「最強」って……小説の月島総記さんや脚本の佐藤大さんはじめ、スタッフのみなさんにはご苦労をおかけしています!

――Astro9≠FANTASTICS は、アストロパークでイリュージョンを披露しながら、自警団として活動している。8人が持つスキルは「変換(コンバージョン)」です。第1巻ではテクウの「熱量変換」、「炎使い」としての見せ場がありましたが、第2巻ではハジメが活躍していますね。本作をどんなふうに楽しまれましたか?

世界 第1巻も最高でしたが、第2巻はさらに最高でした。第1巻は4つのチームをバラバラに登場させることで、チームやメンバーを紹介するのがメインになっていたかなと思うんですけど、第2巻ではROWDY SHOGUN とMAD JESTERS、Astro9 とJIGGY BOYS が激突する。「BATTLE OF TOKYO」のBATTLEの部分がフィーチャーされているんです。チーム全体についての説明は終わっているので、個々のメンバーに光を当てているところも楽しかったです。

澤本 第1巻でもハジメは「磁場変換」の能力で金属を操る、「ナイフ使い」として活躍してはいたんですが、テクウの能力がド派手でかっこいいので正直、世界さんがうらやましいなと思っていました(笑)。でも、第2巻はハジメが結構出ずっぱりで、しかも「磁場変換」の能力がめちゃめちゃ意外な形で使われるんですよ。磁気嵐を引き起こして、JIGGY BOYS の光学迷彩をぶち破るんです。「変換って、そんなこともできるのか!」と驚きました。

世界 特にハッカー集団のJIGGY BOYS に対しては、相性が良さそうだよね。

澤本 「俺、JIGGY には強いぞ」と思いましたね。でも、「守護(プロテクト)」のスキルを使う肉体派のROWDY SHOGUN にはどうなのかな、と……。能力には相性がある、ということは第2巻を読んで初めて感じました。これでまた面白くなるぞ、と。

世界 あと、今回のハジメさんの見せ場は、ナンパ。アストロパークのインフォメーションセンターのお姉さんを引っ掛けようとしている。

澤本 自分でも読みながら「俺、ナンパしたよ!」と思いました(笑)。

世界 男ばっかりだときついなと思っていたので、第2巻は女性のキャラクターが結構出てきて安心しました。ちなみにテクウさんは今回、頭脳労働担当です。初登場シーンでは、徹夜明けで目の下にクマを作っています(笑)。

――8人のメンバーそれぞれの、詳しいスキルも明らかになってきましたね。

世界 第1巻でディル(DILL/堀夏喜)は「自転車乗り」として登場して、BMXに乗って戦っていたんですが、本人は不安がっていたんですよ。「俺、自転車で戦うの!?」と。

澤本 めちゃめちゃ心配してました(笑)。

世界 第2巻で、ディルは「剛性・弾性変換」という、周囲のモノの硬さや弾力を変換するスキルの持ち主であることがわかって。BMXをめちゃくちゃ硬い武器にすることもできるし、モノをすり抜けちゃたりもするんですよね。月島さんと佐藤さんが考えてくれたスキルだと思うんですが、まず「剛性・弾性変換」という言葉自体が新しいし、このスキルは他にどんな使い方ができるのかなと想像が膨らみました。ディルとハジメが、お互いの能力を組み合わせて戦う場面は、バディものとしての面白さも感じましたね。これは第2巻を読んで思ったことなんですが、Astro9 の「変換」のスキルって一見強くなさそうに思えるかもしれないけど、他のチームのスキルとはちょっと違って変幻自在というか、考え方次第でどこまでも強くなれそうなんです。例えばテクウの「熱量変換」は、手から出す炎をどこまで大きくできるのかも未知数だし、使い方次第では……相手の体温を上げちゃう、とか。体温が42度まで上がったら、ふらふらで戦ってられないですよね。展開がギャグ小説っぽいですけど(笑)。

――バトル以外にも、新たなストーリー展開が目白押しでした。注目ポイントは?

世界  Astro9 で言うとハジメがそうだったんですが、キャラクターの回想シーンが何度か出てくるんです。それぞれのキャラの過去が設定されているということは、一人一人に物語があるということで、いつでもスピンオフができるぞ、という伏線だと思っています(笑)。真面目な話をすると、回想でキャラたちの過去がわかるのと同時に、BOTのメインストーリーにとっての過去もちょっとわかるんですよ。5年前に「大嵐」が起きてから今までの間に何があったのか、もっと言うと「大嵐」の前はどんな世界だったのか。気になるワードがたくさん出てきました。

澤本 ハジメの回想を読んで、団長とメンバーとの出会いであるとか、メンバーごとに違う「変換」のスキルを身につけている理由が急に気になり始めました。他のチームのメンバーたちも、スキルに目覚めたことには絶対深い意味があるはずで。あと、第2巻の中に新しい謎がいっぱい出てくるんですよね。一部のお偉いさんたちは、「大嵐」が来るのを前もって知っていたんじゃないか、とか……。

世界 シャーロックが「君は本物の太陽を見た事はあるかい?」と言った時は、鳥肌が立ちましたね。そのセリフが出るまで想像もしていなかったんですが実は、超東京の空は「人工の巨大構造体」で覆われていた。超東京はSFでよく出てくる、巨大コロニー的なものだってことですよね。オタク心に刺さる設定を急にぶち込んでくるから、BOTは油断ならない。それぐらい科学技術が発展しているってことは、巨大ロボットものになる可能性もぜんぜんゼロではないですよね。

澤本 おおっ!! 確かに今回、ブルーシールドの装甲車(装甲戦闘ビークル)とか、メカも出てきましたしね。ストーリーに関して言うと、Astro9 の団長が何者かに連れ去られてしまって、その謎を追う形で話が進んでいくんですけど、ブルーシールドが怪しすぎるんですよ。イヌイがめちゃくちゃ気になります。

―― 超東京の治安維持のための特殊部隊ブルーシールドで、「異能犯罪対策部隊」というチームを率いている人物ですね。

世界 Astro9 は第2巻でイヌイと手を組んじゃったので、この先どうなるのか。毎回同じ感想になっちゃうんですけど、いいですか? 「早く続きが読みたい!」。未来が楽しみで仕方ないですね。

澤本 とりあえず今日、世界さんと話してみてわかったのは、やっぱりAstro9 が「最強」です。

世界 他のチームも絶対、自分たちが「最強」だと思っているでしょうね(笑)。


BATTLE OF TOKYO公式サイト


※ダ・ヴィンチ2021年9月号掲載記事の転載です。

取材・文:吉田大助
写真:川口宗道

ヘアメイク:中山伸二(CONTINUE)